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インドネシアEdTechの雄、オンライン外国語学習プラットフォーム「Cakap」とは

Techable / 2024年4月19日 19時0分

インドネシアの公用語はインドネシア語である。ジャワ語やスンダ語など各地域の言語もあるが、少なくとも書き言葉とジャカルタでの暮らしや公の場ではインドネシア語が用いられる。

しかし、近年では国外からの投資が活発になり、インドネシアの一般市民もあらゆる場面で外国語対応が求められるようになった。

そこで現地ではEdTech分野に大きな需要が発生する。この記事ではオンライン外国語学習サービス「Cakap」について解説していきたい。

インドネシア市民の「語学熱」

インドネシアは、まさに「戦場」である。

それは国外のビジネスパーソンが繰り広げる、銃やミサイルを使わない出資戦争だ。日本、韓国、中国、アメリカ、オーストラリア等の会社の関係者が日々慌ただしく動き回っている。それは現地市民の暮らしにも波及し、ジャカルタのホワイトカラーは最低限の英会話ができなければ仕事にならない。ここで英語以外の言語にも精通していれば、ビジネスパーソンとしては合格水準だ。

ゆえにインドネシア都市部では、大人も子供も外国語の勉強に熱を入れている。そんな中で人気を集めている2013年設立のCakap社は、スマホやPCを使ったオンライン学習プログラムをインドネシア全国400万人以上の会員に提供する企業だ。

英語だけでなく日本語も受講可能

Cakapで学習できる言語は英語・日本語・韓国語・中国語の4言語。3人から5人の集団レッスンの他、講師とのマンツーマンレッスンも選択することが可能だ。もちろんこれらのレッスンは、徹頭徹尾オンライン上で行われる。

一般英語の場合、全25回3ヵ月・最大5人のグループレッスンプランが179万ルピア(約1万7000円)である。2024年のジャカルタ特別州の最低賃金が月506万7381ルピア(約4万8000円)であることを考慮すると、特に法外な受講料ではない。

一般日本語については、25回3ヵ月・最大5人のグループレッスンプランが何と一般英語コースよりも安い159万ルピア(約1万5000円)。もちろん、これだけで日本語の基礎を完全にマスターできるというわけではなく、Cakapは日本語能力試験のN5からN2までに相当する学習項目を20セッション(1セッション25回)に分けている。

学習塾通いも気軽にはできない交通事情

上記は16歳以上の大人向けのコースだが、Cakapでは4歳以上16歳未満の子供向けコースも用意している。この場合も授業はオンライン上である。学校から帰宅後に外出する必要はなく、自宅にいながら外国語の授業を受けられる。
世界で最も交通渋滞が深刻と言われるジャカルタにおいて、オンライン学習塾の利便性は計り知れない。ここでインドネシア都市部の交通事情について補足しておくと、この国では高校生もバイク通学が一般的である。なるべく早いうちから子供にバイクの運転を覚えさせなければ、日々の移動の面で大きな不利を強いられることが多いのだ。

学校から帰宅後に電車やバスに乗って塾へ通う……という移動が日本よりも遥かに難しいという問題が横たわっている。が、Cakapに入会していれば交通事情に関係なく自宅で外国語学習ができる。

そんなCakapは2023年4月、シリーズC1投資ラウンドで資金調達に成功。これにより、企業の評価額が1億米ドルを超えることになった。

教育格差をオンラインテクノロジーで解決

スマホの急速普及は、インドネシア市民の生活を大きく変えた。

今や教育分野でもスマホを積極的に活用しようという動きが当然のものとなり、そのサービスを担うのはZ世代の若者である。インドネシアは日本よりも国民の平均年齢がはるかに若い国であるということも、ここで言及しておきたい(日本は2025年に平均年齢50歳に達するとされる一方、インドネシアは29歳)。

これらは見方を変えれば、今まで近代化に取り残されてきた反動とも言える。教育分野の話題に絞れば、農村部では都市部よりも学習塾が充実しておらず、結果として都市部との「教育格差」が生じてしまう。こうした問題をオンラインテクノロジーで解決しよう、という段階にインドネシアは到達しているのだ。

参照:Cakap

(文・澤田 真一)

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