古賀紗理那、石川真佑らバレー日本代表が参加 「震災復興支援マッチ」で子供たちに届けた笑顔
THE ANSWER / 2024年4月27日 14時33分
■PFUブルーキャッツとかほく市が共催、新アリーナで復興支援イベントを実施
石川県かほく市をホームタウンとするバレーボールSVリーグ女子・PFUブルーキャッツの新本拠地、「とり野菜みそ BLUECATS ARENA」(かほく市総合体育館)が完成し、4月14日にオープニングイベントが開催された。「令和6年能登半島地震復興支援チャリティーマッチ」として実施されたイベントには、PFUブルーキャッツが取り組む復興支援プロジェクト「がんばろう能登 がんばろう石川」に賛同したバレーボール女子日本代表が、ネーションズリーグに向けた国内合宿の合間を縫って参加。古賀紗理那、石川真佑、関菜々巳らトップ選手が参加したバレーボール教室や紅白戦などが実施され、アリーナを訪れた3000人の観衆を沸かせた。
今年1月1日の能登半島地震から3か月半、石川県かほく市に新設されたアリーナが笑顔と歓声にあふれた。本拠地として使用するPFUブルーキャッツが、かほく市と共催したイベント。目玉はなんといっても、バレーボール女子日本代表の参加だ。
今夏のパリ五輪出場権獲得を目指すチームは、5月14日開幕のネーションズリーグ(アンタルヤ、マカオ、北九州、バンコクを転戦)に向けて2月から国内で長期合宿を実施していたが、ブルーキャッツが取り組む復興支援プロジェクト「がんばろう能登 がんばろう石川」に賛同。合宿の合間を縫って石川県へ移動し、前日の4月13日には金沢市内の避難所を訪問、この日は朝から新アリーナでのイベントに参加した。
10時にオープニングイベントがスタートすると、まずは日本代表とPFUブルーキャッツの選手がアリーナの入り口に立ち、能登半島地震の募金活動を実施。「募金をお願いします」と声をかけながら、来場者と一緒に写真を撮ったり、サインをして交流した。
小学生に指導する古賀紗理那【写真:荒川祐史】
またコート上では、石川県内のバレーボールチームに所属する小学生を対象にしたバレーボール教室が行われた。古賀、石川、関ら日本代表とPFUブルーキャッツの選手が指導。1部、2部とも5人1組9チームに分かれ、オーバーハンドパス、アンダーハンドパス、ディグ(スパイクレシーブ)についての全体説明があった後に練習を実施した。
最初は緊張していた子どもたちも時間が経つにつれて声を出しながら取り組み、コーチ役の古賀らとハイタッチする場面も。参加した子どもからアンダーハンドパスのポイントについて聞かれた石川は、「ボールの下に入って、膝を使うこと」と身振り手振りを交えながらアドバイスを送っていた。
練習後、参加した宇ノ気スワローズの小5女子が「緊張したけど、いつもやっている練習と違うこともできて楽しかったです」と語れば、七塚バレーボールクラブの小6女子は「憧れの古賀紗理那選手にも会えて、すごくかっこよかった。全国大会に出られるように今日の経験を生かして頑張りたい」と充実した表情を見せた。日本トップレベルの選手からの直接指導は、子どもたちにとってかけがえのない体験になったようだ。
PFUブルーキャッツの1セットのみの“青白戦”が実施された【写真:荒川祐史】
■地元チームとして「やるべきことを考え直す、良い機会になった」
そして午後からは3000人の観衆が見守るなか、いよいよコート上に両チームの選手が登場。まずはPFUブルーキャッツの1セットのみの“青白戦”が実施され、続いて日本代表による3セットマッチの紅白戦が行われた。
試合は両チームともにミスが少なく、一進一退の攻防に。豪快なスパイクが決まる一方、粘り強いレシーブから長いラリーも展開されるなど、数々の華麗なプレーにアリーナ内は大歓声に包まれた。
紅白戦終了後、キャプテンの古賀は「大変な状況のなかで、このような会場で紅白戦ができたことを嬉しく思います。パリ五輪の出場権を懸けた厳しい戦いが続きますが、会場やテレビの前で応援して私たちの背中を押してください」と挨拶。最後は日本代表、PFUブルーキャッツの選手がサインボールを観客席に投げ込み、大盛況の中でイベントは終了した。
日本代表の石川は、2日間の活動を振り返り「昨日は避難所に行かせていただいて、本当に大変な思いをされているなかで生活している方を見て、私たちも日々の生活を大切に過ごさないといけないと思いましたし、私たちができることはバレーボールで力をお届けすることだと思うので、私自身もひたむきにバレーに取り組んでいきたいと思いました」とコメント。バレーボール教室で交流した子どもたちについては、「この状況でもバレーを楽しくやっている姿を見ることができて、私自身も嬉しかったですし、レベルが高くなってきた時に上手くなってほしいなと思います」とエールを送った。
イベントは大盛況の中、終了した【写真:荒川祐史】
そして地元チームとして、復興支援プロジェクトに取り組むPFUブルーキャッツの髙相みな実キャプテンは、「SVリーグに向けて自分たちがどのような環境でバレーボールをするかということが分かったので、より一層選手たちのモチベーションになったのではないかと思っています」と語った上で、「自分たちの力だけでなく、全日本チームの皆さんの力もお借りして、自分たちがどのようなことで被災者の皆さんに協力できるか、バレーボールを通して自分たちがやるべきことは何なのかということを考え直す、良い機会になったと思っています」とイベント開催への感謝を口にした。
また、PFUブルーキャッツの谷内美紅も「自分たちにはバレーボールしかできることはないのですが、それでもバレーボールでできることを、これから何年も続く復興ということに対して、どんどんアプローチしていけたらいいかなと思います」と、被災地支援に向けて決意を新たにしていた。
アリーナ外に並んだ地元グルメの出店エリアを含めて、イベント全体では約7000人が来場。バレーボールを通じた能登半島地震の復興支援活動は、熱狂とともに大きな一歩を踏み出した。(THE ANSWER編集部・谷沢 直也 / Naoya Tanizawa)
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