イスラエル国内でアルジャジーラの活動停止 世界のメディアは「報道の自由を無視」と批判

中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」（ロイター）

イスラエルのネタニヤフ首相が５日、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」の国内での活動停止を決定したとＸ（旧ツイッター）で表明した。イスラエル当局は同日、アルジャジーラの放送機器をエルサレム事務所から押収した。政府が国家安全保障を損なったという理由で同局を一時閉鎖する決定を承認した直後、イスラエルではニュースチャンネルの放送が中止され、一部のウェブサイトはブロックされたという。

期間は４５日間で、通信大臣の署名があればさらに４５日間延長することができる。

アルジャジーラはカタールのドーハに本部を置き、アラビア語と英語でニュースなどを２４時間放送している衛星テレビ局。

アルジャジーラの活動停止を主導した強硬派シュロモ・カルヒ通信相がＳＮＳで公開した動画には、イスラエル当局者らがアルジャジーラ事務所に入り、内部の機器を記録し始めている様子が映っていた。カルヒ氏はアルジャジーラを「ハマスのメガホン」と呼んでいる。

ネタニヤフ首相とカルヒ氏が共同で発表したプレスリリースでは「アルジャジーラのジャーナリストはイスラエルの安全を侵害し、イスラエル国防軍兵士に対する敵対を扇動した」と理由を説明している。

世界のメディアは「報道の自由を無視している」とイスラエルの行動を批判している。

アルジャジーラは「イスラエルはアルジャジーラを沈黙させ、ガザ戦争の真実を隠そうとしている。パレスチナ活動家はガザへの侵略とラファへの侵攻を継続するというイスラエル政府の計画的な意図の表れであると示唆した。目撃者なしでパレスチナ人に対する虐殺をエスカレートする」と報じた。

軍事事情通は「アルジャジーラはイスラエル・ハマス戦争を現地から報道する最大規模の国際メディアです。そこを締め出したことで、世界が言論統制やネタニヤフ首相の暴走を不安視しています。一方、アルジャジーラを経営するカタール政府への圧力ともみられます。カタールはハマスを支援していますから」と指摘した。