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黄色い桶誕生から60年 銭湯を飛び出したケロリン!〝製薬企業ですから、桶で儲けたいわけでは…〟

東スポWEB / 2024年6月23日 10時27分

さまざまなケロリングッズを展開中

はっきりとした黄色に、赤いインクで大きく書かれた4文字――。普段銭湯を利用しない人も「ケロリン桶」と聞けば、あの特徴的な桶が思い浮かぶのでは? 記載されている医薬品「ケロリン」と、関連グッズを展開しているのは富山市の製薬会社「富山めぐみ製薬」だ。今回は経営戦略室室長の笹山敬輔氏に、ケロリン桶の誕生経緯や幅広い展開について直撃した。

そもそも「ケロリン」とはどんな薬なのか。

笹山氏は「当社の前身の一つである内外薬品という会社が1925年に開発した解熱鎮痛剤です。生薬(漢方薬)が中心だった時代に、ケロリンは西洋から輸入したアスピリンと桂皮をブレンドして販売しました」と説明した。

すると効能が話題となり、配置薬(置き薬)市場で一気に拡大。同社は戦後、薬局やドラッグストアが販売の中心になると考え、「宣伝に注力する一環として、ケロリン桶が生まれました」。

実は桶のアイデア自体は外部から採用したという。

「広告事業を行う睦和商事という会社の方が、温泉に入っている時に桶の広告を着想されたそうです。その方が全国で“桶広告”を営業されている時に、宣伝を強化したいと考えていた当社が賛同した形になります」

それが1963年のこと。当時、プラスチック桶の需要は今より大きかったという。

「内風呂が普及しきっていない時代、銭湯は生活インフラと言える存在でした。加えて当時使われていた木桶は耐久性や衛生面で問題がありまして。当社が広告料として費用を一部負担し、頑丈なプラスチック桶を安価で提供したという点も、銭湯で広まった理由の一つと考えています」

そのため桶には銭湯に合わせた工夫も施されている。すぐに壊れないように一般的な桶よりも厚みを持たせ、水場ではがれにくくするためケロリンの文字をプラスチックの中にインクを埋め込んでいるのだ。

それだけではない。

「かけ湯文化のある関西の一部に向けて、片手でお湯をすくえるサイズも作りました。現在は大きい関東版と小ぶりな関西版の2種類があります」と細かく配慮されている。

とはいえ、銭湯の数も少なくなっている近年、桶の販売数は維持できるのか。

その点について笹山氏は「業界の規模は縮小していますし、耐久性を重視した結果買い替え需要も小さいです。ただ、小売り向けの需要が年々それを補うように拡大しています」とし、次のように明かした。

「90年代からは有名な雑貨店に取り扱っていただき、タオル・入浴剤等の派生商品も開発しました。同時期に富山県内のサービスエリアでも“富山みやげ”として販売されることになりまして。『鱒(ます)寿司と一緒にケロリン桶も』といったように、おみやげの候補になったことはありがたいです」

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