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昭和30年代の商店街を再現! 西武園ゆうえんち 担当者も気づかなかった“映えスポット”

東スポWEB / 2024年7月14日 10時16分

取材に応じた髙橋亜利氏

【昭和90年代の人々】昭和文化やレトロブームを活用するクリエーターや企業に迫る企画「昭和90年代の人々」。今回は2021年のリニューアル以来、昭和30年代の商店街を再現したエリアが話題を集める、西武園ゆうえんち(埼玉・所沢市)を取材。ゆうえんちを運営する株式会社横浜八景島の髙橋亜利氏に、ノスタルジーあふれる空間を作り上げるまでの経緯とこだわりを聞いた。

そもそも大胆なリニューアルをする裏側にはゆうえんちが抱える苦境があったという。最盛期の1988年には年間200万人近かった来園者が、2020年には40万人弱まで落ち込んでいた。そこで求められたのがリブランディングだった。

「アンケートでも西武園ゆうえんちを『古くさい』『ダサい』とする意見が集まっていまして。このままではいけない、と(改修に)踏み切ったという背景があります」(髙橋氏)

その際「幸福感に包まれる世界」をコンセプトにして考えられたのが、昭和30年代の町並みを再現した「夕日の丘商店街」だった。事前調査では、若年層でも約70年前の文化をなつかしく感じることが判明。祖父母の思い出話や映画・ドラマ作品といった、昭和との接点が数多くあったことが改修を後押ししたと髙橋氏は振り返る。

新設された昭和の商店街は、令和を生きる我々にとっては別世界に感じるほどこだわりの詰まった空間。当時の雑貨や小物が並ぶ店の前には、店主・看板娘といった“住人”たちが登場し、当時の活気が情感豊かに表現されている。

とはいえ、昭和文化をただそのまま再現してはいないことも園のこだわりだ。髙橋氏は「若い世代の方には『古いけれど新しいね』と思っていただけるように、新規性を持たせています」と説明する。

例えば園内の喫茶店「ビクトリヤ」で提供されるクリームソーダは、季節に合わせて色や味を変更することで、園側から“SNS映え”に配慮。食堂のカレーライスも、昭和期のレシピ本を参照し黄色いルーを再現した一方、味は現代風に改良されているという。そのような工夫もあって、狙い通り若い世代からは新鮮に受け止められている。中でも商店街に設置した“赤電話”の反響が大きかったと髙橋氏は振り返る。

「実際に受話器を取って写真を撮られる方が多く、小物として設置した電話が撮影スポットになるとは、オープン前は気がつきませんでした。現在は広場に設置した土管も“映えスポット”として人気が出ています」

近年は自ら昭和風のレトロな洋服を着て入園する、気合の入った来園者も散見されるとのこと。ゆうえんちキャストのファンが、丸一日商店街で過ごすこともあるというから驚きだ。加えて3世代で来園した家族や年配の団体客が話に花を咲かせていることも多く、作り上げた雰囲気は“昭和ネーティブ”の人々にもしっかり評価されているという。

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