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麻雀プロ創成期は「嵐の中の船出」伊藤優孝75歳「天運に頼らず地運を育てる」【前編】

東スポWEB / 2024年7月21日 11時10分

忘れられない対局は第3期麻雀最強戦の決勝戦だという。「対局後、桜井さんからよくやったと言ってもらえたことはうれしかったね」

【レジェンド雀士からの金言】 麻雀ブームの今こそ、その礎を築いた男たちの声を聞け――。今回は日本プロ麻雀連盟1期生で、現在は同団体で副会長を務める伊藤優孝(75)にご登場願った。1991年に麻雀最強戦で優勝し、2019年には古希で十段位を獲得した“死神の優”の勝負強さは今なお健在。後進の育成にも尽力してきた男は、現代のように麻雀プロが職業として認知されていなかった創成期をどう生き、どう勝ち、今何を思うのか――。

幼少期はメンコやベーゴマに夢中だった。「あのワクワク感は勝負の世界を知った原点かもしれないね」と目を細める伊藤が麻雀を覚えたのは高校3年生の夏。「同級生から誘われて始めたんだけど、なんて面白いゲームなんだとすぐにハマったんだ」

明治学院大学法学部法律学科に進学した1960年代後半は、学生運動が全国的に広がっていた。「ガラじゃないけど将来は弁護士になりたかったんだ。でも大学2年生になったころから、学生運動が激しくなってきて、学校に行っても休講続き。そうなると雀荘に行くしかないので、麻雀に拍車がかかったんだよね」

卒業後もひたすら麻雀を打つ日々を過ごしていた25歳の頃、後に人生の師となる雀鬼会会長・桜井章一と出会った。20年間無敗伝説を持つ“雀鬼”である。

「新宿歌舞伎町で桜井さんを知らない人はいなかった。200人規模の麻雀大会があってたまたま優勝したんだけど、桜井さんから『まあまあいい麻雀打っているな』と声をかけてもらった。以来、勝手に師匠と呼ぶようになったんだ」

強い人間とは。なんのために強くなるのか。桜井の勝負哲学は、日本将棋連盟会長の羽生善治をはじめ、スポーツ選手や財界人に至るまで多大な影響を与えている。「勝負において一番大事なのは感性。動物が生きるために持っているアンテナやテレパシーは、人間でいえば感性。その感性を研ぎ澄ませ、与えられた手牌で一歩でも前進し“地運”を育てていけ。自分が開拓したわけではない“天運”に一喜一憂しているようでは、地運は育たないぞ」と麻雀と向き合う姿勢を師から教わった。

教えを心に刻み、麻雀プロとして生きていこうと考えていたものの、麻雀と距離を置いた時期があった。「結婚を前提に付き合っていた人がいたんだけど、仕事は何?と相手の親に聞かれた時、麻雀プロですと言っても何それ?という時代。今でこそ職業として認知されるようになったけど、当時は正業ではないという見方が大半だったんだ」という理由でサラリーマンとなり、28歳の時に結婚した。

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