【ザ・グレート・カブキ連載#24】横綱にもなった人間なのに…北尾光司さんに「これはダメだ」と思いましたね
東スポWEB / 2024年10月1日 16時4分
【ザ・グレート・カブキ 毒霧の真実(24)】天龍源一郎をエースとしたメガネスーパーの新団体「SWS」の話で避けて通れないのは北尾光司の存在ですよね。
大相撲元横綱双羽黒の北尾は廃業してから2年後の1990年2月10日に新日本プロレスの東京ドーム大会で電撃デビュー。しかし、現場責任者の長州力ともめて契約を解除され、同じ相撲出身の天龍を頼ってSWSにやって来ました。横綱の印象は…悪いけど、あれはレスラーじゃなかった。全然、練習もしなかったし、受け身も全く取れなかった。
最初は確か、メガネスーパーの田中八郎社長から「今度横綱が入るから」と言われたんです。それを聞いて、正直「あんなの獲ってどうすんの?」って頭を抱えましたよ。団体のマッチメーカーを担っていた自分としては最悪でした。「バカじゃできない。利口じゃできない。中途半端はなおできない」ってのがプロレスですからね。
ネームバリューはあるけど、スマートな人ではなかったです。1回、田中社長の奥さんを平手で殴ったことがあったんです。理由は知らないけど、会場の控室で言い争う声が聞こえたから慌てて駆けつけたら目の前で“バシッ”と。自分が「てめえコノヤロー、何すんだ」って止めに入ったけど、最低ですよ。横綱にもなった人間なのに…。彼はよく「カブキさん、僕は相撲で優勝したことがないんですよ。それでも横綱になれたんです」って自慢していたから「横綱、そういうことは人に言わない方がいいですよ」って助言していたんですけどね。
そんな横綱がついに“事件”を起こします。91年4月1日の神戸ワールド記念ホール大会でした。ジョン・テンタに不穏試合を仕掛けるも、やり返されて反則負け。その挙げ句に「八百長野郎!」などとひどい暴言を浴びせたんです。ジョンはもともとアマレスの出身で強いんですよ。ジャイアント馬場さんの異種格闘技戦の相手として87年にパキスタンから来日したラジャ・ライオンのことも道場でボコボコにしていたからね(笑い)。
この試合は横綱がバタバタしてしまい、すぐにジョンに抑えられて動けなかった。結局、その負け惜しみの末の大暴言なんです。その後すぐ横綱に詰め寄って「お前、何言ってんだ!!」って。そしたら、そこに社長の奥さんもやって来て「北尾さん、どうしたの!?」って声をかけた。そしたら横綱が「うるせえ、ババア!」って奥さんのことを蹴っ飛ばしたんです。もう「これはダメだ」と思いましたね。
この後に「監督不行き届き」ということで、天龍と自分の責任を問う声が上がったんです。正直もう自分もウンザリしていたんで、これを機会に身を引こうと辞表を提出しました。だけど…。
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