広島の歴史的大失速 名将・古葉竹識監督の「前半は5割」理論を思い出した
東スポWEB / 2024年10月15日 11時30分
【赤ペン! 赤坂英一】もしカープを初優勝に導いた名将・古葉さんが大惨敗を見ていたら、何と論評されたか。もし自分が監督だったらどう戦うとおっしゃっただろうか。
何度も指摘されているように、今季のカープは9月に5勝20敗と歴史的大失速。8月まで首位を走っていたのがウソのように4位に転落した。
NHKは5日の最終戦を地上波で異例の完全生中継(広島、山口限定)。「ひとえに私の力不足」とファンに謝罪した新井監督のあいさつもすべて放送した。11日には毎年恒例、約1時間50分の大型番組「カープ県民大会議」もオンエア(広島限定)した。他の地元メディアもこぞって今季の敗因や来季の課題を詳報している。
大失速した一番の原因は選手たちが心身ともに疲労困ぱいだったことと、関係者や評論家の見方は一致。昨季は夏場以降にケガ人が続出したため、主力を休ませながら起用したが、勝負どころの9月にきてプレッシャーと猛暑に押しつぶされた。
そこで思い出されたのが生前の古葉さんにインタビューした時のこと。1980年と84年の優勝を振り返り、こんな内幕を明かしていたのだ。
「あの頃は前半は5割でもいい。後半に勝負をかけようと思っていた。カープは移動がキツイし、夏の市民球場(旧本拠地)はとても暑い。だから、上位に引き離されない程度でいい、とね」
そのため、84年は思い切った用兵に出た。当時、不動の4番だったレジェンド山本浩二さんを8月の巨人戦で6番に降格。その試合で勝ち越しの3ランを打ったにもかかわらず、古葉さんは次カードの大洋3連戦で、山本さんをスタメンから外したのである。
この一件については、山本さんにも確かめた。
「初戦で外されたくらいなら、たまには休むのもいいかと思うとったよ。そしたら、2戦目の朝に内田(順三打撃コーチ)が『浩二さん、きょうも休みです』と言うから、なにぃ!となったよ。あの時は、古葉さんと1週間口も利かなかった」
しかし、後に自分が監督に就任すると、古葉さんの意図を理解できるようになったという。
「今思うと、古葉さんには監督になるための経験を積ませてもらったんやな。実際に自分が選手を使う立場になって初めて分かったことだけどね」
そう語った山本監督が新井を4番に抜てきし、今日の新井監督がある。もちろん80年代と今とではチームも環境ももちろん違うが、来季3年目の指揮官が改めて恩師に学ぶことも多いはずだ。
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