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坂口征二vs前田日明 鼓膜破れ、差し歯は飛んでも“不穏試合”ではなかった! 取材記者が全証言

東スポWEB / 2024年11月24日 10時4分

坂口(左)の顔面にハイキックを叩き込む前田(1986年11月、札幌)

【プロレス蔵出し写真館】坂口征二がマスコミとファンに向け異例の声明文を発表した。

「私はマッチメーカーの立場上、また若手選手の育成等により、今回のリーグ戦には参加しておらず、今まで前田選手との直接対決もありませんでした。しかしながら今般、不測の事態にあたりこの機会に前田選手とのシングルマッチでの対決を決意いたしました。(中略)前田対ブロディ戦を期待されていたファンの皆様には私のファイトをもって必ずや納得していただけるものと自信を持ってここに表明させていただきます(抜粋)」

今から38年前の1986年(昭和61年)11月19日、新日本プロレスはロサンゼルスからの1本の電話で大混乱に陥った。エージェントの鯨岡チカさんが「ブロディが契約を破棄すると言ってます」。そう伝えてきた。

〝超獣〟ブルーザー・ブロディが一方的に契約破棄を通達してきたという。ブロディがまたやらかした。

新日プロ関係者は「前回(9月)来日したとき、二度と昨年のボイコット事件のようなことを起こさないと、じっくり話し合ったんですが…。今回のことは、それだけに理解に苦しみます」と顔を曇らせた。

ブロディは85年12月12日、仙台で行われる「IWGPタッグリーグ戦」決勝戦当日、パートナーのジミー・スヌーカとともにドタキャン。新日プロを追放となったが翌86年8月に和解が成立して来日を果たした。9月16日の大阪城ホールではアントニオ猪木と60分フルタイムドローの死闘を繰り広げ、今回「ジャパンカップ争奪タッグリーグ戦」で本格的に再登場となるはずだった。

そして、今回の来日では特別試合として〝大巨人〟アンドレ・ザ・ジャイアント戦と〝新格闘王〟の称号で呼ばれた前田日明戦が決まっていた。特に前田戦は〝危険なムード〟が漂う大注目のカードだった。

新日プロは20日の新潟・十日町大会でブロディの来日中止を発表。坂口が声明文を出して前田戦に名乗りを上げたのだった。

前田は「気合が入ってたんだけどガックリきたね。週1万ドル(当時のレートで約160万円)といわれ、日本人選手の倍以上の高いギャラを払った上で〝ゴネ得だ〟なんて思われたら、オレたちはやってられないよ。断固たる措置を取るべきだと思う。はっきり言って外人なんかいらないよ。坂口さんとは日本人のやる気がどんなものかをファンに見せる」とブロディに怒り心頭だった。

翌21日の午前中、ロスの鯨岡さんが「ブロディとの再度の話し合いで『条件次第では来日してもいい』と言い出した」と連絡してきたが、同日の新潟大会の試合前に猪木、坂口、山本小鉄、藤波辰巳(現・辰爾)ら首脳陣が緊急会談を行い「もしブロディがこの条件を1、2日前に言っていたら問題なかったが、すでに契約破棄を発表しているし、考えは変えない」。坂口はそう断言し、改めてブロディの来日中止が正式決定したと発表した。

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