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【オートレース】メガネの超大物新人・浅倉樹良「どこを走っても強いのはかっこいい。それを目指しています」

東スポWEB / 2025年1月2日 11時9分

ここまで、いいことずくめ。順風満帆と思われたが、14走目から試練が始まる。デビュー5節目、初めて1番車ではなく4番車。前に他の選手がいる位置からのレースとなり結果は5着。「ハンデを背負い厳しさを知りました。試走で前に何台かいた状況を見て『自分の走りたいところを一切走れないんだ』と思いました。レースも落合(淳)さんにメチャクチャやられた記憶があります」。洗礼を受けながら必死に走るが、S級選手の20メートル前というハンデ位置に重化した4月下旬以降、勝てない日々が続く。

そんな中で8月、初のSG・オートレースグランプリを迎えた。「一番調子が良くなかった。エンジン的にも。スタートも全く出て行かない。見つめ直すきっかけになった大会です」。絶不調が逆に転機となり、エンジン調整を本格的に取り組む。「師匠(竹本修)と兄貴分の松本康選手が『キャブ調整だけじゃ出てこない味が出るから』と言われ、ヘッド周りの調整もやり始めました」。一日中没頭するくらい、のめり込んだこともあった。今では先輩選手が整備の相談に来ることもある。その成果もあり、成績も上向いてきた。

「2か月くらい1着がなく落ち込み悔しかったけど、手は動かした。いい経験でした」

調整だけでなく、走法も突き詰める。現在は1級車と比べ100cc排気量が小さい2級車に乗る。パワーのない車のため、スピードを落とさず大きいコースを回るのが2級車の一般的な走法。だが、浅倉は1級車を内から抜き去る走りを時折披露する。

24年11月の浜松GⅠ・スピード王決定戦初日も、最終周で差して3着に入った。「抜く意識はないんです。その選手の横に並ぼうという感覚で車をつけにいく感じです。外で合わされて突っ張られるのが大嫌いで。500ccなら最内を走った方が一番速いと思うし勝つため、前に行くための1つのやり方です。前の人は抜かされたくないと張ってくる、それなら内から抜いた方が速いと思い、行くようになりました」。経験を踏まえた持論に基づき実践している。

飛躍が期待される25年も2級車での戦いだ。「ハンデ位置が10メートル前になるのが目標。ホントは2級でS級が良かったんですけど。でも、そのぐらいにはなりたい。強い人はどの場に行っても速い。どこを走っても強いのはかっこいい。それを目指しています」と野望を掲げる。理想のレーサー像へ近づき打倒2強へ――。さらに進化する。

【お手本はレース巧者・中村雅人】お手本となる選手を尋ねると「中村雅人さん」と即答した。「養成所でタブレットが使えたんですけど、ずっと雅人さんの動画を見ていました。内外自由にさばいてカッコいい」。レース巧者の映像を何度も見て抜き方、攻め方を研究した。見るだけでは物足りなかったようで「雅人さんのような選手になりたいと思って、実際にやって怒られました。養成所でもやってメッチャ怒られました」と笑う。すぐに実践するのも浅倉の良さ。さばき巧者への道は始まっている。

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