親から相続する予定の土地は「今」売るべき? キーワードは人口・災害・観光
LIMO / 2019年10月27日 20時30分
親から相続する予定の土地は「今」売るべき? キーワードは人口・災害・観光
不動産の売買に際しては将来の需要と供給に基づいて判断するべきというのが、企業や高額所得者に資産形成のアドバイスをしている資産形成アドバイザーの垣屋美智子さん。
今回は、京都のベッドタウンに相続予定の土地があるという方からの質問に、具体的に、将来の需要をどう見るかという観点で回答をいただきました。
※本稿は、有料メルマガ『垣屋美智子のキイトク(https://www.mag2.com/m/0001688023.html)』(まぐまぐ!)の一部を再編集したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読(https://www.mag2.com/m/0001688023.html)をどうぞ。
親から相続する土地をどうする?
Q:親から相続する予定の土地があります。京都のベッドタウンで、私たち家族もその地域に住んでいますが、将来の価値を考えて今、売却した方が良いでしょうか?
A:ご質問ありがとうございます。
不動産の価格は需給に左右されますが、相続する土地の将来の価値を考えて、今、売却して利益を確定させてしまった方が良いか否かというご質問かと思います。
人口減少に負けない需要があるか
まず、拙著『使えば増える! お金の法則 ─ワクワクしながら資産づくり(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4788715910/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=graceblue01-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4788715910&linkId=77fad6563ea9120437919a4e1f58a8de)』の「現実の不動産市場を見極める」でも書きましたが、日本においては、今後は人口減少が明らかに不動産の価値に影響を及ぼすと考えられます。
つまり、人口減少は不動産を供給過多(需給< 供給)にさせ、不動産価格を下げると考えるのが自然です。
逆に、人口減少があったとしても、「不動産価格が市況と比べて落ちない、または、上がる土地」というのは、供給が少なく、需要が供給を上回っている土地、分かりやすい例でいうと、駅徒歩圏の立地や複数路線が交わる駅の徒歩圏と考えられます。
また、最近の台風の被害で注目されているハザードマップも確認しておくと良いと思います。駅徒歩圏や複数路線が交わる駅の徒歩圏だったとしても、ハザードマップで浸水などの影響があるエリアは長期的に見て不動産の価値にマイナスに影響が出ることでしょう。
観光需要と不動産市況の関係
ご質問者の方の場合、京都のベッドタウンとのことで、この「京都」というのは、まさに不動産市況を考える上では面白いキーワードです。
日本の人口は減少傾向ですが、観光立国を目指す日本にとって京都は日本を代表する観光スポットで、それによる経済効果が見込まれる地域です。
将来においても、京都は観光業をはじめ仕事は多くあり、結果、人口流入の多い地域になると予想でき、質問者の方の言う「京都のベッドタウン」としての機能も継続すると考えられます。土地の価値が落ちにくいと考えられる要素があると言えるでしょう。
一方で、ベッドタウンと言っても、駅周辺だけという場合もあり、同じ地域でも駅から離れると不動産の価値が落ちてしまうことも。ご自分で住んでいる地域なので、地域内の状況もお分かりかと思いますし、今後も人口が流入しそうな場所なら保有、そうでないなら売却という判断が良いかと思います。
売却前提でなく自分で有効活用してみるという選択も
このように不動産は市況に左右されますが、相続した土地を自分で有効利用できるのであれば、今後、市況が悪化したとしても、決して無駄にはなりません。たとえば、今住んでいる家が賃貸ならば、土地を相続して家を建てるというのも有効活用かと思います。
また、相続した土地に住む気はないけれど、他で家を購入したいというのであれば、市況にかかわらず土地を売却して、家購入の頭金に使うのも良い考えです。
なぜ、「市況にかかわらず」なのかというと、売買する物件はどちらも市況に連動するので、物件同士の差額はあまり変わらないと言えるからです。市況が高い時であれば、土地も高値で売れる代わりに購入する家の価格も高くなりますし、市況が安ければ売却額も購入額も低くなるからです。
まとめ
今回は相続する土地を売却するか否かという観点で回答しましたが、不動産を購入する上でも同じように、「人口減少する日本において人口流入があるエリアか」という将来の需要と供給を見ることは重要です。
目先の新しさなどに捉われがちな新築物件でこそ、その先の価値をじっくり考えてほしいと思います。
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