【教育資金】私立は公立の何倍お金がかかる?人気衰えぬ「公立中高一貫校」の「受検」とは
LIMO / 2019年11月9日 19時15分
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【教育資金】私立は公立の何倍お金がかかる?人気衰えぬ「公立中高一貫校」の「受検」とは
「子どもを私立と公立のどちらに進学させたらいいのか」。これは、子どもを持つ親なら一度は考えたことがある問題なのではないでしょうか。
公立なら学校にかかる費用を抑えやすくなり、高校までは受験をしないで済みます。一方、私立に入れればお金はかかりますが、きめ細かい指導や特徴のあるカリキュラム、子どもに合った校風を選べることなど、私立ならではのメリットが得られます。家庭の教育方針や子どもの性格によっても、適切な選択肢は変わってくるでしょう。
学習費ってどのくらいかかるの?
はじめに、文部科学省の「平成28年度子供の学習調査(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1399308.htm)」をもとに、高校卒業までに学習費がいくらかかるのかをみていきましょう。下記のグラフは学校種別にみた学習費総額とその内訳を示したものです。(グラフ「学校種別にみた学習費総額」を参照)
拡大する(/mwimgs/f/a/-/img_fa1a6cbebd3da3fced9670da7cb120c432093.png)
学校種別にみた学習費総額(文部科学省の資料をもとに編集部作成)
文部科学省は、学校教育費と学校給食費、および学校外活動費の3つを学習費としています。義務教育期間の授業料はすでに無償化されているため、公立を選べば授業料にはお金はかかりません。ただし、学校にかかるお金は授業料だけではないことに注意が必要です。
学校教育費には、授業料や修学旅行費、実習材料費や学校納付金、通学関係費などが含まれます。学校外活動費に該当するのは、塾代や家庭教師代などの補助学習費やスポーツ・レクリエーション費などです。
公立と比べると私立の学習費総額は、小学校で約4.7倍、中学校では約2.8倍、高等学校(全日制)では約2.3倍になっています。とくに目を引くのが、私立の学校教育費の高さではないでしょうか。その内訳で多くの割合を占めるのは、授業料と通学関連費、および学校納付金などです。
学校外活動費もあなどれない
私立の小中学校のデータをみると、学校外活動費の多さも目立ちます。平均すると、1年あたり10万円以上の学校外活動費が発生しているようです。
同資料によると、3歳で幼稚園に入れて高校を卒業するまでの15年間にかかる学習費総額は、すべて公立に進学した場合で約540万円、すべて私立に進んだ場合で約1770万円となっています。
「私立に憧れて入学させてみたが、お金が払えなくなった」「老後資金が貯められそうもない」という事態になるのを避けるためにも、あらかじめ子どもにかかる学習費の全体像を把握しておくことをおすすめします。
公立中高一貫校で加熱するお受験事情
中学受験と聞くと、大都会やお金持ち限定の話だと思っている人もいるかもしれませんね。かつての地方では、成績に関わらず「中学校までは公立に通う」というのがごく普通のことでした。ところが、地方にも公立中高一貫校が増えてきたことで、地域を問わずに「お受験」競争が加熱しています。
公立中高一貫校とは、「学校教育法等の一部を改正する法律」の成立によって1999年から導入可能になった新しいスタイルの学校です。中学校と高校の6年間で一貫した教育が受けられるというもので、ゆとりある豊かな学習によって個性や創造性を伸ばせると期待されています。高校受験にわずらわされることがない点もメリットです。
授業内容を前倒しして、早い時期から大学受験に備えられるのも人気の理由になっています。費用を安く抑えられる公立で高度な教育が受けられるとして、子どもを持つ親の高い関心を集めています。
中高一貫校には3つのタイプがありますが、基本的に入学にあたって学力試験ができません。代わりに、適性検査や面接、作文などが実施されます。そのため、ペーパーテストは「受験」ではなく「受検」と呼ばれています。
塾にかかるお金は授業料だけじゃない
公立中高一貫校の適性検査では、国算理社をバランスよく混ぜた問題が出されます。学んだ教科知識をそのまま書くのではなく、うまく活用する力が必要になる点が特徴といえるでしょう。与えられた資料を適切に読み取る力や自分で考える力、表現する力などが問われます。
付け焼刃的な勉強では合格するのが難しいため、小学校低学年から専門塾に通うケースも珍しくありません。塾選びでは授業料ばかりに目がいきがちですが、夏期・冬期講習や模擬試験、志望校の見学会や説明会などにも費用がかかります。また、当然ながら受験費用も必要です。
地方では公立中高一貫校の数が少ないために競争が激化しやすく、狭き門になることもしばしばです。「低学年から勉強を強いられた結果、勉強嫌いになった」「受検に失敗したことで精神的に追い詰められてしまった」というリスクがあることにも配慮しなくてはなりません。
誰のための「お受験」なのか
親としては子どもにできる限りの教育機会を与えたいと思うのは当然です。しかし、「我が子のため」といいながら、いつの間にか「親のため」になってしまうケースも少なくありません。
親のほうが中学受験に夢中になると周囲が見えなくなりがちで、「教育虐待」につながるおそれも出てきます。あくまでも本人の考えや性格を踏まえたうえで、子どもの将来を考えたいものですね。
【参考】
「平成28年度子供の学習調査」文部科学省
「中高一貫教育に関する通知等(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/3/tsuuchi.htm)」文部科学省
「中高一貫教育の概要(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/2/1316125.htm)」文部科学省
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