「都会暮らし」VS「田舎暮らし」の老後。それぞれの「選択」で想うこと
LIMO / 2019年12月22日 20時40分
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「都会暮らし」VS「田舎暮らし」の老後。それぞれの「選択」で想うこと
成人し独立した子供たちと別居が増える昨今。「子供には親のことを気にせず自分の人生を歩んでほしい」と考える親世代もだいぶ増えてきました。とはいえ、それは自分や配偶者がいつまでも元気で仲良く暮らしていけることを前提としている人も多いかと思います。
まだまだ元気な人でも「老人ホームなどに入るだけのお金を蓄えられるか」「体が動かなくなった後もこの家でやっていけるか」など、アラカン世代と呼ばれる60代の親たちは新たな悩みと向き合っているようです。自分は老後をどう生きたいか。今回は2パターンの例をご紹介していきたいと思います。
一軒家を処分し、都市部のマンションへと移り住む派
埼玉県に住んでいたTさんご夫妻。ご主人の退職後、二人の息子さんが結婚したことを機に一軒家を処分して都内ののんびりした地区のマンションへと移り住みました。Tさんたちがこの選択をしたのにはさまざまな理由があったそうです。
「息子たちはそれぞれ新しい住宅を購入しました。つまり、この先この家には誰も住まなくなるということ。そう考えるとこの家は老夫婦二人には広すぎる。そして、年老いたとき何十年も住んだこの家を誰が整理するのか考えました。
夫婦でできればいいですが、この先そんな元気が残っている自信はありませんでした。息子たちはもちろん、その奥さんたちに迷惑がかかってしまうのではないか。そんな話を夫婦でしていたときに、ちょうど程よい大きさのマンションを見つけました。
今まで一軒家でしか暮らしたことのなかった私たち夫婦ですが、話を聞くと他の契約者の中にも私たちと同世代の方もいるとのこと。駅から近く、スーパーや病院といった必要な施設も徒歩やタクシーで手軽に行ける場所だったため、これから車に乗れなくなってもここでなら便利に暮らせるのではないか、ということになりました」
そして、Tさんご夫婦は息子さんたちにそのことを相談。息子さんたちも二人の意思を尊重してくれました。
「ありがたいことに住んでいた土地などを処分したお金と蓄えていたお金でローンを組むことなくマンションが購入できました。息子がいうには、駅前のマンションなので今後もそんなに値崩れすることもないだろう、と。今後どちらかが亡くなり、片方が施設に入ることになったらそのときにここを売るのも一つの考えではないか、という結論に至りました」
新しいマンションに大満足だというTさんご夫婦。悩みやデメリットはなかったのか伺うと、今まで付き合ってきた人間関係が希薄になってしまった点をあげてくれました。
「地域の行事などはやはりその土地に長く住んでいらっしゃる方々が中心となって活動しているので、入っていきにくいところはあります。病院の待合室なども同様です。でも、同時期に入居した私たち夫婦のような方とは会えばお話もするし、新たに習い事もはじめそこではお友達もできました。主人は犬の散歩で知り合いができたとマイペースに楽しんでいます」
住み慣れた田舎で生涯を終えたい派
一方、地方在住のMさんご夫婦。こちらも三人のお子さんたちがそれぞれ独立し、広い自宅にはご夫婦二人で住んでいるそうです。
「都会で暮らす子供たちはマンションを購入しました。でも、そこは会社や学校に行くための利便性がよい場所。こちらに比べたらやはり手狭に感じます。息子も田舎暮らしが好きなので、もしかしたらこっちへ戻ってきたいと思うのではと考えるとこの家を残してあげたいという気持ちがあります」
また、ご夫婦二人もこの家を離れたくない理由がそれぞれあるそうです。
「夫は生まれてからずっとこの家に住んできました。そのため、他の土地で暮らすなんて想像もしたことがない人。私もここへお嫁にきて、近所の方々とお付き合いをしてきたのでいまさら他の場所へなんて…。大きな病気はまだありませんが、地元にはお世話になった先生方もいてくださるのでその安心感は何ものにも代えがたいと思っています。あとは、ご先祖様から受け継いだ土地、という思いが強く、それは息子も感じてくれていると思います。ただ、どちらかが亡くなった後や車が運転できなくなったらどうしたらいいのかという不安はあります。なんらかのサービスが受けられるといいのですが」
長年築いてきたものを手放さずに暮らしたい、というMさんご夫婦。スタイルを変えずに暮らしていくメリットの一方、自分たちの身体が動かなくなった際の子供たちへの負担などを口にしていました。
老後の選択はさまざま
さらに、自分たちに合ったスタイルを見つけて楽しく暮らしているという方もたくさんいるようです。
・「夫が亡くなった後、自宅を売却しました。一人でこの先住んでいくには広いし、寂しいと思ったので。今は老人マンションのようなスタイルの住居で暮らしています。自炊できる間は自分で、体調が整わないときなどは共通施設の食堂で食べることができるので自分のペースで過ごせています。そして、同世代の人と気軽に話せるのもうれしいです。夫が亡くなってから人と話す機会も減っていたので」
・「娘夫婦に双子が生まれたのをきっかけに、一軒家だった家を二世帯住宅に改築しました。玄関は別ですが、自由に行き来しながら暮らしています。今は私が孫の面倒を見ることが主ですが『いつかは助けるから』なんて娘の言葉を話半分にあまり期待せず信じています」
まとめ
老後も子供たちと同居を希望しない人が増える昨今。そこにはなるべく子供たちに負担をかけたくないという気持ちがあるようです。そのためには早いうちから資金を貯めておくのはもちろん、現在ある資産の整理や守るべき財産など、事前に家族で話し合っておくことも必要です。
いずれにしろ、親も子も納得のいく生活スタイルでいられるよう、自分の気持ちや子供たちの気持ちをあらためて考えておくことも大切なのではないでしょうか。
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