「人生会議」ポスターが私たちに与えた影響とは?~「自分の最期は自分で決める!」終活~
LIMO / 2020年1月30日 18時45分
「人生会議」ポスターが私たちに与えた影響とは?~「自分の最期は自分で決める!」終活~
皆さんは「終活」をご存じでしょうか。終活とは、人生の最期に備えるための活動です。「言葉は聞いたことがあるけれど、具体的に何をすればよいかわからない」、「財産もないし、自分には必要ない」と思う人もいるかもしれませんね。そこで、今回は終活について紹介します。
終活って具体的に何をするの?
終活でやることは大きく2つあります。「生前生理」と「死後に備える活動」です。
死後に備える活動は自分では直接タッチできませんが、生前整理は自分ですることができます。例えば「自分の死後、残された人に迷惑をかけたくない」と考える人は多く、「葬式の費用を自分で貯めておく」「お墓の管理で苦労をかけたくないから、自分で”墓じまい”をしておく」という人も少なくありません。そういったことも生前整理に含まれます。
生きているうちに持ち物を片付ける「生前整理」
人の死後にその人が使っていたものを片付けることを「遺品整理」といいます。突然死が訪れると多くの遺品がそのまま残されることになります。でも遺品整理をする遺族にとっては、どれが大切なものなのか判断できない状況になりがちです。遠方に住んでいると、なかなか整理をする時間が取れないケースも出てくるでしょう。
そのため「自分で身の回りを整理しておけば、残された人の苦労を減らせる」と考えて、持ち物を片付けたり減らす人が増えています。これが「生前整理」です。
特に借金やデジタル遺品(パソコンやスマホに残っている写真などのデータ)はやっかいな問題になりやすいので、きちんと整理をしておくことが大切です。借金をしていることに遺族が気づかないままでいると、借金も相続してしまうことになりかねません。
一方デジタル化が進むなか、ネットバンキングにお金があるのに「パスワードやIDがわからなくて引き出せない」といったトラブルも起きています。またFXをしていたことを誰にも知らせていないと、遺族が多額の損失を抱えてしまうケースもあるかもしれません。借金や投資、ネットバンキングなどの情報は、確実に遺族に伝わるようにしておきましょう。
自分が死んだ後に備える活動
死後に備える活動には、「相続税対策をする」「遺言書を書く」「お墓を用意する」などがあり、「エンディングノートを書く」ことが大きな注目を集めたこともありましたね。
2015年の税法改正によって遺産に関わる基礎控除額が引き下げられました。これまでは5000万円+(1000万円×法定相続人の数)だったものが、3000万円+(600万円×法定相続人の数)となりました。これによって相続税の申告をする必要がある人が増えることになります。この対策として生前贈与を利用するのも良い方法です。自分の死後に子どもたちが相続争いをしないように、遺言書を準備しておくことも検討しましょう。
また、お墓やお葬式を巡る状況は急激に変化しています。納骨の方法は、お墓だけではありません。納骨堂や樹木葬、散骨や手元供養など、さまざまな選択肢が登場しています。お葬式も同様です。家族葬や自宅葬、一日葬や火葬式など、コスト面を考えながら自分に合った方法が選べる時代です。
一方お葬式は残された人の悲しみを軽減する役割も担っていると考えられています。「残された家族に負担をかけたくない」と思う人もいるでしょうが、お金をかけないことだけが最善の方法ではないかもしれません。
自分の最期を自分で決めるためにしておくこと
2019年に厚生労働省が作成した「人生会議」のポスターは、賛否両論の議論を巻き起こしました。厚生労働省が推奨している「人生会議」とは、終末期にどのような医療やケアを受けたいかについて、家族など周囲の人と話し合っておく活動です。
人生100年時代を迎えた今、誰もが認知症になる可能性があり、自分で自分の最期を決められないリスクも高まっています。本人の希望を確認できず、残された人が重い決断を迫られる場合もあるのです。
認知症になる前に、自分の最期について家族や周囲の人に希望を伝えておくことは、財産の有無にかかわらず誰でもしておきたい終活といえるでしょう。「家族信託」という財産管理の一手法を使えば、認知症になった後の財産管理や相続、終末期医療などに自分の意思を反映できます。
できるところから終活を始めてみよう
終活をすると自分の人生と向き合ったり、死を考えたりもするために、つらい気持ちになってしまう人もいます。無理をせずに、身近なところから始めるのも大切なことでしょう。また終活の話は子どもから親にはしづらいものです。そのため親から話を切り出して子どもに希望を伝えつつ、できることから少しずつ終活を始めてみてはいかがでしょうか。
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