「良かれと思ってシェアした内容が…」デマを拡散しないための一呼吸
LIMO / 2020年3月17日 20時15分
「良かれと思ってシェアした内容が…」デマを拡散しないための一呼吸
SNSでは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響でさまざまなデマや噂が飛び交っています。その影響は噂にとどまらず、本来なら十分な供給がある品物なはずのトイレットペーパーなどの紙類まで店頭から消えるという事態に発展しました。余計な混乱を招く原因を作らないために、私たちができることは何なのでしょうか。
「お友達が専門家」は怪しい?
ママ友グループに複数所属しているというTさん。まだまだ得体のしれないコロナウィルスに不安な日々を過ごす一人です。TさんはSNSで情報収集をしながら子供たちが感染しないために対策を行っていました。
ある日、TさんはTwitterで「深センの病院で働く甥がいうには、すでに私たちは知らないうちにコロナウィルスに罹っている。コロナウィルスは熱に弱く26度から27度の熱で死滅するのでお茶などを多めにとるべき」という大量のイイネが付いた呟きを目にしました。イイネの数も多く、海外の医療現場からの声が届いていると感じたTさんでしたが、翌日「あの情報はデマです!26度で死滅するのであればウィルスが体内に入った瞬間勝てるのでは?」という呟きを発見。改めて「イイネが多いからといって正しい情報ではない」ということを考えたそう。
その日は特にアクションを起こさなかったTさんですが、数日後、ママ友LINEに長文の投稿がありました。
「メッセージは『医療関係に勤めている方からコロナウィルスの対策情報をいただきました』という一文からはじまっていたのですが、内容は先日見たデマメールとほぼ同じ。ただ、深センの部分が「福岡の医大の方」になっていたため、おかしいと思いながらも「ママ友が直接医療関係者に聞いた情報なら似ていてもこちらは真実なのかも?」と混乱したそうです。Tさんが返信に悩んでいると、別のママがニュース記事を添付。「この情報、どこから回ってきたの?この案件じゃないかな?」と返信すると、発信者は「園のグループメールにきたものなの!確認する!」と返答しました。
結局、デマはTさんがTwitterで見たものと同じものが少しずつ形を変えたものだったことが判明。発信者のママからは謝罪がありましたが、「大切な方に教えてあげてください」という一文に踊らされてしまったとのことでした。
「良かれと思って」で済ませてはいけない
全くの善意だったため、グループ内では笑い話で済んだというTさんですが、一点気になったことが。それは、回ってきた文章であるにもかかわらず、ママ友があたかも自分が医療関係の方から「直接」聞いたように送信してしまった点でした。「ママ友から回ってきたんだけど」といわれればすぐにデマと気づけたというTさん。身近な人が入手した専門家からの情報と感じてしまうところがデマの怖さだと思ったそうです。
コピーアンドペーストが簡単にできてしまう今、あたかも「自分の情報」のように発信することが容易になりました。それはすなわち、自分自身が気付かないところでデマを発信し、見知らぬ人を混乱させ不安にさせている可能性があるということ。この機会に今一度考え直さなければいけないのではないでしょうか。
普段から備蓄しておくこと
根拠のない治療法などに加え、人々を動揺させたトイレットペーパーの買い占め。マスクとは違い、本来なら起こらずに済んだ事態はどのように対応していたらよかったのでしょうか。
・「昨年の台風のとき、養生テープを求めてお店をはしごしました。なかなか見つからず気持ちは焦り、ようやく見つけた品物は少量なのに普段の倍以上値段がするような品でした。それを教訓に我が家では『腐らないものは平時に多めにストックしておこう』ということにしました。毎日使う消耗品は、気持ち多めに家に置くことにしたので、物置はパンパンではありますが、安心感が生まれました。カップラーメンなども購入したらストックから食べていくので、このローテーションをしていれば今回のようなときにも焦らず済むと思います」
・「実家の母がワイドショーを真に受けお店に走ってしまうタイプなので、こういったときは落ち着くように電話をしています。放っておくと私たちの分まで並んで買おうとするので、そういった自分勝手な行動は孫のためにもしないで欲しいといいました。また、備蓄しておくこととともに、不安をあおるような噂話に加わらないことも私たちひとりひとりができることだと思います」
集中した購入に加わらない様、普段から家族で話し合ったり準備しておくことの大切さを忘れないようにしたいものです。
まとめ
「デマの拡散」というと、悪そうな人が意図的に行っている姿を想像しますが、今回のように「相手を思いやる身近ないい人」であるママ友が流すことでより混乱してしまうことも。
悪意のあるチェーンメールはもってのほかですが、根拠を調べたりしないで何も考えず「自分が知った情報をシェアしてあげよう」という気持ちだけで行動してしまうと、かえって相手を混乱させてしまいかねません。混乱が続く時だからこそ、子供たちを巻き込まないためにも大人たちが一呼吸おいてから行動することも大切なことではないでしょうか。
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