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ビジネスで実力を発揮できない人に足りないのは「語彙力」

LIMO / 2020年4月27日 18時45分

ビジネスで実力を発揮できない人に足りないのは「語彙力」

ビジネスで実力を発揮できない人に足りないのは「語彙力」

「語彙力」は意外なほど見落とされがちなスキルです。しかし、語彙力は日常的に生活をする上で、もっとも多く使用するスキルの一つで、語彙力を高めなければ思わぬトラブルや、ストレスの元凶になっているものなのです。

特にビジネス社会を生きていく上では、語彙力は専門的なスキル以上に重要と言えます。なぜなら、どれだけ卓越した能力を持っていても、ビジネスコミュニケーションが円滑にこなせなければ、同僚や上司とのチームプレイの歯車がうまく噛み合わず、せっかくの専門的なスキルも活用しきれないからです。

語彙力が低いことの大きなデメリットを取り上げます。

語彙力が低いと暴力的になる

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事・安藤氏によると、「最近の若者がすぐに怒りを爆発させやすいのは、語彙(ボキャブラリー)が貧困だから」という見解を述べています(※1)。

「怒り」を相手に訴えてしっかりと理解を得るには、国語力が必要です。

・自分が怒りを感じている理由
・理不尽な状況
・なぜ相手は怒りを理解する必要があるのか?

こうした要素を客観性を持って伝えることは、簡単ではありません。

同氏は「語彙が豊富でない若者が怒りを訴える際は”うざい””キレる”くらいしかない」といいます。相手に「自分は腹を立てている」という感情しか伝えられないのでは、相手から共感や理解を得ることが出来ないのは明白です。

怒りの元凶となっているのは「自分はこうしたい」という理想と、「実際は理想通りではない」という現実とのギャップによるもので、そのギャップを埋める必要性を相手に理解させるには語彙力は必須なのです。

伝わらないとイライラする

自分の想いをうまく言語化できない場合や、相手にわかってもらえないと、人は怒りを感じるものではないでしょうか。

たとえば上司から仕事のミスで叱られたケースでは、ミスが外的要因である場合には再発防止の意味でも、理由を適切に伝える必要があります。しかし、それができるだけの語彙力がなければ「お前が何を言っているのか分からない」と伝わらなかったり、相手からの共感を得ることが出来ません。自分の気持ちがわかってもらえない場合は、ますますイライラを募らせることになりますから、結果的に語彙力の欠乏がストレスを溜めることにつながります。

語彙力がなければ、伝わるものも伝わらなくなります。適切に表現するワードを知らなければ、固有名詞ではなく「あの、これ」といった代名詞ばかりになります。また、ものごとの程度を示すにも「神ってる」などの表現をするのでは、その度合が伝わりません。

さらに語彙力がなければ、話が冗長化し、伝えるのに要する時間が長くなるので聞いている相手も何を言いたいか分からず、イライラしてしまうのです。

相手の言っていることが分からない

語彙力がなければ、相手の言っていることも分かりません。

最近、なにかと「忖度(そんたく)」という言葉が使われるようになりました。この言葉はビジネスの現場だけでなく国家間の外交上でも使われます。「日本政府は中国共産党に忖度して◯◯の政策実施を見送った」と言われても、「忖度」という言葉を理解していなければ、なぜその政策実施を見送ったのかが理解できないはずです。

相手の話が理解できなければ、興味もわかず面白く感じません。分かり合えない相手を好きになる人はいませんから、その人との距離も開いてしまうことになります。プライベートな関係であれば、それで構わないかもしれませんが、それが職場の上司や同僚だと嫌でも付き合っていかなければならず、ストレスの元凶になってしまうのです。

語彙力をつけるのに有効な勉強法

筆者は元々、国語力が高いわけではないのですが、訓練をすることで語彙力を身に着けて書籍を商業出版したり、ビジネス雑誌やネット記事でビジネス記事を寄稿する「書く仕事」に携わるようになりました。そのための有効な訓練の方法を取り上げたいと思います。

漢字検定の勉強

オススメしたいのは「漢字検定」です。日本人はとかく英語の勉強に熱を上げてしまいがちですが、外国語の力量は母国語の国語力が強く影響するという研究結果もありますから、何をおいても土台となる母国語の国語力を軽視するべきではないと考えます(※2)。

漢字検定を勉強すると、漢字の他に四字熟語やことわざなども身につけられます。結果的に、語彙力増強になります。筆者は漢字検定の2級を取得し、今でも執筆業でその時の語彙が役に立っている実感があります。

読書

読書はその人の語彙力を決する重要な要素です。ほとんど読書をしたことがない人と、日常的にたくさんの本を読んでいるビジネスマンとでは、同じ日本人でも語彙力に雲泥の差が生まれるのは明白です。

筆者は読書をする時によくメモを取っています。卓越した表現や、心に刺さったフレーズなどをメモしておき、できるだけ執筆する時に活用するようにしています。これをつづければ、読書をすればするほど雪だるま式に語彙力を高めることができるのです。

マメに調べる

誰しも「未知の単語」はあるでしょう。未知の単語に遭遇した時の対応方法で「語彙力のある人」「ない人」に命運が別れると考えます。

語彙力が付く人は面倒がらずに、マメに調べる人です。筆者も知らない言葉は即座にググるようにしています。「文章を読解する流れが分断されるので、文脈で類推するべきでは?」と言いたくなる人もいるかもしれません。

しかし、文脈で類推するには「文章の大部分を理解できること」という条件が必要で、一文の中に2つも3つも知らない言葉があれば、類推もできません。分からないところを放置しても、永遠に分からないままになってしまうことが多いですから、それなら面倒でも調べて着実に語彙力をつける方が、遠回りなようで近道になると考えます。

語彙力の有無で、ビジネスだけでなく人生そのもののクオリティーを決する要素になりますから、軽視せずに地道に付けていく方が良いのではないでしょうか。語彙力は生まれつきの才能ではなく、後天的な努力の蓄積で決まる要素なので、全員にとってフェアな世界なのです。

【参考】
(※1)『安藤 俊介「怒りをコントロールする技術」(https://www.google.com/url?q=https://www.keiomcc.com/magazine/sekigaku147/&sa=D&ust=1585209184248000&usg=AFQjCNHDjXSu7pZgV0-QXT2-8iouWksFjA)』慶應丸の内シティキャンパス
(※2)『資料5 日本語と外国語の学習による言語能力の向上について(意見の概要)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/056/siryo/attach/1367877.htm)』文部科学省

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