みんなの老後資金はどれくらい?年齢別の貯蓄と負債
LIMO / 2020年5月20日 18時45分
みんなの老後資金はどれくらい?年齢別の貯蓄と負債
~資産形成のために「NISA」と「iDeCo」を始めてみよう~
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防止するための自粛生活が続いています。緊急事態宣言が解除された地域もありますが、「3密」の心がけは必要となっています。
経済活動は制限され、各国の株式市場・為替市場・商品市場は乱高下を繰り返しています。在宅勤務を命じられ、ひとりで黙々と仕事をこなしつつ、将来に不安を持つ人もいるのではないでしょうか。
こんなときだからこそ、自分の資産を形成する方法を模索するのは良いことです。今、投資を始めるならば、税制面で優遇される「NISA」と「iDeCo」が明らかに有利です。そこで今回の記事では、「NISA」と「iDeCo」の選び方についてお伝えします。
60代の貯蓄ってどれくらい?
まず、年齢別の貯蓄と負債状況を確認しましょう。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)によると、平均の貯蓄現在高は1,755万円、負債現在高は570万円となっています。
年齢別では以下の通りです。
貯蓄現在高
40歳未満:691万円
40~49歳:1,076万円
50~59歳:1,704万円
60~69歳:2,330万円
70歳以上:2,253万円
負債現在高
40歳未満:1,341万円
40~49歳:1,124万円
50~59歳:652万円
60~69歳:250万円
70歳以上:70万円
となっています。定年間近の50代の純貯蓄額は1,052万円。2019年に話題となった金融庁の「老後2,000万円問題」で、年金とは別に老後資金として2,000万円必要といわれています。約1,000万円では足りないですが、60代では退職金などで2,000万円以上の貯蓄になっている人が多いようです。ただ、退職金が期待できない人や、平均値は貯蓄額が高い人に引っ張られてしまうので、老後資金を心配している人もいるかもしれません。
「NISA」と「iDeCo」、その共通点は?
「NISA」と「iDeCo」。投資初心者の方のなかには、名前はよく聞くけれども違いがわからない、どちらを始めるべきなのか悩んでいる、という人も多いでしょう。一緒に語られることの多い「NISA」と「iDeCo」、まずは共通点から見ていきましょう。
売買益が非課税になっている
通常、投資で得た利益には所得税(約20%)がかかってきます。もし、投資信託の売買で100万円の利益がでたら、20万円は税金として引かれてしまいます。「NISA」と「iDeCo」は非課税なので、これがかかりません。
小さな金額から投資ができる
「NISA」と「iDeCo」は比較的小さな金額から投資ができます。「iDeCo」の掛け金は最低5,000円から、「NISA」は証券会社で買えるものならいくらからでもOK、「つみたてNISA」は毎月100円から積み立てが可能です。
投資できる金額が年間で決まっている
「NISA」と「iDeCo」はいくらでも投資できるわけではなく、投資できる上限が決まっています。また、どちらもひとりにつき口座はひとつです。複数の証券会社に口座を持つことはできません。
「iDeCo」の特徴と向いている人
「iDeCo」は個人型確定拠出年金とも呼ばれ、20歳以上60歳未満の方なら加入できる制度です。原則60歳まで引き出すことはできません。積立資金は全額所得控除になるので、住民税と所得税が軽減されるだけではなく、運用益が非課税となっています。通常運用益には20.315%の税金(所得税15.315%+住民税5%)がかかるので、非課税になるのは大きなメリットといえます。
さらに60歳になって資金を受け取る際にも控除があります。年金で受け取る方は「公的年金等控除」、一時金で受け取る方は「退職所得控除」が適用され、いずれも所得税が軽減されます。また、「iDeCo」で投資できる金融商品には投資信託や元本確保型の定期預金、保険などがあります。
「iDeCo」の最大の特徴は、積立資金が控除されるため住民税と所得税の節税になることです。元本が確保される商品に投資することで、リスクなく節税が行えます。したがって、所得があって60歳まで継続できる資金力のある人は、だれでも「iDeCo」に向いているといえます。逆に、60歳まで引き出せないことを受け入れられない人には向いていません。また、住宅ローン控除やその他の方法を利用して所得税をあまり納めていない人は、大きなメリットは得られない可能性があります。
「NISA」の特徴と向いている人
「NISA」は、上場株式や投資信託に投資することができ、投資した分の配当金、分配金にかかる税金のほか、売却した時の売却益にかかる税金が非課税になる制度です。「NISA」には「一般NISA」と「つみたてNISA」があります。
「一般NISA」では年間120万円を上限に、最長5年間まで投資が可能。「つみたてNISA」では年間40万円の範囲内で、最長20年間の投資ができます。「一般NISA」と「つみたてNISA」の両方運用することはできないので、どちらかを選択する必要があります。途中解約も可能です。また、「一般NISA」では株式や投資信託、「つみたてNISA」では投資信託やETFに投資できます。「iDeCo」のように元本確保型の商品はありません。
「NISA」の特徴は、「iDeCo」よりも投資できる金融商品の幅があること。商品によっては月額100円から始められるものもあります。いつでも購入した金融商品を売却し、現金化できることも魅力です。
したがって、少額で積み立てをしたい人や(「iDeCo」と比べて)短い期間で積み立てる計画を立てたい人は「NISA」に向いています。また、所得税をあまり納めていなくて「iDeCo」にメリットがない人は、より自由度の高い「NISA」を選ぶといいでしょう。
最も大切なのは続けること!
COVID-19による各市場の急降下から、「マーケットが安いときこそ買いどきだ!」というトークがチラホラと目につきます。しかし、これは「いまコインの裏が出たから次は表が出る!」といっているのと変わりありません。こういう声に乗せられて投資を始める人は、少し損がでたら投資を諦めてしまう場合が多いです。
5年、10年、あるいはもっと長い期間の積み立てをするには強い意志が必要です。これから先10年の間には金融危機や大災害など、良くないことが起こるかもしれません。その間もコツコツと積み立てを続けるには、まずは家計の負担にならない金額を設定してみてはいかがでしょうか。
幸い、「つみたてNISA」と「iDeCo」は、はじめた後はほとんど手間がかかりません。そのうちに、意外と大きな金額になっていることに驚くでしょう。ここまでくることができれば、投資の面白さに気付き、続けることも困難ではなくなっているはずです。
まとめ
2019年12月に与党から2020年度税制改正大綱が発表され、その後閣議決定されました。加入条件の緩和、積立期間の延長などが決まり、「NISA」、「iDeCo」ともにより使いやすい環境になります。
「NISA」と「iDeCo」は併用することもできます。どちらも長期的な資産形成のために国が整備し、用意しているものです。自分に合った制度を選び、適切な投資額を設定し、活用しましょう。
参考
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)総務省統計局
「厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」(https://limo.media/articles/-/15223)LIMO
「公務員と会社員の退職金、どれくらい違うの?」(https://limo.media/articles/-/16320)LIMO
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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