株価が下がったら喜ぶべき!?「景気が悪い時には投資せよ」の実現は積立投資で
LIMO / 2020年6月27日 20時0分
株価が下がったら喜ぶべき!?「景気が悪い時には投資せよ」の実現は積立投資で
明治でも令和でも投資手法は変わらない
少々古い文体の文章の引用ですが、まずはご一読ください。
「『好景気、楽観時代は思い切った勤倹貯蓄』(すなわち金〈かね〉を重しとする)、『不景気、悲観時代には思い切った投資』(すなわち物を重しとする)といった鉄則を樹てて直進することを人にもすすめている。要するに利殖の根本をなすものは「物と金」の適時交替の繰り返しであって(以下略)……。」
これは林学者で日比谷公園や明治神宮の建立に尽力した本多静六翁が、戦後の昭和25年(1950年)に著した『私の財産告白』(実業之日本社)からの一節です。
要約すると、「景気が良い時は現金を貯め、景気が悪い時には投資をせよ。投資は結局、現金と資産(物)の交換をすること」ということなのです。
ウィズコロナの今、この一節がまさに的を射ていると思うのは筆者だけではないでしょう。好景気で株価は上がり、不景気には株価は下がる。3月のコロナショックの後、日経平均株価は約3割下落し、ニューヨーク・ダウも同様に約4割下落しました。
もっとも、直近ではかなり反発して、市場はアフターコロナの企業業績を先読みしているところです。
底値は誰もわからない
さて、本多翁の指摘通り、常に現金を多めに保有し、株価や資産価格が低下した局面で投資するのは、確かに理想です。しかしながら、そのタイミングに備え現金を貯めておくのは、そう簡単ではありません。
さらに、投資してリターンを最大にするためには投資対象資産の収益率もさることながら、投資金額の多寡が収益額の大きなファクターであることは忘れられがちです。当然ながら、同じ10%のリターンでも100万円投資する場合と10億円投資する場合では、前者は10万円の収益、後者は1億円の収益になります。
それでは、一般消費者である私たちはどうすればいいのでしょう。“大勝負”できる資金を貯めて、相場下落のタイミングを待つべきでしょうか。
筆者はこう考えます。投資タイミングを決めることができ、数千万円の資金を一気に投下できるメンタリティを持っている方は思い切って勝負してもいいと思います。でも、ほとんどの方は投資金額の多寡というよりも、そこまでの投資マインドが醸成されていませんから、一か八かの勝負になりがちです。
ですので、着実さを望み、かつ無理をする必要のない読者のみなさんは、本多翁のアドバイスである「物と金の適時交替の繰り返し」をつみたて投資で実践すればいいのです。
図表1は筆者がつみたてNISAで実践している、過去1年のつみたて投資の投資実績です。
投資対象は、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で、米国株式の代表的指数であるS&P500指数をベンチマークとしたインデックスファンド(指数連動ファンド)です。同ファンドの基準価額は同指数に連動しますが、筆者が基準価額を見ることはほとんどありません。
つみたてNISAの年間上限は40万円ですので、毎月3万3,333円ずつ購入しています。この1年間、合計投資額は39万9,996円、買付口数は370,029口、平均買付基準価額は1万810円となります。
執筆時の最新基準価額は1万1306円(6月22日時点)ですから、投資金額に対するこの期間のリターンはプラス4.6%となります。
これをグラフ化したのが図表2です。はっきり分かりますが、基準価額上昇時に購入口数が少なくなる一方、下落時には購入口数が増加します。特に4月初めに基準価額が大幅下落し、買い付け口数が激増したのがお分かりになるでしょうか。
長期投資で大きな意味を持つ「平準化」
つみたて投資の効用は、下落タイミングを図ることなく自動的に投資対象を買い付けることですから、基準価額が下がった際に“自動的に”口数が多く買えるようになるわけです。
もちろん、基準価額が上がる際にも買い付けますので、長期的には購入基準価額が平準化されます。この平準化が長期投資においては大きな意味を持つのです。
筆者はつみたてNISA口座でもiDeCo(個人型確定拠出年金)でも毎月投資信託を買い付けていますが、これらを解約して実際に資金を使うようになるには、少なくともまだ5〜6年あります。その期間にできるだけ多くの口数を買い付けることが目標です。
もちろん、最終的に「ファンドの基準価額が平均購入額以上のリターンであれば良い」くらいのスタンスです。高望みはしていません。数年も経てば、いずれコロナショックも忘れられます。リーマンショックと同じです。
先憂後楽の気構えで、資産はのんびり積み立てていきましょう。
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