「勝ち組」になった日本ケンタッキー・フライド・チキン、2期連続最高益を見込む背景
LIMO / 2020年9月4日 11時0分
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「勝ち組」になった日本ケンタッキー・フライド・チキン、2期連続最高益を見込む背景
来週水曜日の9月9日は「カーネルズデー」です。これは、日本ケンタッキー・フライド・チキンが、米国ケンタッキー・フライド・チキン社の創業者であるカーネル・サンダース氏の誕生日に因んで2003年に制定しました。カーネル・サンダース氏はどの店舗でも見られる、あの白髪+白髭のおじさんです。
毎年、このカーネルズデーには限定メニューの販売や、店舗限定の「オリジナルチキン」食べ放題イベントの開催等が行われています。
ガソリンスタンドの一角で始まったフライドチキン
1890年生まれのカーネル・サンダース氏は、軍隊への入隊や様々な職種を経験した後、1920年に米国ケンタッキー州でガソリンスタンドの経営を始めます。そして、1930年からそのガソリンスタンドの一角に「サンダース・カフェ」というレストランコーナーを始め、当時としては大盛況となったようです。この店の目玉料理がフライドチキンでした。
1953年、サンダース氏は他のレストランにフライドチキンの調理方法を教えて歩合を得るという新しいビジネスモデル(現在のフランチャイズ)を始めました。その後は世界有数のチェーン店に発展して今日に至っています。
なお、サンダース氏は1980年に白血病で亡くなっています。享年90歳でした。
さて、そんなカーネル・サンダース氏が設立したケンタッキー・フライド・チキン社(以下、KFC)ですが、彼が第一線を引退後に被買収を繰り返しました。一時はペプシコ社の傘下にありましたが、現在はペプシコからスピンオフしたヤムブラウンズの傘下にあります。
日本におけるKFCの事業展開の歴史
一方、日本での展開はどうでしょうか。日本では、三菱商事と米国KFCコーポレーションとの合弁という形で、日本ケンタッキー・フライド・チキン社が1970年に設立されました。その後、1990年に東証2部に上場し、2007年には三菱商事が米国KFCの持分を買取ったことで、三菱商事の連結子会社として歩んできました。
なお、2015年11月に三菱商事が持分の一部を売却(市場売出)したことで、三菱商事は親会社ではなくなりましたが、依然として最大株主(持ち株比率35.1%)として影響力を有しています。
また、日本ケンタッキー・フライド・チキン社は現在、その持ち株会社である日本KFCホールディングス(9873)の傘下にある100%子会社です。
マクドナルドより早い日本での事業開始
少し意外かもしれませんが、日本におけるKFCの事業展開の歴史は古く、第1号店のオープンは1970年11月です。これは、マクドナルドの日本1号店(1971年7月)より9カ月近く早いものでした。一方、現在の店舗数は1,133店舗(直営306店舗、FC827店舗、2020年3月末)まで拡大しましたが、マクドナルドの2,906店舗(2020年3月末)の半分もありません。
「鶏の唐揚げ」は人気メニューですが、日本人にはアルコールやご飯なしで、そのまま食べるのは今ひとつ合わないのかもしれません。それでも、誰もが知っているファストフードとして定着しているのは確かです。
値動きがほとんどなかった日本KFCホールディングスの株価
誰もが知っている日本KFCですが、資本市場(株式市場)での認知度は今一つだったことは否めません。直近10年間の株価チャートが示す通り、2019年6月まではほとんど目立った値動きがありませんでした(注:株価は日本KFCホールディングス、以下同)。
業績悪化が顕著となった2015年後半から2016年前半にかけて下落基調が鮮明になった時期こそあったものの、ザックリ言えば2,000~2,200円で9年近くビターっと動かない状況でした。
確かに、東証2部上場ということで、外国人投資家や機関投資家の投資対象になり難い点はあったとはいえ、正直、ここまで値動きのない銘柄は珍しいと言えましょう。このように長期にわたって値動きが小さいということは、投資家にとって魅力に乏しいということになります。
直近1年間の値動きが大きくなった背景は?
ところが、2019年6月以降、株価は良い意味で値動きが大きくなりました。しかも、出来高を伴った値動きとなっていることから、多くの投資家による売買が活発になったことが容易に推察できます。言い換えると、投資家にとって投資する魅力が出てきたということです。
さらに、ここ1年はコロナショックの影響もあり乱高下していますが、基本的に株価は上昇基調にあると考えていいでしょう。足元の株価2,800~3,000円は約17年ぶりの高値水準です。ただし、2019年末に付けた3,620円からはやや低迷しています。
日本KFCHDの過去10年の株価推移
(/mwimgs/0/0/-/img_0022320666ab88164ad1bd6beda92a87108899.jpg)拡大する(/mwimgs/0/0/-/img_0022320666ab88164ad1bd6beda92a87108899.jpg)
原点回帰でファストフード業界「勝ち組」の1つに
それまでほとんど目立った値動きがなかった株価が急に動意づいたのはなぜでしょうか?
これは、フライドチキンへの原点回帰、及び、それに伴う業績拡大が評価され始めたためと考えられます。日本KFCホールディングスは、2017年6月にピザハット事業(宅配ピザ)を売却し、フライドチキン事業への経営資源集中を鮮明にしました。
この原点回帰が奏功し、先の2020年3月期の業績は過去最高益を更新。コロナ禍で苦戦が予想された2021年3月期も2期連続の最高益更新を見込んでいます(会社予想)。
実は、株価の値動きが非常に乏しかった時期、業績も停滞感が強く漂っていました。これは、「ファミマチキン」に代表されるコンビニ商品等との競合が激化し、主力のフライドチキン事業の収益力が低下したためです。ここで経営陣が取った策が、多角化に見切りをつけた原点回帰でした。
その後、競合他社との厳しい競争が続く中、フライドチキンの新商品投入などにより、既存店の売上高は2018年12月~2020年5月まで18カ月連続でプラスとなりました。6月はややマイナスに転じたものの、7月以降は再びプラスを維持するなど、ファストフード業界ではいわゆる「勝ち組」に属しています。
日本KFCの今後の収益拡大を、株式市場がどう評価していくのか注目です。
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