「家族の介護をしている人」の年齢層はどのくらい?
LIMO / 2020年10月18日 17時0分
「家族の介護をしている人」の年齢層はどのくらい?
家族に介護が必要となったとき、もしくは今現在介護が必要な人がいるご家庭で、介護の主な担い手となるのは誰でしょうか。また、将来あなた自身に介護が必要となったとき、誰にケアをお願いしたいですか?
サザエさんやちびまる子ちゃんの家族のような、三世代が一緒に暮らす世帯は、数・割合ともに激減しています。これは、介護や子育てを世代間で分担することが難しいケースが増えているということでしょう。
今回は、高齢者だけの世帯が増えている背景も意識しながら、厚生労働省や内閣府のデータをもとに、「家族の介護を担う人」についてのデータをひもといていきます。
「波平さん」「友蔵さん」は減っている
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」によると、1989年(平成元年)、65歳以上の人がいる世帯の40.7%にあたる438万5000世帯が、「三世代世帯」でした。その数は、2001年(平成13年)に417万9000世帯(25.5%)、2019年(令和元年)には240万4000世帯(9.4%)と、数・割合ともに減っています。
65歳以上の人がいる世帯は、全世帯の5178万5000世帯の49.4%にあたる2558万4000世帯。そのうち「夫婦のみ」の世帯が827万世帯(32.3%)、「単独世帯」736万9000世帯(28.8%)となっており、その割合は増加の一途をたどっています。
少子高齢化・核家族化を如実に表すデータです。次では、要介護者がいる世帯についてもみていきます。
要介護者がいる世帯、約3割が「一人暮らし」
続いて、同調査から、「要介護者のいる世帯」の割合を、世帯構造ごとに分けてみていきましょう。
三世代世帯
2001年…32.5%
2004年…29.4%
2007年…23.2%
2010年…22.5%
2013年…18.4%
2016年…14.9%
2019年…12.8%
核家族世帯(【 】内は、そのうちの夫婦のみの世帯)
2001年…29.3%【18.3%】
2004年…30.4%【19.5%】
2007年…32.7%【20.2%】
2010年…31.4%【19.3%】
2013年…35.4%【21.5%】
2016年…37.9%【21.9%】
2019年…40.3%【22.2%】
単独世帯
2001年…15.7%
2004年…20.2%
2007年…24.0%
2010年…26.1%
2013年…27.4%
2016年…29.0%
2019年…28.3%
こちらも、核家族・一人暮らしの割合が増えています。介護を必要とする人がいる世帯のうち、28.3%が一人暮らし世帯である(2019年)、という点は看過できないでしょう。
「人生100年時代」というように、老後の生活は長いです。介護が必要となる可能性は、誰にでもあります。同調査では、介護が必要となった主な原因として
1位 関節疾患…20.3%
2位 高齢による衰弱…17.9%
3位 骨折・転倒…13.5%
を挙げています。
いずれも年齢を重ねていくうえで、「完全に避ける」ということが難しいものでしょう。今健康に自信があっても、将来的に日常生活のサポートが必要となる可能性は誰にでもあるといえるでしょう。
では、みんなは、自分に介護が必要となったら、誰に頼みたいと考えているのでしょうか?次では内閣府の意識調査の結果をみていきます。
男性の半数以上が「妻」と回答、介護を頼みたい人は誰?
では、みんなは、自分に介護が必要となったとき、誰に頼みたいと考えているのでしょうか?
ここで、内閣府が55歳以上の人を対象に実施した「高齢者の健康に関する調査(2017年)」から、「必要になった場合の介護を依頼したい人」、についてみていきましょう。
1位
男性:配偶者・・・56.9%
女性:ヘルパーなど介護サービスの人・・・39.5
2位
男性:ヘルパーなど介護サービスの人・・・22.2%
女性:子・・・31.7%
3位
男性:子・・・12.2%
女性:配偶者・・・19.3%
4位
男性:兄弟姉妹・・・2.0%
女性:子の配偶者・・・3.0%
5位
男性:子の配偶者・・・0.5%
女性:兄弟姉妹・・・1.5%
(※)同調査で「将来自分に介護が必要になった場合に、具体的な不安がある」と答えた1964人を対象した調査項目
傾向としては、「配偶者」を希望する人は、女性では年齢の低い層ほど多く、「子」を希望する人は、男女とも年齢の高い層ほど多い、という結果となっています。なお、調査結果の詳細からは、健康状態や都市規模による大きな差はみられませんでした。
ここまでのデータを意識しながら、次では、どんな間柄の人が実際に介護をしているかをみていきます。
主に介護をしているのは誰?
では、再び「国民生活基礎調査(2019年)」から、メインで家族の介護を行っている人について、介護を受ける本人との間柄をみていきます。同居・別居それぞれの場合の割合を追っていきます。
「介護する側・受ける側」の間柄は?
介護する人が同居していない場合…45.6%
内訳
・別居の家族等…13.6%
・事業者…12.1%
・その他…0.5%
・不詳…19.6%
介護する人が同居している割合…54.4%
内訳
・配偶者…23.8%
・子…20.7%
・子の配偶者…7.5%
・父母…0.6%
・その他の親族…1.7%
介護をする人との同居の有無で、それぞれ変わってきますね。同居している場合は、「子の配偶者」が3番目に多い結果となっています。なお、同調査では同居していない場合の「別居の家族等」の内訳は公表されていません。
次では、同居の主な介護者の性別・年齢についてみていきましょう。
介護する側の性別・年齢層は?
引き続き、「国民生活基礎調査(2019年)」から、「同居の主な介護者の性・年齢階級別構成割合」についてみていきます。
性別・年齢別にみた「同居の介護者」
◆男性…35.0% ◇女性…65.0%
「介護する側」の年齢層
◆男性
40歳未満…2.5%
40~49歳…6.2%
50~59歳…18.8%
60~69歳…28.5%
70~79歳…21.1%
80歳以上…22.8%
◇女性
40歳未満…0.9%
40~49歳…5.3%
50~59歳…20.1%
60~69歳…31.8%
70~79歳…29.4%
80歳以上…12.6%
男女別でみると、女性が男性の1.8倍となっています。80歳以上の女性で割合がガクッと下がっているのは、「年上の配偶者介護が終わった後」の人が多いことが一因でしょうか。
次では、これをさらに「介護される人」と「介護をする人」の年齢層に着目していきます。
「介護する側&される側」年齢層の組み合わせ
では、実際に介護を行っている人の割合を年齢層分布ってどんな感じなのでしょう。ここでは、「どの年齢層」が「どの年齢層」を介護しているかをみていきます。
介護される側が「40~64歳」のとき
介護する人
40歳未満…1.8 %
40~49歳…16.0 %
50~59歳…24.4%
60~69歳…29.5%
70~79歳…18.8%
80歳以上…9.5%
介護される人が「65~69歳」
介護する人
40歳未満…7.4%
40~49歳…4.4%
50~59歳…5.7%
60~69歳…59.3%
70~79歳…21.6%
80歳以上…1.6%
介護される人が「70~79歳」
介護する人
40歳未満…1.8%
40~49歳…9.5%
50~59歳…9.6%
60~69歳…12.7%
70~79歳…56.0%
80歳以上…10.2%
介護される人が「80~89歳」
介護する人
40歳未満…1.1%
40~49歳…4.3%
50~59歳…31.6%
60~69歳…21.6%
70~79歳…16.2%
80歳以上…25.1%
介護される人が「90歳以上」
介護する人
40歳未満…0.6%
40~49歳…2.5%
50~59歳…10.3%
60~69歳…10.3%
70~79歳…58.2%
80歳以上…18.4%
40~69歳の人を介護しているのは、60~69歳」がボリュームゾーンとなっており、それ以上の年齢層では、「老々介護」となる動きが顕著です。
また、40歳未満で介護を担う人が、常に一定数いる点も気になります。この中には、子育てと介護が同時期に重なる「ダブルケア」や、本来は大人が担うような介護をせざるを得ない「ヤングケアラー」と呼ばれる若者たちの数が含まれている点についても、今後焦点を当てていくことが必要でしょう。
さいごに
2020年は、日本で介護保険が誕生して20年目の年。介護を必要とする人の数は右肩上がりです。核家族化・少子高齢化が進み、介護をめぐる環境も昭和の時代とはだいぶ変化してきています。
例えば、介護保険の住宅改修制度を活用して手すりを設置することで、家の中での転倒事故などを減らすことが期待できます。また、訪問介護や通所介護を活用することで、家族の負担も軽減されそうです。
高齢者や介護を必要とする人がいる家庭にとって、適切な介護サービスや社会資源に繋がっていくこと非常に大切なことだといえます。
【参考】
「2019年 国民生活基礎調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)」厚生労働省
「高齢者の健康に関する調査(2017年)(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/zentai/index.html)」内閣府
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