日本新三大夜景都市はどこ? 神戸や函館を上回った意外な街とは
LIMO / 2020年10月23日 21時0分
日本新三大夜景都市はどこ? 神戸や函館を上回った意外な街とは
あと1週間ほどで11月ですが、最近は11月初旬になると街並みは徐々にクリスマス・年末モードに突入するようです。そして、1年の終わりが近づいたことを実感する代表的なものが、イルミネーションではないでしょうか。美しいイルミネーションに飾られた街並みを観て歩いて、過ぎ去ろうとする1年に思いを馳せることは、今や世界共通の恒例イベントと言えそうです。
ただ、コロナ禍に大きく揺さぶられた今年のイルミネーションは、様々な意味で例年とは違ったものになるかもしれません。
国内の正式なランキング「日本新三大夜景都市」とは
そのイルミネーションと大きく関連があるのが夜景です。美しい夜景を眺めていると心が洗われる気持ちになりますが、日本では一応、正式なランキング付けが行われています。
一般社団法人「夜景観光コンベンション・ビューロー」が2015年に、新たな日本ブランドとして国内外への発信・普及と夜景観光の活性化を目的として発表した「日本新三大夜景都市」がそのランキングになります。
選考方法は、全国約4,500人の夜景観光士(旧 夜景鑑定士)と称される人が投票を実施。投票された各夜景スポットを都市別に分類し、集計結果から上位三都市を『日本新三大夜景』と認定するものです。夜景観光士とは耳慣れない言葉ですが、少なくとも、「夜景観光コンベンション・ビューロー」の独断で決められるものではないことは確かのようです。
一昨年に発表された第2回ランキングの結果
そして、一昨年2018年は3年に1度の再認定の年となり、改めて“投票”が行われた結果、第2回ランキング発表に至りました。まずは、その結果を振り返ってみましょう。なお、カッコ内は第1回(2015年実施)の順位です。
第1位:長崎市(1位)
第2位:札幌市(2位)
第3位:北九州市(5位)
第4位:神戸市(3位)
第5位:東京都(8位)
第6位:函館市(4位)
第7位:大阪市(6位)
第8位:横浜市(7位)
第9位:京都市(9位)
第10位:静岡市(圏外)
神戸や函館を抑えて北九州市がトップ3に食い込む!
第2回ランキングの注目は、何と言っても北九州市の躍進でしょう。“1,000万ドルの夜景”と称される神戸市や、世界屈指の夜景と評される函館市を抜いて堂々の第3位となり、新たな『日本新三大夜景都市』として認定されました。
前回も第5位と一定の高評価はあったようですが、神戸や函館を上回るとなれば、一度は観てみたいと思う人も多いのではないでしょうか。
ただ、“北九州市の夜景”と聞いてもピンと来ない人も多いはずです。しかし、北九州市はコツコツと夜景観光に注力してきました。
特に、北九州工業地帯にある多くの工場にイルミネーションを付して、さらに、その工場の夜間作業に伴う照明も加わり、それを海から眺める“夜景クルージング”が大人気となっているのです。
従来の夜景観光とは違った、ある意味で斬新なアイデアと言えそうです。
訪日外国人観光客増加の一方で深刻化していた“素通り”問題
実は近年、北九州市に限らず、夜景観光に注力している自治体(大都市、地方都市等)は増加しているようです。この背景にあるのが、観光客、とりわけ、外国人観光客の“素通り”問題です。確かに、訪日外国人観光客は大幅増加が続いており、2019年は約3,188万人で過去最高を記録しました。
しかしながら、有名観光地やランドマークへは日帰りで行く外国人が圧倒的に多く、宿泊は有名飲食店や繁華街のある大都市に集中しているのが実情です。その結果、大都市以外には、想定していたほど経済効果が及んでいないと見られています。
国内外観光客の宿泊を増加させるインスタ映えの夜景観光
やはり、泊まって飲み食いして支出金額を増やしてもらわないと、観光地は経済的に潤わないのです。実際、宿泊観光客の消費額は、日帰り観光客の4倍以上というデータもあります。つまり、外国人観光客を“素通り”させずに、いかにして長く滞在させるかが、重要な課題となっているのです。
この課題を解決する1つの大きな手段が、夜景観光です。何しろ、夜景を観るためには、基本的に宿泊する必要があります。また、外国人(日本人も?)が大好きなSNSに美しい夜景はピッタリです。インスタ映えには最適と言っていいでしょう。
さらに、一部の新興国では、治安上の問題などから夜間の外出を控えることも珍しくなく、夜景を楽しむという発想そのものがないと考えらえます。美しい夜景を安全に観ることができるのは、日本の魅力の1つとして定着しつつあるのではないでしょうか。
コロナ禍にある今年の夜景は、来年の希望を見出せるものになるか?
しかしながら、一連のコロナ禍で訪日外国人観光客数は激減し(今年4月以降は前年比▲99%減)、インバウンド需要に頼ってきた様々なビジネスが壊滅的な打撃を受けています。
宿泊施設など観光旅行業界は、その最たるものの1つです。また、最近は政府の「Go To トラベル」でやや持ち直しの兆しを見せている日本人観光客も、依然として大幅な前年割れから抜け出せない状況にあります。美しく魅力的なイルミネーションで夜景を作り出す側も、夜景を観て楽しむ側も、“夜景どころじゃない”のかもしれません。
実際、コロナ禍の影響を受け、街中では閉店・休業に追い込まれたり、営業時間短縮を余儀なくされたりする店舗が非常に多く見られます。
こうした状況下において、今年はどのような夜景になるのでしょうか? 夜景自体を中止や自粛することはないと思われますが、例年とは違った夜景、“あれっ?こんなに暗かったかな”というように、見る側にとって期待外れとなる可能性があることも否めません。
今年2020年は、多くの人が多くのことを犠牲にして、ただひたすら耐えに耐えた年だったと思います。来年2021年への希望を見出すことができるような夜景が観られるよう期待するばかりです。
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