50歳代以下の「心の病」が増加。パワハラに逆パワハラ…モヤモヤの原因は何?
LIMO / 2020年10月29日 18時15分
50歳代以下の「心の病」が増加。パワハラに逆パワハラ…モヤモヤの原因は何?
上下関係、人間関係、仕事量の多さ・・・・・・。働いていると大小なりともストレスを抱えてしまいます。
これまでは個人の問題で片付けられがちだったストレスも、2015年度からストレスチェックが義務化され、企業のストレスが「見える化」されるようになりました。また、「ハラスメント」という言葉は誰もが知るところとなり、パワハラならぬ「逆パワハラ」というものも。「言葉にできないけれどモヤモヤする」ストレスを抱えていませんか?
職場のストレスにはどのようなものがあるのでしょうか。
プレッシャーとストレス?50歳代以下「心の病」が増加
2019年の公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所による第9回「メンタルヘルスの取り組み(https://www.jpc-net.jp/research/detail/002733.html)」に関する企業アンケート調査の結果を見ていきましょう。
年代別の割合では、10~20歳代の「心の病」が増加傾向にあり、30歳代・40歳代と横並びになりました。2010年(第5回)までは、30歳代の「心の病」が全体の約60%にのぼり、その理由を「仕事の責任の重さと権限のアンバランスさ」が理由と考えられてきました。ですが、2012年以降30歳代の「心の病」は約35%にとどまり、10~20歳代と40歳代が増加してきました。
これは、近年の年功制が崩れたことに加え、契約社員、派遣、パートやアルバイトなど働き方が多様になったことも理由の一つと考えられます。転職が以前よりも当たり前となり、10~20歳代が「即戦力」として仕事を任されることや、40歳代以降であっても役職や権限をもてないこともまれではありません。
働き方の変化によってどの世代もストレスにさらされるようになり、これまで30歳代に特徴的だった「責任と権限のアンバランスさ」がほぼ全世代に広がったといえます。「年上だけど新人だし」「新人でも責任ある仕事を任される」など、プレッシャーやストレスを感じながら仕事をする場面も増えました。そういったアンバランスさにとまどいを感じる人が全世代に広がったといえます。
パワハラに次ぐ「逆パワハラ」って?
パワーハラスメント(パワハラ)という言葉は世間に浸透し、今や誰もが知る言葉です。今ではセクシャルハラスメント(セクハラ)とともに、ハラスメント防止の研修を取り入れる企業も増えてきました。上司が職場内での立場を利用して同じ職場の部下や後輩などに精神的・身体的な苦痛を与える「パワハラ」、一方で「逆パワハラ」で悩む人も増加しています。
「逆パワハラ」とは、パワハラを逆手にとり「それパワハラですよね、報告します」や「訴えますよ」などと過剰に騒ぎ立てたり、職務命令を無視したりすることをいいます。年功制が崩れ人材確保が難しくなり、すぐに離職されては困ることから「叱らない・叱れない」職場環境で起こりがちなハラスメントです。
「なんだかモヤモヤする部下がいる」と悩んでいる原因は「逆パワハラ」かもしれません。
・何を言っても反抗し仕事の指示を聞かない
・感情的で自己主張ばかり、いつもケンカ腰
・指示や指導がまったく通じない
など、注意をしても一向に改善されなかったり、逆にキレられたりと業務に支障が出る場合もあります。
逆パワハラでストレスを抱えているのなら、家族や同僚に愚痴をいうだけでは解決になりません。あまりに耐えがたい場合は上司や相談窓口への相談も考えてみましょう。
もう嫌だ!30%が人間関係にストレスを感じている
チューリッヒ生命が、2020年3月27日(金)~2019年3月30日(月)に全国の20歳~59歳の男女有職者1000人に回答した「2020年 ビジネスパーソンが抱える仕事に関する調査(https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2020/20200423)」によると、ストレス要因のトップは「収入(経済面)」22.4%、「仕事内容」21.4%、でした。また、「上司との人間関係」14.6%、「上司・部下以外の社内の人間関係」14.4%で約30%が人間関係にストレスを感じていることがわかります。
職場の人間関係はストレスと直結します。特に、丸1日社内で仕事をする場合は影響が大きいものです。たとえば、「社員のことを信頼していない上司」や「ミスを押しつける先輩」、「言うことが二転三転する上司」「調べずに聞いてばかりくる後輩」など、その人の個性では片付けられないストレスも。
また、辞めるに辞められない状況はなかなかつらいものですよね。たとえば「人間関係は良好だけど給料が少ない」ことなどが挙げられます。収入や仕事内容、人間関係と職場にはストレスの要因が多方面にあります。疲弊しないために、優先順位をつけて割り切ってしまうのも一つの手かもしれません。
令和は「総ストレス時代」。自分に合った解消法を見つけよう
「言葉にできないけれどモヤモヤする」。働き方の変化や人間関係などが複雑に絡み合って、10~40歳代の多くは「心の病」につながるストレスを感じています。特に、上司や部下など自分以外の誰かから受ける人間関係が原因となることがわかりました。上も下も関係なく誰もがストレスを感じる「総ストレス時代」といえます。
「仕事だから」と割り切れない場合は、誰かに相談したりリフレッシュ方法を探したりして、過度に自分に負担をかけないようにしていきたいですね。
【参考資料】
「第9回『メンタルヘルスの取り組み(https://www.jpc-net.jp/research/detail/002733.html)』に関する企業アンケート調査結果」公益財団法人日本生産性本部
『平成30年雇用動向調査結果の概要(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/kekka_gaiyo-04.pdf)』厚生労働省
「2020年 ビジネスパーソンが抱える仕事に関する調査(https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2020/20200423)」チューリッヒ生命
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