出勤簿の書き換え、休日出勤はなかったことに…社員の心を削るブラック企業エピソード
LIMO / 2020年11月29日 9時0分
出勤簿の書き換え、休日出勤はなかったことに…社員の心を削るブラック企業エピソード
ブラック企業という言葉が日常的に使われるようになって久しくなりました。中にはハラスメントの横行や残業時間の改ざんを強要するなど、とんでもないブラック企業もあるようです。今回は、そんな企業に勤めていたという人たちに、心を削られた出来事について聞いてみました。
出勤簿は上司の手にゆだねられる
「出勤簿は締め日の前日には上司にデータで送る必要があって、そこで書き換えられるのが常態化していた」というのは、システムエンジニアの仕事をしている20代のAさんです。
「出勤簿を部長が預かり、課の全員分プリントアウトして人事に提出していたのを見たので、入社した月の締め日にExcelのシートを自分でプリントアウトして提出した。そうしたら部長に『二度とやるな、Excelシートのデータのまま寄越せ』と言われてびっくりした。よかれと思ってプリントアウトしたけれど、そうするとデータの書き換えができないからNGなのだと知ったのはそのあと」と振り返ります。
「そのため、実際の残業が60時間であっても給与明細には29時間と記載されていた。そのうちにExcelで自動計算される合計残業時間の欄を30時間未満にするのが当たり前になってきて、29.5時間とか29時間とかギリギリに調整して出すのが暗黙のルールと化していた」のだそう。
「でも、大学の後輩と飲んでいたときにその暗黙のルールについて笑いながら話したら『なんで辞めないんですか? どんなに残業してもお金もらえないのに』と言われて何かが崩れた。いまは転職して普通の職場にいる。人が適切に配置されているから残業も少ないし、会社に行くのが憂うつでなくなった」とAさん。
ブラック企業に勤めているとそれが自分の中で当たり前のようになってきて、なかなか踏ん切りがつかないという人もいるかもしれません。ですが、一歩踏み出して転職してみるとAさんのように状況が一変するかもしれませんね。
休日出勤は「個人の自由で会社にいるだけ」
「今の会社では休日出勤日数を数えたこともないし、休日出勤してもタダ働き」というのはメーカー営業として働く30代のBさんです。「営業なのに、技術職が人手不足ということもあってそちらの仕事にも半分足を突っ込んでいる状態。おかげで仕事が次から次へと湧いてくる」のだそう。
「休日出勤にはきちんと上司の承認をもらうことが原則だと言われたけれど、上司は一切認めない。でも、仕事は定時内に絶対終わらない。取引先に迷惑をかけることは許さないとプレッシャーをかけられていて、やむをえず休日出勤。だから、上司は『個人の自由で会社にいるだけだろう』と言う」と話します。
「一度同僚が耐え切れずに『休日出勤しないと終わらないくらいの仕事の量なので休日出勤を認めてください』と直談判したが、その場で上司に『お前が無能だからだろう。休日出勤しなきゃこれっぽっちの仕事もできないのか』と言われていたのを見て愕然とした。そんなふうにあしらわれるのなら、言わないほうがマシかもと思ってしまった」とBさん。
Bさんの会社では、休日出勤を認めてもらえない以上「個人の自由の範囲で会社に来ているだけで、仕事ではない」と見なされてしまうため、休日出勤手当てや残業代が出ないのだと嘆いていました。
ハラスメントの百貨店と言われた会社
「ウチの会社は、転職した同期に言わせると『ハラスメントの百貨店』らしい」と苦笑いで話すのは、建材メーカーで営業として働くCさんです。
「うちは古い体質で、ハラスメントが当たり前のように横行していた。さすがに灰皿を投げるようなことはないけれど、上司が『ふざけんなよ!』と言いながらデスクを蹴ったり、部下を罵倒しながらフロアをうろついたりするのは当たり前。お客さんへの電話中に罵声が聞こえないように、外出先で電話をかけることも多々ある」とのこと。
こうしたパワハラだけではなく、「事務の女性に対するセクハラは日常茶飯事。人事はいまだに『女性の既婚や30歳以上は採用しない』方針らしいし、結婚して妊娠した女性には産休を取らせずに辞めさせるよう人事や上司が圧力をかけたらしい」と言います。
「転職した同期と飲みに行ったとき『あの会社にいたら、どこだってホワイトに感じそう。あの会社はハラスメントというハラスメント全部が詰め込まれた、まさにハラスメントの百貨店だから』と笑いながら言われて、心にグサっときた。そして『なんでせっかく勉強して、就活して、いろいろ頑張ってきた人生なのにそんなハラスメントが常態化した会社にいなきゃいけないの?って思って転職した』と聞いたときに自分も転職活動を決意した」とCさん。
現在は全く違う業界に飛び込み、未経験から働いていますが仕事は順調のこと。「あの会社で唯一身についたのは忍耐力。あの頃のことを思えば、もう何もツラくない」と笑っていました。
30連勤は当たり前、45連勤到達者も
「30連勤なんて結構よくあること。年の半分くらいはそうかも」と話すのは、飲食業界で働く20代のDさんです。Dさんの会社では休日は形だけの休日であり、多くの人が何日も連勤で働いているのだそう。
「5日働いて2日休むっていうサイクルが実現できていたのは入社して3カ月くらいまでかな。それからは10連勤、20連勤は当たり前。シフトもあってないようなもので、アルバイトの子が急に来なくなったとか、副店長が体調を崩したとか、エリアマネージャーがストレスで倒れたとか、そんな話ばかり」とDさん。
「最近はSNSがあるから、アルバイトをする学生たちの間で悪い評判が立てば本当に採用が止まってしまう。そういうストレスもあって店長とか副店長もなかなか気が休まらないみたいで…」と話します。
「自分はいろんな店にヘルプに入ったり、マネージャーの代わりに採用をやったり、伝票まとめたり、在庫管理や発注や社員教育や…。やることが山積みすぎて休日なんてない」と続けるDさん。同期には45連勤を経験した人もいるのだとか。
「かなり強い意志で休みをもぎ取らないと休めない。休みの間も電話がジャンジャンかかってくる。もうこんな環境はいやだ」と、現在転職活動中であることも話してくれました。
おわりに
最近は労働環境の改善に取り組む企業も多いようですが、まだまだ行き届いていないのも事実。深刻な人手不足や根性論の押し付け、社内の雰囲気などが原因のようですが、いずれもすぐに解決できる問題でもありません。ある程度のところで会社に見切りをつけ、早めに転職活動をしたほうが賢明、という場合もあるかもしれませんね。
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