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シングルマザーの教育費計画。大学無償化、児童手当、塾の助成も

LIMO / 2021年1月25日 10時35分

シングルマザーの教育費計画。大学無償化、児童手当、塾の助成も

シングルマザーの教育費計画。大学無償化、児童手当、塾の助成も

離婚を考える人やシングルマザーの多くが悩むのが「子どもの教育費」。教育費のために離婚を我慢したり、決断に踏み切れないという人もいるのではないでしょうか。

その子に適した教育を受けさせてあげたいと思うのは、親であれば自然な心情です。そのため、シングルマザーの筆者も、離婚の際には教育費についてとても悩みました。

ただし今の親世代が子どもの頃とは違い、2020年4月からは大学無償化(高等教育無償化)が始まるなど新たな制度も生まれています。漠然と不安を抱えているよりも、情報を収集して費用を計算してみることで不安が和らぎ、さまざまな選択肢を考えることができるようになるものです。

シングルマザーとなった筆者が教育費の計画を立てるにあたって調べたこと、考えたことを紹介します。

まずは大学無償化制度+児童手当で計算する

厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、調査時点で「現在も養育費を受けている」と回答したのは母子家庭で24.3%と、およそ4人に3人が養育費を受け取れていないという状況です。それに加え、産後の再就職や育児と仕事の両立も簡単なことではありません。

そうした状況におかれたシングルマザーは、特に高校や大学の教育費の高さに悩み、子どもが望む進学先に行かせてあげられるか心配になるでしょう。

筆者も離婚前には大きな不安に駆られ、具体的に計算をすることにしました。計算する際にまず考えたのは、受けられる公的制度です。2020年から始まった大学無償化制度では、「学費の免除と返済不要の給付型奨学金」を受けることができます。

所得基準は3区分に分かれており、ひとり親の場合、子ども1人だと「第1区分:~約210万、第2区分:~約300万、第3区分~約370万」、子ども2人(本人・高校生)になると「第1区分:~約270万、第2区分:~約360万、第3区分~約430万」。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、シングルマザーの平均年収は243万円なので、大学無償化制度を受けられる人もいるでしょう。他に資産が1250万円未満であることと、子どもの学習欲基準で対象となるかが判断されます。また、無償化は対象校も決まっているので確認が必要です。

免除額や支給額は、国公立大・私大・短大・高専・専門学校、自宅・自宅外によって異なります。たとえば「第2区分で私立大学の自宅」の場合、授業料は年額約70万円と入学金約26万円が免除となり、年額約46万円の給付型奨学金を受けることができます。

一般的な私立大学文系でかかる大学費用は4年間で約400万円。その全額、もしくは3分の2や3分の1を免除してもらうだけでも負担が減ります。他に大学進学で必要になる費用に仕送りがありますが、できる限り実家から通える範囲で進学してもらうのも検討事項になります。

次に考えたのは児童手当の活用。児童手当で余る部分、もしくは全額を教育費に回すとします。すると、子どもの年齢にもよりますが、「大学無償化制度+児童手当」の利用で、莫大だと思っていた教育費への印象が変わってきます。この2つを把握したうえで、教育費の手当てを計画することにしました。

保険や投資で必要な教育費を貯める

必要な教育費を貯める方法としては、貯金の他に学資保険や学資代わりになる低解約返戻金型終身保険、つみたてNISA(ニーサ)などがあります。

学資保険や低解約返戻金型終身保険は、親に万が一のことがあった際の保障があるため、特にシングルマザーにはありがたいでしょう。ただし基本的に満期まで持てば損をするリスクはありませんが、途中で引き出せないというデメリットもあります。月々の支払いを無理のない範囲にし、教育費貯金の一部として利用します。

つみたてNISAは元本保証のない金融商品(投資信託やETF)に投資するものなので、損をするリスクもある一方でプラスになる可能性もあります。また積立額の変更や、途中での引き出しが可能な点も嬉しいポイントです。

筆者は貯金のほかに保障機能もある保険、いつでも引き出せるつみたてNISAも併用するようにしています。

気になる塾費用には助成も

大学費用は目標をもって貯金できますが、気になるのが受験時の塾費用。最近は塾費用がばかにならないという話もよく聞きます。しかし自治体によっては、塾費用の助成や無料学習塾もあります。

たとえば東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」。これは一定所得以下の世帯に、塾や通信講座、高校や大学の受験料などの貸付を行う制度です。対象となるのは中学3年生や高校3年生で、たとえば塾費用は上限20万円で貸し付けは無利子。さらに入学すれば返済が免除されます。

自治体によってはこのような制度を行っていたり、自治体のHPをみると無料の学習塾のある地域もあります。将来の進学先(通える範囲内での進学)や自治体の助成などを考えて、住む場所を変えることもシングルマザーにとっては一つの選択肢になるでしょう。

どこまで奨学金を利用するか

一世代前とは違い、今は奨学金を利用する学生は少なくありません。日本学生支援機構の「平成30年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生は大学(昼間部)で47.5%と、およそ半数の学生が奨学金を受けています。奨学金の種類も以前より増えています。

奨学金というと返済が必要なものが多いため、二の足を踏む人もいるでしょうが、家庭ごとに子どもの負担を考えながら、たとえば「1年間だけ」や「いくらまで」などといった利用を検討するのもいいでしょう。

進学先については、子どもが中高生になったらよく話し合うことが必要だとも感じています。「何となく」の進学ではなく、どういった希望や適性があり、どこへ進学し、奨学金は利用するかどうか。こういった現実的な話も、高校生になれば子どもも理解できます。より真剣に将来について子どもと話し合うことは最も重要だと考えています。

おわりに

不安に思っていた教育費も、具体的に調べてみればさまざまな制度があります。まずは自分に合ったプランと金額を出してみると不安も減るのではないでしょうか。

参考資料

「高等教育の修学支援新制度について(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/28/1417422_001_1.pdf)」(文部科学省)

「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について(https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf)」(文部科学省)

「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)」(厚生労働省)

「受験生チャレンジ支援貸付事業(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/seikatsu/teisyotokusyataisaku/jukenseichallenge.html)」(東京都福祉保健局)

「平成30年度 学生生活調査(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2018.html)」(独立行政法人 日本学生支援機構)

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