【男性の育休】 最大4回まで取得可能に 企業に意思確認義務付けも
LIMO / 2021年6月22日 19時0分
【男性の育休】 最大4回まで取得可能に 企業に意思確認義務付けも
男性の育児休暇の取得をしやすくすることなどが目的の改正育児・介護休業法が2021年6月3日に衆院本会議で可決、成立しました。出産・育児のために離職してしまう人を減らし、男女ともに仕事と育児を両立させることがねらいです。
それでは、今回成立したこの法について、ポイントを絞って詳しく解説していきます。
男性の育休取得 最大4回に
今回の法改正の目玉とも言える、男性の育休について解説します。
まず、出産してから8週間以内に、4週間まで男性が育児休暇を取得できるようになります。4週間の休みを分割して取得も可能で、2回に分けて取ることもできます。
合計4回、男性が育児休暇を取れるようになるのです。(下記イメージを参考)
また、育休は1か月前に申し出をする必要がありましたが、これを2週間前とすることも決まっています。
女性の負担が大きい出産直後に、男性が柔軟に育休を取れる環境が整えられたといえるでしょう。
育休取得の状況 公表を義務付けられる企業も
それでは、他の改正についてもみていきます。
妊娠・出産を申し出た労働者に対して、事業主から個別に制度を周知すること、また休業の取得意思の確認をすることが義務付けられました。
これまで、会社で妊娠や出産を報告するとき、女性なら「育休はどうする?」という話になりやすかったかもしれませんが、男性は難しい状況がありました。
この改正で、男性も女性も育休が取りやすくなる環境が作られていくようになるでしょう。
また、常時雇用する労働者数が1000人を超える事業主には、育休の取得の状況について公表が義務付けられます。
ここまでポイントを解説してきました。
男性の育休取得の回数が増えることはもちろん、環境面でも多くの改革が盛り込まれたのが今回の法改正です。
政府がここまで力を入れて育休の取得を進めようとしたのは、どんな背景があるのでしょうか。
そこでここからは、男性の育休の取得率などをもとに、現状をチェックしていきましょう。
育休取得率 男性は1割未満
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、育休の取得率(2018年)は、女性は82.2%であるのに対し、男性はわずか6.16%です。(下記グラフ参考)
また育休の取得期間についても、女性は9割近くが6か月以上となっている一方、男性は5日未満が56.9%、8割以上が1か月未満となっています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(2017年度)によると、育休を取得しなかった主な理由としては、下記の通りです。
会社で育児休業制度が整備されていなかった
男性:27.5%
女性:30.0%
職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった
男性:25.4%
女性:37.0%
業務が繁忙で職場の人手が不足していた
男性:27.8%
女性:19.0%
育休が制度としてそもそも整備されておらず、取得しづらい雰囲気もあると感じている人が多いことが読み取れます。
こうした背景もあり、今回の改正が提案され、実現されることとなります。
育休が取得しやすい社会に
まさに「男性の育休促進法」とも言えそうな、今回の法改正について解説してきました。
今回の改正について、SNSなどではざまざまな意見があります。
男性育休に関する法改正、本当に嬉しい
これを機に制度への人々の理解が進み、育休を取得しやすい環境づくりが進むことを期待したい
法律が許しても社内の風土が許さなかったら意味がない
一部手厳しいものもありましたが、今回の改正を前向きに捉えている意見が大半でした。
育休の取得率が上がっていくのはまだ先かもしれませんが、少なくともその後ろ盾となる法案が成立したことは喜ばしいことだと思います。男性も女性もより子育てのしやすい環境が整備されることを期待しましょう。
参考資料
厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案の概要」(https://www.mhlw.go.jp/content/000743975.pdf)
厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000727936.pdf#page=24)
内閣府「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf)
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