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【最低賃金】議論スタート 政府「早期に1000円」目指す 労働組合は1500円を要望

LIMO / 2021年6月28日 6時45分

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【最低賃金】議論スタート 政府「早期に1000円」目指す 労働組合は1500円を要望

2021年6月22日、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は、2021年度の最低賃金改定の「目安」について議論をはじめました。2021年6月18日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」などをもとに7月までに議論をまとめる予定となっています。

そこで今回は、最低賃金をめぐる状況について解説していきます。

最低賃金「平均1000円」を目指す

まずは、今回の議論のベースとなる骨太の方針から、最低賃金に関わる内容をみていきます。

骨太の方針によると、コロナ禍の影響で賃金格差が広がる中で、格差是正には最低賃金の引き上げが不可欠です。

また、雇用維持との両立を図りながら賃上げしやすい環境を整備するため、生産性向上等に取り組む中小企業への支援強化、下請取引の適正化、金融支援等に一層取り組むと明記しました。

そのうえで、最低賃金については、「地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引上げに取り組む」と早期に取り組む姿勢を見せています。

それでは、直近の最低賃金はいくらになっているのでしょうか。

2020年度は全国平均902円

厚生労働省の「令和2年度地域別最低賃金改定状況」によると、最低賃金は全国平均で902円です。

また、骨太の方針にもあった「地域間格差」もみていきます。

最も高いのは東京都の1013円ですが、最低は792円(秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄の7県)と開きがあります。

最低賃金は微増が続く

それでは、最低賃金の推移はどうなっているでしょうか。

最低賃金の推移

(/mwimgs/5/4/-/img_54444fc92647792d87c2a278636eeb4543168.jpg)

拡大する(/mwimgs/5/4/-/img_54444fc92647792d87c2a278636eeb4543168.jpg)

【出典】首相官邸「全世代型社会保障検討会議(第8回)配布資料(2020年6月3日)」をもとに筆者作成

全体の傾向としては、徐々にではあるものの最低賃金は上昇していることがわかります。2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災を除けば、引き上げ額は10円以上が多くなっています。ただ、2020年の引き上げ額は1円にとどまりました。

では、最低賃金をめぐる意見はどのようなものがあるかを紹介します。

全労連 「全国一律で1500円」の最低賃金引き上げを要望

最低賃金をめぐっては、全国労働組合総連合(全労連)が2021年5月31日、最低賃金を全国一律で1500円に引き上げるよう求めています。

この1500円という金額の根拠はなんでしょうか。

25歳の単身者は「毎月23万円程度」が必要との試算

全労連の調査によると、25歳の単身者が生活するには、毎月23万円程度の収入が必要というデータが出ています。毎月150時間労働するとした場合、時給約1500円が必要になります。このため、全労連は最低賃金「1500円」を掲げています。

賃上げで約170万人の雇用創出に

それでは、最低賃金が1500円に上がった場合の経済効果も見ていきましょう。

労働運動総合研究所(労働総研)が2021年1月18日に発表した春闘への提言によると、最低賃金1500円への引き上げは、国内生産を26.7兆円、169.5万人分もの新たな雇用を生み出し、税収を2.48兆円増加させるとの試算を発表しています。

あわせて、非正規雇用を正規化することで、下記のような効果があると試算しています。

国内生産…15.6兆円

新たな雇用…98.7万人

税収…1.44兆円

賃金が上がることで、やがて家計消費需要の拡大を通じて新たな国内生産が誘発され、企業経営にプラスなど大きな経済効果を生むと予測しています。

最低賃金は今後どうなる?

ここまで、最低賃金1500円への引き上げについて、解説してきました。

最低賃金をめぐっては、さまざまな議論があることがおわかりいただけたと思います。みなさんはどう感じたでしょうか。今後も議論は続きます。働く人すべてに関わると言える最低賃金について、今後も動向を注視していきましょう。

参考資料

厚生労働省「第60回中央最低賃金審議会 資料」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19360.html)

厚生労働省「令和2年度地域別最低賃金改定状況」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)

全国労働組合総連合「【見解】コロナ禍を理由にした最低賃金の抑制は許されない 貧困と格差の是正、地域経済再生のためにも全国一律制の実現を ━ 8時間働けば「ふつう」の暮らしができる最低賃金の実現を求める全労連の見解 ━」(http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2021/opinion210531_01.html)

全国労働組合総連合「全国一律の最低賃金をつくろう」(https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2017/171006_01.pdf)

労働運動総合研究所「労働総研ニュースNo.371・372 2021年2・3月「2021年春闘提言」(http://www.yuiyuidori.net/soken/news/2021/data/371-372.pdf)

首相官邸「全世代型社会保障検討会議(第8回)配布資料(2020年6月3日)」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai8/siryou1.pdf)

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