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このイギリス国旗、まちがいはどこでしょう?(難易度A)

LIMO / 2021年8月4日 6時45分

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このイギリス国旗、まちがいはどこでしょう?(難易度A)

楽しくチャレンジ、国旗のまちがいさがし

 西矢椛選手や橋本大輝選手、阿部一二三選手・阿部詩選手の兄妹など、10代あるいは20代前半といった若いアスリートたちの金メダル獲得で盛り上がっていますが、こうした世界的なスポーツイベントは、世界の人々への理解を深める大きなきっかけにもなります。特に、それぞれの国・地域を代表して戦うため、みなさんもテレビ中継の中で「国旗」を何度も目にされているのではないでしょうか。

 この記事では、世界の40カ国あまりの国旗にある「まちがい」をさがしながら、それぞれの国の成り立ちや国旗にまつわる歴史がわかる書籍『国旗のまちがいさがし』(苅安望[監修])から、選りすぐった問題を出題します。もちろん、国旗を茶化したり、ふざけて紹介したりする意図はまったくありません。「まちがい」は、国旗に興味を持ってもらいつつ、その意味や成り立ちがよくわかるように、そうした部分をあえてちがう体裁にしています。

 みなさんは上の国旗の「まちがい」、どこかわかりますか? ちなみに、この問題の難易度はAです(S・A・B・C・Dの5段階)。

イギリスの注目選手

 正解の前に、今回の記事で取り上げた国「イギリス」の選手団の中でも注目の選手を、少しご紹介しておきましょう。

アダム・ピーティ(競泳男子・100m平泳ぎ)
 2016年リオ五輪金メダリスト。50m・100m平泳ぎの世界記録保持者で、100m平泳ぎで、今回の東京五輪でイギリス人最初の金メダリストとなった。

ディナ・アッシャー=スミス(陸上女子・短距離)
 2016年リオ五輪銅メダリスト。2019年のドーハでの世界陸上200mで金メダル。イギリス史上最速の女子選手であり、モデルとしても活躍。

ローレン・プライス(ボクシング女子・ミドル級)
 キックボクシングの元世界王者で、サッカー女子の元ウェールズ代表でもあるという異色の経歴を持つ万能アスリート。

【正解の画像】赤い斜め線の位置がちがう。ちなみに旗の縦横比は1:2

3つの国旗を組み合わせた旗

 正解は、「斜めの赤い線がある位置がちがう」です〈別画像参照〉。

 これは意外に難しい問題だったかもしれません。正しいほうの国旗をよく見てください。斜めの赤い線が走っているのは、同じく斜めの白い線の「中心」ではなく、ちょっとずらした位置ですね。もちろんこれには意味があります。

 イギリスの国旗は「ユニオン・フラッグ」と呼ばれています。ユニオン(連合)という名前がついているように、この国旗は、複数の国の旗が組み合わされてできたデザインなのです。ちなみに日本では「ユニオン・ジャック」と呼ぶ人も多いようですが、本来、「ジャック」とは、軍艦の艦首に掲げられる「艦首旗」のことを指す呼び方で、陸上で使われる旗ではありません。

 ユニオン・フラッグは、白地に赤い十字のイングランドの旗(聖ジョージ旗)と、青地に白い斜め十字のスコットランドの旗(聖アンドリュー旗)、それに白地に赤い斜め十字のアイルランドを表す旗(聖パトリック旗)の3つのデザインが組み合わさってつくられています。

 なお、「聖ジョージ」「聖アンドリュー」「聖パトリック」は、3つの国それぞれの「守護聖人」を表しています。守護聖人というのは、キリスト教の教えの中で、特定の国や地域、職業などを守っているとされる聖人のことを指します。

「赤い斜め線」がない400年前のユニオン・フラッグ

 もともと1606年につくられた最初のユニオン・フラッグは、イングランド女王だったエリザベス1世が亡くなったことで、当時のスコットランド王がイングランド王を兼ねることになったときに、2つの国の旗を組み合わせてできたものでした。そのため、いまのイギリス国旗にある「赤い斜め十字」はまだ入っていませんでした(別画像参照)。

 それから約100年後の1707年には、イングランド王国とスコットランド王国が統合して「グレートブリテン王国」となります。

1606年につくられた「初代」のイギリス国旗

 その後、1801年にグレートブリテン王国とアイルランド王国が合同して、「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」が成立したときに、以前のユニオン・フラッグにアイルランドの聖パトリック旗を組み合わせて、現在のユニオン・フラッグがつくられることになりました。

 ただ、これらの旗を単純に重ねてしまうと、斜め十字のスコットランドの旗の上に、同じく斜め十字のアイルランドの旗がそのまま載ったデザイン(またはその逆)になってしまいます。どちらにしても2つの国に優劣をつけることになるため、そうならないように、スコットランドの白い斜め十字とアイルランドの赤い斜め十字の位置を少しずらしているのです。

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ウェールズの旗はどうなった?

 ちなみに、オリンピックでは、1つの「主権を持つ国」で代表は1チームしか認められていないため、イギリスとして出場していますが、サッカーのワールドカップなどでは、連合王国としてのイギリスではなく、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドと、4つの地域が別々に出場しています(ラグビーなどでは北アイルランドの選手はアイルランド共和国代表に入ります)。

 ここまで説明すると、「でも、どうしてウェールズの旗は、イギリスの国旗に組み入れられていないの……?」という疑問が出てくるかもしれません。実は、ウェールズは1282年にイングランド王のエドワード1世によって併合され、16世紀前半には法律の上でもイングランド王国の一部とされたため、初代ユニオン・フラッグがつくられた1600年代はじめには、すでに「独立した国」という扱いではなかったからです。

 このように、イギリスの国旗には、日本人には意外と知られていない歴史が表れています。イギリスのEU離脱に反対しているスコットランドが将来、仮にイギリスから分離すると、歴史あるユニオン・フラッグのデザインが変わるかもしれませんね。

 

■〔監修者〕苅安 望(かりやす・のぞみ)
 日本旗章学協会会長。1949年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。総合商社に入社し東京本店、ニューヨーク支店、メルボルン支店食品部門勤務を経て、食品会社の取締役国際部長、顧問を歴任し2015年退職。2000年より旗章学協会国際連盟(FIAV)の公認団体である日本旗章学協会会長。北米旗章学協会、英国旗章学協会、オーストラリア旗章学協会、各会員。旗章学協会国際連盟にも投稿論文多数。著書は『世界の国旗と国章大図鑑 五訂版』『こども世界国旗図鑑』(平凡社)、『世界の国旗・国章歴史大図鑑』(山川出版社)など多数。

 

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この記事の出典:
苅安望[監修]『国旗のまちがいさがし(https://amzn.to/377g4J6)』

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