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年収1000万円世帯の「手取り&生活レベル」FPが解剖!

LIMO / 2021年8月15日 12時15分

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年収1000万円世帯の「手取り&生活レベル」FPが解剖!

年収1000万円世帯のイメージはどのようなものでしょうか。都内の高層マンションに住んでいる?子どもたちは私立の学校に通っている? 

さまざまなイメージが湧くかもしれませんが、年収1000万円の手取り額を計算してみると意外と少ない?と思うかもしれません。年収1000万円世帯の割合から家計状況まで、その実態に迫ってみましょう。

年収1000万円世帯の割合

まずは年収1000万円世帯がどのくらいあるのか、厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」から、所得の分布状況の図をみてみましょう。(【図】所得の分布状況)

(/mwimgs/0/7/-/img_077165a06a9fe1d2a9029ba6df03f837392132.jpg)

拡大する(/mwimgs/0/7/-/img_077165a06a9fe1d2a9029ba6df03f837392132.jpg)

【図】所得の分布状況 出典:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」

※この場合の「所得」は税込み所得であり、いわゆる「年収」を意味します。

年収1000~1100万円世帯は3.1%、1100~1200万円は1.9%となっています。年収1000万円以上の世帯を合計すると12.1%となりました。1割強が1000万円以上の世帯というわけです。

割合で一番多いのが200~300万円世帯で13.6%となっており、100~500万円世帯を合計すると49.5%で約5割になります。世帯年収の平均は552万3千円、中央値は437万円となっており、年収1000万円世帯は高所得世帯ということがわかります。

年収1000万円世帯の「手取り額」

年収1000万円が高所得ということは、先ほどの世帯年収の平均や中央値からわかりますが、手取りにするとどのくらいになるのか、計算をしてみたいと思います。

手取りとは、年収(額面金額)から社会保険料と税金を引いた、実際に手元に入る金額のことです。

世帯年収1000万円は夫婦の一方だけの収入の場合と、夫婦二人の収入を合わせた場合があります。二つのパターンをみてみましょう。

◆一人で1000万円稼ぐ場合◆

<前提1>
夫(会社員:年収1000万円)と妻(専業主婦)世帯を想定
社会保険料を年収の15%(150万円)とする。

<所得税の計算>
1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-48万円(基礎控除)=569万円(課税所得)
569万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=71万円
※千円未満切捨て

<住民税の計算>
所得の10%として計算
569万円×10%=56万9000円

1000万円-150万円(社会保険料)-127万9000円(所得税・住民税)=722万1000円

手取りは約722万円となりました。意外と少ないと感じませんか?

◆夫婦で1000万円稼ぐ場合◆

<前提2>
夫(会社員:年収500万円)と妻(会社員:年収500万円)世帯を想定
社会保険料を年収の15%(75万円)とする。

<所得税の計算>
500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-75万円(社会保険料控除)-48万円(基礎控除)=233万円(課税所得)
233万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=13万5000円
※千円未満切捨て

<住民税の計算>
所得の10%として計算
233万円×10%=23万3000円

500万円-75万円(社会保険料)-36万8000円(所得税・住民税)=388万2000円

手取りは約388万円となりました。夫婦二人分では約776万円です。一人で1000万円稼ぐよりも手取りが増えました。

年収1000万円世帯の「暮らし」

年収1000万円は手取りにすると700万円台になるという試算結果となりました。

それでは、年収1000万円の世帯がどのような生活をしているのでしょうか。総務省の家計調査(家計収支編)から1ヵ月の生活費をみてみましょう。平均的な年収の世帯と年収1000万円世帯の支出の内訳を並べてグラフにしてみました。(【グラフ】 1ヵ月の生活費内訳)

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拡大する(/mwimgs/6/a/-/img_6acb8569974b2616d1d2a8ce3ab9e114111238.jpg)

出典:総務省「家計調査(家計収支編/第2-3表/二人以上の世帯のうち勤労者世帯/2020年)」を元に筆者作成

※年間収入1000~1250万円の数値をもって年収1000万円世帯としています。

1カ月の消費支出は世帯平均が30万5811円、年収1000万円世帯は38万8780円となっており、約8万円、年収1,000万円世帯の支出が多くなっています。平均と比べて特に支出が多くなっているのは、「食費」、「交通・通信」、「教育」、「その他の消費支出」です。一方、差が少ないのは、「光熱・水道」、「住居」です。

平均的な世帯と比べて全体的に支出は多くなっていますが、食費は約1.5万円増えている程度、家具や被服、保健医療などはそれほど平均との差がありません。平均より少し余裕がある程度で、贅沢な暮らしぶりとまでは言えないでしょう。

年収1000万円世帯の「貯蓄額」

次は気になる貯蓄額です。総務省の家計調査から、年収1000万円世帯の貯蓄と負債を、みてみましょう。(【表】貯蓄額と負債額の比較)

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拡大する(/mwimgs/9/5/-/img_95b31f54c371948b1c494816091b166c104886.jpg)

出典:総務省「家計調査(貯蓄・負債編/第8-2表/二人以上の世帯のうち勤労者世帯/2020年)」を元に筆者作成

年収1000万円世帯(1000~1250万円)は2000万円近い貯蓄があることがわかりました。半分以上は普通預金や定期預金などの預貯金で持っています。一方、負債も1000万円近くあります。これは住宅ローンによるものでしょう。

ちなみに、二人以上の勤労者世帯の平均は、年収740万円、貯蓄1378万円、負債851万円となっています。平均でも貯蓄が1000万円以上あるというのは多い印象を受けます。

貯蓄額の場合、一部の富裕層の高額な貯蓄額も含まれてしまうため、どうしても平均値は高くなってしまいます。

年収1000万円世帯の場合、貯蓄から負債を引くと871万円になります。年収1000万円世帯でも、それほど余裕があるわけではないことが、この調査から読み取れます。

年収1000万円は「損なのか?」

年収1000万円世帯は所得制限にかかってしまうことで、援助が受けられないケースがあります。

児童手当は、専業主婦(主夫)と子ども二人の家族構成では、年収900万円を少し超えると所得制限の限度額となるため、通常の児童手当は支給されず、特例給付としての一律5000円の支給となります。しかし2022年10月からは年収1200万円以上はこの特例給付も廃止となります。

他にも、高等学校等就学支援金制度(高校の授業料を支援する制度)の所得制限をオーバーする可能性が高くなります。「税金は多く払っているのに支援は受けられない」そのボーダーラインにいるのが年収1000万円世帯と言えそうです。

参考資料

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)

厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf)

総務省「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表2020年」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000032087788&fileKind=0)

総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表2020年(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000032048815&fileKind=0)」

文部科学省「高等学校等就学支援金制度」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)

内閣府「児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

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