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住民税ってどう決まるの?「計算方法と徴収方法」FP解説

LIMO / 2021年8月29日 17時45分

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住民税ってどう決まるの?「計算方法と徴収方法」FP解説

会社員の場合、所得税も住民税も給与から天引きされるため、いくら引かれているのかよく分からないという人もいるでしょう。

所得税は源泉徴収票で、その年にいくら引かれたのかすぐに確認できますが、住民税は、いつどんな形でいくら引かれているのかまったく知らないという人もいるかもしれません。

そこで、住民税に焦点をあてて、計算方法から徴収の仕方まで分かりやすくお伝えします。

「住民税」ってどんな税金?

住民税は、その年の1月1日に日本国内に住所がある者に対して課税される税金です。

都府県民税と市町村民税をあわせて一般的に住民税といいます。前年の1月1日から12月31日までの所得をもとにして算出した税額を翌年度に納付します。

個人に均等に課税される「均等割」と所得に応じて課税される「所得割」があります。(【表1】<住民税:均等割と所得割>)

均等割は「都府県民税」が年間1500円、「市町村民税」が年間3500円です。(※)

※平成26年度から令和5年度までの間、地方自治体の防災対策に充てるため、個人住民税の均等割額は都民税・区市町村民税それぞれ500円が加算されています。(加算後の金額)

所得割は前年中の所得に対して一律10%です。

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拡大する(/mwimgs/9/b/-/img_9b2d63c0bb1a1472999a76fee920a5f028050.jpg)

住民税の計算方法

住民税は以下の手順で算出します。

1.総所得金額を出します。

収入が給与だけの人であれば、給与収入から給与所得控除額を引いた金額が給与所得になり、これがそのまま総所得金額となります。

他にも収入がある人は、各収入から必要経費を引いた所得金額を合計し、そこから損失の繰越控除があれば引いて出た金額が総所得金額となります。

2.総所得金額から所得控除の額を引き、課税所得を出します。

所得控除の額は、所得税の控除額と一部異なっているので注意しましょう。(【表2】<所得税と異なる住民税の所得控除>)

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※【表2】<所得税と異なる住民税の所得控除>:東京都主税局「個人住民税」・総務省「未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し等」を参考に筆者作成

3.課税所得から所得割を計算します。

課税所得×10%=所得割の額

4.所得割額から税額控除の額を引き、最終的な所得割額を出します。

税額控除とは、課税所得に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するものです。

<主な税額控除>

配当控除

外国税額控除

寄附金税額控除

住宅借入金等特別控除

配当割額及び株式譲渡所得割額の控除

調整控除

5.所得割に均等割を足したものが住民税の額になります。

所得割+均等割(都府県民税1500円+市町村民税3500円=5000円)=住民税の額

住民税を計算してみよう

では、Aさんを例に、住民税を計算してみましょう。

<条件>Aさん(独身)

年収500万円、社会保険料の合計額(75万円)、その他の特別な条件なし

1. 総所得金額は?

年収500万円−給与所得控除額144万円=給与所得356万円
給与所得356万円が総所得金額になります。

2.総所得金額から所得控除の合計額を引き、課税所得を出します。

総所得金額356万円−所得控除108万円(社会保険料控除75万円+基礎控除33万円)=課税所得248万円

3.課税所得から所得割を計算します。

課税所得248万円×10%=24万8000円

4.所得割額から税額控除の額を引き、最終的な所得割額を出します。

24万8000円−調整控除2500円(※)=24万5500円

※調整控除とは、所得税と住民税の人的控除(配偶者控除や扶養控除など)に差があることで、個人の税負担額が変わることのないように、人的控除の適用状況によって決められた額が控除されるものです。

(詳細は東京都主税局「個人住民税の税額控除」をご覧ください)

5.所得割に均等割を足したものが住民税の額になります。

所得割24万5500円+均等割5000円=住民税25万500円

Aさんの住民税は25万500円となりました。

住民税の「徴収方法」は2通り

住民税は地方自治体が税額を確定させて、納税者に通知する賦課課税方式です。前年の所得をもとに計算し、翌年の6月から納付します。納付の方法は「普通徴収」と「特別徴収」の二通りあります。

<特別徴収>

給与所得者の徴収方法。6月から翌年5月までの12カ月間で分割したものが、毎月の給与から天引きによって徴収される。

<普通徴収>

給与所得者以外(個人事業主など)の徴収方法。6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分割して納付する。

住民税の金額の確認方法

納税通知書で金額を確認できます。

普通徴収の場合は、6月頃に納税者のもとに納税通知書が届きます。特別徴収の場合は、5月頃に会社に住民税決定通知書が届き、会社を通して納税者に通知書が届きます。(【図】住民税の決定通知書)

(/mwimgs/5/5/-/img_55bf89e3c390e92647fcdd18859ed2f6442319.jpg)

拡大する(/mwimgs/5/5/-/img_55bf89e3c390e92647fcdd18859ed2f6442319.jpg)

【図】住民税の決定通知書 総務省「特別徴収税額通知(納税義務者用)の電子化」より抜粋


【図】は特別徴収による決定通知書です。赤い枠内に税額が記載されていますね。下から4番目の差引納付額が実際に支払う住民税となります。

この金額を12等分して、毎月の給与から天引きによって徴収されます。

住民税がどのようにして決まっているのか、いつ徴収されるのかお分かりいただけたでしょうか。

所得税と所得控除の金額が異なる点や、徴収方法が会社員とそれ以外の人では違うということも頭に入れておきたいポイントです。5~6月頃に手元に届く納税通知書をぜひ確認してみてくださいね。

参考資料

東京都主税局「個人住民税」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html#gaiyo_08)

国税局「No.1200 税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1200.htm)

総務省「特別徴収税額通知(納税義務者用)の電子化」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000531322.pdf)

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