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【投資家必見】オムロンのESG戦略とは?その内容を徹底解説

LIMO / 2021年11月4日 19時45分

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【投資家必見】オムロンのESG戦略とは?その内容を徹底解説

~有名企業のESG戦略分析シリーズ~

昨今、企業のESGに向けた姿勢への注目度が高まっています。ESGとはE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の英語の頭文字をとったものです。今回は様々な上場企業がESG戦略を検討、実施する中で、大手電気機器メーカーのオムロンを取り上げ、同社のESGに対する取り組みをご紹介します。

E(環境):広範囲なテーマをバリューチェーン全体で取り組む

同社はSDGsが掲げるサステナビリティーの一環で、環境面では以下5つのテーマに分かれる取り組みを推進しています。

1.環境マネジメント

環境ビジョン「グリーンオムロン2020」を策定し、環境経営を推進しています。

2.気候変動への取り組み

温室効果ガス排出量ゼロを目指しています。

3.資源の有効活用

限りある資源を有効に活用するため、循環型経済への取り組みを進めています。

4.化学物質の管理・削減

化学物質の適正な管理と削減を行っています。

5.グリーン調達

仕入れ先と協働して持続可能な調達に取り組んでいます。

また、同社はグループの環境方針として、製品の企画・開発・設計から、調達、製造、流通、販売、顧客先でのメンテナンス・サービス、資源回収、再利用、廃棄に至るまでのバリューチェーン全体について、製品ライフサイクルの視点から環境負荷低減を進めています。当然、開発委託先や調達先、生産委託先、物流委託先、販売委託先と一丸となった大規模な取り組みとなり、社会的な影響も大きいと推察されます。

これらの環境に対する取り組みはSDGsの掲げる17つのゴールのうち、環境関連(ゴールナンバー:7、13、14、15)とも密接に関連しており、ESG、SDGsの両面で優れた取り組みを進めているといえるでしょう。

※SDGsのゴールについては末尾に参考情報として掲載していますので、ご参照ください。

S(社会):自社ポリシー定め健康・教育・不平等是正を積極推進

同社はSDGsの方針を軸に自社独自でサステナブル行動ポリシーを定め、幅広い社会貢献活動を展開しています。その中でも特に、中長期的に事業領域との関連性が高いと考える「社会福祉支援(ダイバーシティー促進)」「科学分野の発展」「健康増進」などに向けた取り組みに注力しています。

社会福祉支援では、社会におけるダイバーシティー対応促進による障がい者のQOL向上を目指し、障がい者の働く場づくりに取り組む社会福祉法人への支援や、各種NPO・NGOへの寄付活動などを行っています。

科学分野の発展では、財団を通じた科学技術振興に対する支援や、高等専門学校生を対象とした制御技術教育キャンプ、大学に客員教員を派遣したうえでの連携講座の開催など、同社グループの資源や専門能力を生かして支援しています。

健康増進では、各国の健康意識向上の支援や、高血圧が健康に与える影響を啓発する取り組みを行っています。日本においては毎年8月の「ハートの日」に日本心臓財団が開催する市民イベントへの協賛などを通して、健康意識の向上に貢献しています。また、世界約100カ国で実施する血圧測定イベント支援に向け、2017年度以降2万台を超える同社製血圧計を国際高血圧学会(ISH)と世界高血圧リーグ(WHL)に寄贈しています。

SDGsに絡めると、健康や教育、不平等是正といったゴール(ゴールナンバー:3、4、10)に対応した取り組みになっています。

G(企業統治):株主との対話重視で透明度高いIRを推進

コーポレート・ガバナンスやコンプライアンス、情報管理など企業統治のテーマは多いですが、同社において注目すべきは「株主との対話」の取り組みでしょう。同社は「開かれた株主総会」を目的に、株主が最大数参加できるよう、いわゆる集中日の3営業日以上前に利便性の高い場所を会場として総会を開催しています。機関投資家から特に要望の強い株主総会招集通知の早期発送と早期開示にも応えるため、2021年6月の定時株主総会では開催日の29日前に招集通知を発送しました。

また、議決権行使の利便性向上のため、パソコンやスマートフォンによる電子投票の仕組みを採用しているほか、国内外の機関投資家が活用できる「議決権電子行使プラットフォーム」にも参加しています。

IR活動も優れています。株主との対話による双方向コミュニケーションを掲げる中、機関投資家との個別面談回数など、ターゲット投資家との関係強化につながるアクション件数をKPIに設定しています。なお、ウェブの効率活用も寄与し、2020年度の機関投資家との面談件数は570件にも上りました。

投資家のESG視点に対する配慮もあり、ウェブ上での情報発信に加え、説明会や個別面談を通じてサステナビリティー目標の進捗を伝え、対話によって得た示唆を経営にフィードバックしています。

そのほか、タイムリーかつ適切な情報開示と国内外での情報格差低減のため、決算関連資料などについて日本語・英語版を同時に開示しているほか、サステナビリティサイトにおいて非財務情報の充実にも積極的に取り組んでいます。

オムロンのESG戦略のまとめ

以上、オムロンのESGに向けた取り組みについてご紹介しました。環境面では同社を中心としたバリューチェーン全体での大規模な取り組みとなっているほか、社会面でも同社製血圧計を寄贈するなど、会社としてのポジション・強みを生かした意欲的な姿勢を見せています。こういった取り組みは国内外での知名度向上やブランディングにもつながり、同社の事業展開にも大きく寄与していそうですね。

また、ガバナンスについても株主との対話を重視するなど、投資家から見てもありがたい取り組みを推進しています。ESG投資の潮流を受け、会社側から自発的にかつわかりやすく該当情報を開示する姿勢は、株式市場での高い評価につながりそうです。

【参考】SDGsの17の目標

1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

参考資料

オムロン株式会社「環境マネジメント」(https://sustainability.omron.com/jp/environ/)

オムロン株式会社「地域社会との対話(企業市民活動)」(https://sustainability.omron.com/jp/citizenship/)

オムロン株式会社「株主様との対話」(https://sustainability.omron.com/jp/stakeholders/stockholder/)

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