1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

【SDGs】富士フイルムホールディングスのESG戦略とは?その内容と解説

LIMO / 2021年11月17日 12時45分

【SDGs】富士フイルムホールディングスのESG戦略とは?その内容と解説

【SDGs】富士フイルムホールディングスのESG戦略とは?その内容と解説

~投資家必見!有名企業のESG戦略分析シリーズ~

昨今、企業のESGに向けた姿勢への注目度が高まっています。ESGとはE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の英語の頭文字をとったものです。今回は様々な上場企業がESG戦略を検討、実施する中で、富士フイルムホールディングスを取り上げ、同社のESGに対する取り組みをご紹介します。

E(環境):2030年目標を一部達成、新たな目標設定でより活発化!

同社は環境面において、すべての製品に関連して調達、製造、輸送、使用、廃棄に至る製品のライフサイクル全体を考慮し、設計段階から気候変動対応(省電力など)、省資源・資源循環(リデュース・リユース・リサイクル)、化学物質のリスク低減、生物多様性保全などの観点で、独自の定量的な環境品質目標を設定しています。

各環境目標は2030年度の達成が想定されていますが、資源循環の一部の目標を除いて取り組みは良好に進捗しており、とりわけ「CO2排出削減における活動」については、製造段階での省エネルギーと環境負荷のより低い製品・サービスへの移行が寄与し、2030年の達成をめどにした目標を前倒しで達成済みです。

同社は気候変動における活動の進捗を踏まえ、既に達成済みの「CO2排出削減」などの目標については上方修正し、また「化学物質の管理・活用」という新たな項目の目標を設定するなどして、取り組みをより加速化させています。

同社はこのように環境面で自社目標を掲げ、一部を前倒しで達成するほか、追加的に新たな領域での目標を設定するなど、環境への配慮において上場企業の中でも非常に意欲的な姿勢を見せています。こういった取り組みはSDGsの掲げる17つのゴールのうち、環境関連(ゴールナンバー:7、13、14、15)とも密接に関連しており、ESG、SDGsの両面で優れた取り組みを進めているといえるでしょう。

※SDGsのゴールについては末尾に参考情報として掲載していますので、ご参照ください。

S(社会):社会貢献と事業運営が両輪!KPIである売上への紐づけも!

同社は「企業市民として社会とともに歩み、社会の要請や期待に誠実に応える社会貢献」を目指しています。この方針の実践に向け、環境面同様に社会貢献面でも2030年の達成を想定した各種目標を設定しており、「学術・教育」「文化・芸術・スポーツ」「健康」「自然環境」の分野を中心にステークホルダーとの連携や協働を重視しながら各取り組みを進めています。

取り組む上で同社は自社事業の特性も生かしており、文化財・美術品のアーカイブ化、伝統文書の複製と活用、新興国や災害現場への医療機器提供、写真を通じた支援などを実施しています。こうした活動を持続的に行うことは、2030年目標はもちろん同社の事業目標を達成する上でも重要な基盤になっています。

様々な事業を進めている同社は、当然ながら多様な人材が必要になってきます。パートナーやNPOと協力して、同社が事業展開している地域の多様な次世代の育成を行っています。その結果、人材の育成を通じた地域との関係づくりとともに同社の認知度の向上も図っている状況です。

このように社会への取り組みと自社の事業との関連性を重視する同社は、地域との関係性も重要要素と想定したうえで売上をKPIとして設定し、管理・運用しています。

SDGsに絡めると、健康や働きがい、パートナーシップに関連するゴール(ゴールナンバー:3、4、8、9、17)に対応した取り組みになっています。

G(企業統治):IT活用で高度な監査を実践!

同社はガバナンスにおいて、以下のような目標を掲げています。

【グローバル全社でのコンプライアンス意識向上とリスクマネジメントの強化】

富士フイルムグループの企業行動憲章・行動規範の改定

2017年度コンプライアンス意識調査のフォロー調査実施→重大事案なし

複数の海外地域統括本社において、リスクマネージャー研修の実施

情報セキュリティ事案の報告システムをグローバルに導入

大規模災害を想定した訓練及び防災教育の実施

【公平で独立性のある監査の維持と監査レベルの向上】

財務データのトレンド、売上げ・経費・勤怠などのデータ分析、メールフォレンジックの仕組みを構築、国内監査から実践導入。監査の網羅性、客観性を向上

とりわけ監査における取り組みは積極的で、監査組織の統合とITを活用した高度な監査手法を導入しています。2017年にグループ各社の監査組織を統合したグローバル監査部を設置し、連結子会社を直接監査する体制を構築しました。

さらに監査企画グループも設立し、ITを活用した新しい監査手法を導入しました。その一つの「メールフォレンジックシステム」は、一般的には非常時に外部機関に業務委託することが多く、通常の内部監査にはあまり使われていないものです。

しかし、同社では自社AIなど社内の仕組みを活用し、独自のシステムを開発、より詳細な社内情報と組み合わせて解析することで正確さが向上しています。不正の兆候や問題点の発見が可能となるほか、内製化によりコストセーブも実現している状況です。

富士フイルムホールディングスのESG戦略のまとめ

富士フイルムホールディングスのESGに関する取り組みをご説明しましたが、いかがだったでしょうか。

環境面では2030年の達成を目標とする長期的な計画を策定するとともに、一部目標はすでに達成済みで上方修正しており、積極的な姿勢が印象的ですね。社会貢献の面でも、文化財のアーカイブ化や伝統文書の複製・活用など、自社事業の強みを生かした活動を展開しており、社会貢献と事業内容の融和性がわかりやすいです。

上記のような環境配慮に関する意欲的な取り組みや事業との関連性の強い社会貢献を知ると、SDGsに対する姿勢がいかに企業の長期的成長に影響するか改めて実感しますね。

【参考】SDGsの17の目標

1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

参考資料

富士フイルムホールディングス株式会社「CSR活動報告 環境」(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/activity/environment)

富士フイルムホールディングス株式会社「CSRの考え方と各種方針 社会貢献方針」(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/vision/policy/society)

富士フイルムホールディングス株式会社「CSR活動報告|その他の取り組み 社会貢献活動」(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/activity/other-activities/social-contribution-activities)

富士フイルムホールディングス株式会社「CSR活動報告 ガナバンス」(https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/activity/governance)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください