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75歳以上の医療費負担が2割にアップ。健康が老後の生活を左右する時代へ

LIMO / 2021年12月30日 7時30分

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75歳以上の医療費負担が2割にアップ。健康が老後の生活を左右する時代へ

老後の不安を払拭するには、やはり貯蓄が一番と考える人は少なくないでしょう。その一方、高齢者雇用安定法とその改正により60歳の定年後も働く選択肢ができたことで、老後資金準備に関する考え方にも変化が出てきています。

とはいえ、定年後も働くとなると、健康であることが大前提になります。若い頃は多少無理をしても何ともなかったけれど、40代、50代と年齢が上がるにつれ、体力の衰えや健康の大切さを痛切に感じるようになったという人もいるのではないでしょうか。

厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」では、体の不調や通院状況などの健康状態を調査しています。以下、その調査結果と、保健医療費に関する総務省の統計、高齢者医療費の自己負担率アップについて見ていきます。

体に不調を抱えている人はどのくらい?

「2019年国民生活基礎調査の概況」に示されている世帯員の健康状況によると、病気やけが等で自覚症状のある人(有訴者)は、は人口1000人当たり302.5(この割合を「有訴者率」という)でした。男女別に有訴者率を見ると、男性270.8、女性332.1で、女性の方が高くなっています。

年齢階級別では、「10~19歳」が最も低く、年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、「65歳以上」で433.6、「75歳以上」で495.5、「80歳以上」では511.0となっています(図表1参照)。

症状別では、男性では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」「鼻がつまる・鼻汁が出る」。女性では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」「手足の関節が痛む」となっています。

さらに、足腰に痛み(「腰痛」か「手足の関節が痛む」のいずれか、もしくは両方の有訴者)のある、65歳以上の高齢者は、男性で205.5、女性で254.5です。

筆者も肩こりや体がだるいなど、思い当たる症状がいくつかありますが、高齢者に限らず、20歳代、30歳代から少しずつ体の不調がある人は多くなっているようです。

図表1:2019年の性・年齢階級別にみた有訴者率と通院率(人口1000人当たり)

出所:「2019年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)をもとに筆者作成

通院している人が急に増える世代は?

では、不調があるだけでなく、実際に病気やケガで通院している人(通院者)はどうかというと、人口1000人当たり404.0(この割合を「通院者率」という)。男女別では、男性388.1、女性418.8で、体の不調同様に女性の方が高くなっています(図表1参照)。

年齢階級別の通院者率を見ると、有訴者率と同じく年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、「80歳以上」の通院者率は730.8。特に「40~49歳」から「50~59歳」にかけて、通院者率が287.2から427.5へと急に増加していることが目につきます。

男女ともに「高血圧」での通院が最も多い

傷病別で見てみると、男性では「高血圧症」での通院者率が最も高く、次いで「糖尿病」「歯の病気」。女性では男性同様「高血圧症」が最も高く、次いで「脂質異常症(高コレステロール血症等)」「眼の病気」となっています。

筆者は40代後半で、今のところ病気はありませんが、明らかに健康診断のいろんな数値が上昇してきています。友人の中でも、高血圧やコレステロール値が高いという話をチラホラ耳にすることが出てきました。

入院するわけではないので、はた目には全く気付かないものですが、体のあちこちに病気が出始めるのが40代、50代というのは、個人的にも納得できる調査結果です。

高齢者世帯の医療費負担はどのくらいか

では、通院など医療にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)」を見てみましょう。

すると、「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の1ヶ月あたりの保健医療費は13,149円(消費支出30万5811円に占める割合:4.3%)、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)では16,156円(消費支出22万4390円に占める割合:7.2%)。

年金世代である「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」になると、保健医療費が支出に占める割合が高くなることが示されています。

年収200万円以上の後期高齢者が2割負担に

現在の医療費の自己負担割合は、70歳になるまでが3割、70~74歳が2割負担、75歳以上の後期高齢者で1割負担となっています(70歳以上であっても現役世代並みの収入がある場合は3割負担)。

このように原則1割になっている75歳以上の医療費の負担が、単身で年収200万円以上、夫婦で年収計320万円以上の世帯では2割にアップされます。この12月22日、政府はその実施時期を2022年10月に決定しました。

年収200万円を、ひと月当たりにすると16.6万円。約1850万人いる75歳以上の高齢者のうち、約370万人が対象になるとされています。1割から2割に引き上げられると、持病があって定期的に通院している人にとっては、家計を圧迫する要因の一つになりかねないでしょう。

おわりに

団塊の世代が70代になり、医療費の自己負担が少しずつ引き上げられています。団塊ジュニアである40代後半の世代が老後を迎える頃には、もしかしたら、一生、現役世代と同じ自己負担率ということもあるかもしれません。

老後を見据えて老後資金を準備するのは当然のことですが、病気にならない健康的な体を維持することも、これからますます重要になってくるといえるでしょう。長年の習慣を変えるのはそう簡単ではありませんが、無理のない程度に日々の生活の中で健康を意識してみるのもよさそうです。

参考資料

2019年 国民生活基礎調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/14.pdf)(厚生労働省)

家計調査報告 [家計収支編] 2020年(令和2年)平均結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2020.pdf)(総務省統計局)

(参考)医療保険制度の「現役並み所得者」について(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000033002.pdf)(厚生労働省)

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