1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

ソニーの株価はどうなるか。3Qは映画利益7倍

LIMO / 2022年2月3日 8時30分

写真

ソニーの株価はどうなるか。3Qは映画利益7倍

ソニーグループ(6758)は2022年2月1日、2022年3月期3Qの決算を発表しました。

今回はその決算の全体像や各ポイントを紹介したうえで、強まる「摩擦」についても解説します。

それでは早速、決算を振り返っていきましょう。

2022年3月期3Q決算を振り返る

2022年3月期3Qについて、売上高は7兆6575億円(前年同期比+13.2%)、営業利益は1兆0637億円(同+19.7%)、株主に帰属する四半期純利益は7711億円(同-19.9%)となりました。

出所:ソニーグループ「2022年3月期 第3四半期決算短信」

後に詳述しますが、映画事業やエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)事業での増収増益が大きく貢献しました。

なお、純利益が減少しているのは、税金の調整によるものです。

具体的には、前年同期に一部費用の税額控除に係る繰延税金資産に対する評価減の戻入れを行った反動によるものです。

また、ソニーは3Qの決算と併せて通期業績予想を修正したほか、配当予想も開示しました。

通期業績予想について、売上高予想は従来の9兆9000億円(前期比+10.0%)を据え置きましたが、営業利益予想は従来の1兆0400億円から1兆2000億円(同+25.6%)へ、株主に帰属する当期純利益予想は7300億円から8600億円(同-16.5%)へと引き上げました。

従来未定としていた期末配当予想は35円となり、年間では65円(前期は55円)となりました。

各事業の動向を振り返る

既述の通り、3Q決算では映画事業とEP&S事業が業績に大きく貢献しました。

出所:ソニーグループ「2022年3月期 第3四半期決算説明資料」

映画事業の売上高は9267億円(前年同期比+67.6%)、セグメント利益は2064億円(同2.6倍)となりました。

増収増益の内訳としては、事業売却に伴う一時的な利益もそれなりにウエイトを占めているものの、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」の貢献による興行収入の増加など、真っ当な事業展開での収益計上も寄与しました。

EP&S事業の売上高は1兆8451億円(前年同期比+15.8%)、セグメント利益は2245億円(同+51.8%)となりました。

増収増益の内訳としては、為替変動の影響やデジタルカメラの製品ミックス改善となりました。

出所:ソニーグループ「2022年3月期 第3四半期決算説明資料」

なお、3Q単体で見てみると、EP&S事業は減収減益となった一方、映画事業は売上高が2.4倍、セグメント利益は7.4倍にまで増えました。

強まる映画とゲームの存在感

こうした中、映画事業の存在感は大きくなってきました。

売上高の規模としてはゲーム事業やEP&S事業などにまだ及ばないものの、利益の伸びは顕著です。

また、主力のゲーム事業も足元で大きな動きを見せました。

幸か不幸かコロナ禍を背景に在宅時間が増えた中、もともとのeスポーツブームも相まって、ゲーム市場は世界的に拡大しました。

そうした中、ソニーは2022年2月1日、米国の独立系ゲーム開発会社であるBungie, Inc.(バンジー)の全株式を取得すると発表しました。

買収金額は合計で36億米ドル(約4140億円)としており、この金額はソニーが保有するキャッシュの2割超に及びます。

これだけの金額を投じるだけに、ソニーのゲーム事業に対する強い積極性が見て取れます。

摩擦拡大で第2の「モノ言う株主」現れるか

ここへ来て、「モノ言う株主」の存在も気になってくるのではないでしょうか。

ソニーというと、過去には米アクティビストファンドのサード・ポイントと「半導体事業の分離」を巡ってひと悶着あった経緯があります。

サード・ポイントはソニーに対して半導体事業の売却を勧める株主提案を出していましたが、結局ソニーはこれを飲まず、結局サード・ポイントはソニー株式を売却しました。

これには、半導体事業が抱える「高い事業リスク」が背景にありました。

半導体事業は一般的に、巨額な投資資金が必要とされる一方、シリコンサイクルと呼ばれる業界独特の波があり、キャッシュフローが予測しづらいという大きなリスクがあります。

このリスクは、「負債が調達しづらい」といった財務面にも影響を及ぼしてきます。

そしてこれは、程度の違いはあれ、ゲーム事業や映画事業にも共通するのではないでしょうか。

ゲームや映画は流行り・廃れがあり、作品がヒットするか予想しづらいという性質があります。

この点は、半導体事業と同様、キャッシュフローが安定しないということになると考えられます。

まして、ゲーム事業では直近で4000億円超のM&A計画もリリースされており、財務動向はさらに読みづらくなるのではないでしょうか。

ゲームや映画、半導体など、キャッシュフローの読みづらい事業を複数抱えている状況になるので、今後サード・ポイントに次ぐ第2の「モノ言う株主」も出てくるかもしれません。

まとめにかえて

映画やEP&Sが貢献することで増収増益となった3Q決算。

足元ではゲーム事業でも大きな動きが見られました。

今後の動向に注目です。

参考資料

ソニーグループ株式会社 投資家情報(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/)

ソニーグループ株式会社 IR資料室(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/)

ソニーグループ株式会社「Sony Interactive Entertainment による Bungie, Inc.の買収に関する確定契約締結のお知らせ」(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/news/20220201_J.pdf)

ソニーグループ株式会社「2022年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/21q3_sony.pdf)

ソニーグループ株式会社「2021年度 第3四半期 連結業績概要」(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/21q3_sonypre.pdf)

ソニーグループ株式会社「2021 年度期末配当予想の修正に関するお知らせ」(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/news/20220202_02J.pdf)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください