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年金から引かれる住民税ってどのくらい?ほかにも引かれる社会保険料はいくらか

LIMO / 2022年3月12日 19時35分

年金から引かれる住民税ってどのくらい?ほかにも引かれる社会保険料はいくらか

年金から引かれる住民税ってどのくらい?ほかにも引かれる社会保険料はいくらか

ねんきん定期便などで将来受給できる年金額を把握している方は多いでしょう。しかし、その額を満額受給できるわけではありません。受給額によっては住民税が発生するほか、社会保険料などが年金から引かれる点に注意しておきましょう。

年金から引かれる税金や社会保険料の計算方法についてしっかりと理解し、手元に残る額はどれくらいなのかを把握しておくことは、老後を見据えた資金形成においても重要なポイントです。

所得税と住民税は異なる

原則として65歳になると受給できる年金ですが、年金で得られる収入は雑収入という扱いになります。そして受給している年金額に応じた公的年金控除が適用されて雑所得金額を算出し、そこから各種所得控除を差し引いた額に所得税および住民税が課税されます。

公的年金にも源泉徴収制度がある

現在、会社に勤めていて毎月給与を受け取る際、住民税や所得税などが源泉徴収されています。年末調整を行い、年明けに受け取る源泉徴収票で実際にどのくらいの額が徴収されているかを知ることができます。そして、この源泉徴収制度は、公的年金を受け取っている人にも適用されます。ただし、所得税率が給与所得の時とは異なる点に注意が必要です。

公的年金から引かれる所得税額の計算方法

公的年金から引かれる所得税額は、以下の計算式で求めることができます。

公的年金等の収入-公的年金控除額=雑所得金額
雑所得金額×5.105%(復興特別所得税含む)=所得税額

住民税も特別徴収の対象に

住民税には「特別徴収」と「普通徴収」の2つの徴収方法があります。通常、企業に勤めていれば「特別徴収」の対象となり、毎月の給与から天引きされます。それ以外の自営業者などであれば「普通徴収」の対象となり、市区町村から送付された納税通知書を基に自分で納付する必要があります。

徴収方法については自分で選べることになっていましたが、平成29年度より給与所得者においては原則として「特別徴収」を用いることとなっています。

また、この特別徴収は年金受給者にも適用されます。年金受給者が受け取る額は、年金支給額から「住民税」や「社会保険料」が差し引かれた額です。

実際にどの程度の額が引かれる?

では、実際にどのくらいの額が年金から引かれるのでしょうか。
厚生労働省が発表している令和2年の平均受給額(月額14万6145円)を用いて、実際に計算してみましょう。計算上、年金受給者の年齢は66歳(独身)とし、公的年金以外の所得はないものとします。

月額14万6145円ということは、年に換算すると175万3740円です。この額を基に所得税額や住民税額などが決まります。

所得税額

では、まず所得税がどのくらい引かれるのかを計算します。

年金収入額175万3740円から、この金額に該当する公的年金控除額(110万円)を差し引いた65万3740円が雑所得金額です。

そして、ここからさらに所得控除として基礎控除と社会保険料控除(支払った国民健康保険料(介護・高齢者医療分含む))の額を差し引く必要があります。基礎控除額は48万円ですが、社会保険料はその人の収入や住んでいる市区町村によって異なります。

ちなみに、横浜市の場合だと年間の保険料は6万7502円です。

ここから最終的な課税所得金額を求めると、65万3740円-(48万円+6万7502円)=10万6238円となり、所得税額は10万6238円×5.105%=5423円です。

住民税額

住民税額の計算は所得税と少し異なります。

住民税は「均等割」と「所得割」の合計額となりますが、均等割額は収入に関係なく一律6200円(横浜市の場合)です。

そして所得割は課税所得金額×10%で求めます。雑所得金額(65万3740円)から社会保険料と基礎控除額を差し引くことで、住民税の課税所得金額を求めることができますが、住民税の基礎控除額は住民税と異なり43万円です。

したがって、課税所得金額は65万3740円-(43万円+6万7502円)=15万6238円となり、所得割額はその10%の1万5623円です。それに均等割額を加えた2万1823円に2500円の税額控除が行われるため、最終的な住民税額は1万9000円(千円未満切り捨て)です。

年金から引かれる額の合計

これらの計算から、年金から引かれる額は以下のとおりであることが分かります。

所得税:5423円

住民税:1万9000円

社会保険料:6万7502円

こう見ると、意外と住民税額の方が多く、社会保険料が大きな負担になることが分かります。この国民健康保険料は「医療分」と「支援分」を合算したものですが、均等割額が高く設定されている点が特徴となっています。

もし、この人に配偶者がいて、老齢基礎年金(満額78万900円(令和3年度額))を受給している場合の世帯の社会保険料額は、約11万1000円まで上がります。

年金から引かれる税金そして社会保険料を意識しておこう

年金を受給する際には、年金額から所得税や住民税、そして社会保険料が差し引かれます。これらの合計額は受給できる年金額によってはかなり高額に上るでしょう。

例えば受給できる年金額が300万円だとすると、税金と社会保険料の合計は約39万円になります。したがって、年金の手取り額は受給額の9割程度になると考えておいた方がよさそうです。

また、今後社会保険料の負担が増える可能性もあります。受給予定額全額が受け取れるわけではないことをしっかりと認識しておき、不足すると思われる部分については自助努力で早めに準備しておくことが必要です。

参考資料

国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm)

日本年金機構「年金からの特別徴収」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/shikyu/20140421-03.html)

東京都主税局「特別徴収Q&A」(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/tokubetsu/about.html)

厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000872907.pdf)

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