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動物病院の窓口から見る、愛猫にペット保険を掛ける時の注意点とは【現役獣医師執筆】

LIMO / 2022年3月6日 19時35分

動物病院の窓口から見る、愛猫にペット保険を掛ける時の注意点とは【現役獣医師執筆】

動物病院の窓口から見る、愛猫にペット保険を掛ける時の注意点とは【現役獣医師執筆】

ペット保険大手のアニコム損害保険株式会社が、ペット保険契約件数が2022年1月に100万件を突破したことを発表しました。

ペット保険の契約件数増加は、猫などのペットを迎える家庭が増えてきたことに伴うものとみられます。

今回は「ペット保険」の歴史を振り返り、動物病院の窓口での実体験も踏まえて、ペット保険に加入するための費用・検討ポイントも併せてお伝えします。

ペット保険の成り立ち【日本・世界】

Steven Litton/shutterstock.com

ペット保険の歴史は古く、100年以上前である1890年のスウェーデンが発祥です。

元々は家畜を対象にした動物保険でした。

やがて1924年にペット保険が出来、それから20年以上遅れてイギリスで販売が拡大していきました。

イギリスで拡大した理由として、犬や猫の病気やケガの予防にも関心が高く、医療費が高額になる傾向があったようです。

それを補うためにペット保険が広がっていきました。

当時から犬や猫を「ペット」というよりも「家族」であると捉えるリテラシーの高さがあったようです。

日本におけるペットの保険は、1980年代からスタートしていますが、保険金支払いや経営破綻などのトラブルがあり、当初は進展がみられませんでした。

1995年に日本ペットオーナーズクラブ(現ペット&ファミリー損害保険)が販売を開始し、現在では数十社のペット保険となっています。

ペット保険加入率が最も高いのがスウェーデンの50%で、欧米では約30%と言われており、日本は5%ほどの加入率です。

日本において加入率が低い理由は、まだペット保険の歴史が浅いからといわれていますが、動物病院の現場では、ペット保険加入者は増え続けている印象があります。

日本で愛猫へのペット保険加入が増えている理由

bmf-foto.de/shutterstock.com

ペット保険加入者が増えている理由は、ペットは家族の一員ペットという認識が高まったことがまず挙げられます。

そして、ペットの高齢化も見逃せない要因で、それによってペット保険市場も拡大している背景があります。

愛猫のためにペット保険の加入を考えないといけない主な理由は、動物の医療費が全額飼い主負担だからです。

とはいえ、日本国内でもペット保険会社は多彩であり、その選択に苦慮してしまう飼い主も少なくありません。

年齢が低めの猫でも呼吸器疾患や消化器疾患にかかりますが、高齢になれば腎臓の疾患や腫瘍のリスクも多くなり、また長期入院が必要な場合も出てきます。

そのような時に、医療費の負担を軽減するのがペット保険なのです。

ただし、補償プランが各社ごとに異なり、特色を出すために入院や手術を対象として通院を対象外にした「手術特化型」や通院を対象にした「通院特化型」といったパターンがあります。

特化型は月額の保険料もお手頃で便利な面もあるのですが、実際に使ってみると猫のためにも入院・手術・通院をフルカバーしておくのが安心です。

猫がペット保険加入時に検討すべきポイント

ANURAK PONGPATIMET/shutterstock.com

猫の保険も人間の保険同様に、加入前に健康であることを申告します。

既往病歴や治療中として診断された疾患は保険の対象外となることもありますし、場合によっては契約出来ないこともあります。

ただし、特定の疾病だけを補償の対象外とする特別条件を受けられることもあります。

また、加入前の審査が不要のプランもありますので、既往病歴によっては検討するのもよいでしょう。

そして、ペット保険に加入するには年齢上限があり、各社によって差はあるものの、7~12歳齢までが目安とされています。

なお、高齢から加入出来るシニア専用というプランもあります。

他にも先天性疾患・予防接種・健康診断・避妊去勢手術も対象外となる場合がありますので、加入時にはよく確認し、注意してください。

主な補償内容は、通院、入院、手術が補償され、その補償割合は保険料によって50~90%のプランの中から選びます。

つまり、10~50%負担で飼い主が支払うことになるのです。

補償割合に応じて毎月の保険料も高くなります。

そして、オプションとして自分のペットが人や動物にけがをさせたり、器物を破損壊して損害賠償を負ったりしたときに、相手の治療費や修繕費、慰謝料といった損害賠償金や弁護士費用などの実費を補償する「ペット賠償責任特約」があります。

また、ペットが死亡したときの「火葬費用」を補償する特約などもあります。
他にも多頭割引やマイクロチップ割引があったりします。

このように様々なオプションがありますので、猫の性格や年齢も踏まえて選ぶのがおすすめです。

ペット保険で受け取れる金額の目安と、受け取り方法

飼い主が受け取る保険料には、通院1日あたりの受取金額に10000~14000円の上限額があり、回数制限もあります。

また、手術は1回100000~140000円の上限で年2回まで……というように各社のプランによって、限度額や制限は異なります。

もちろん、限度額・制限回数を上回る医療費は飼い主の自己負担になります。

一般的な保険金の受け取り方は、動物病院の窓口で一度全額支払い、明細書を受け取って保険会社に請求し、追って保険金が振り込まれるという流れです。
最近はアプリやLINEで保険会社への請求が完了できるものもあります。

動物病院窓口にて保険金の清算出来るものとしては、アニコム損害保険やアイペット損害保険があります。

これらの保険会社が提携している動物病院窓口で健康保険証を提示すれば、医療費から保険金額を差し引いて清算してくれるので、加入者が後日手続きする必要がないので、最も簡単に利用できる仕組みです。

各ペット保険会社の1歳齢でプランと保険料を比較してみると、下記の通りです。

アニコム損保

「どうぶつ健保ふぁみりぃ」補償割合70%プランで、月3330円の保険料です。1日の限度額と年間回数が決まっています。

また、8歳齢から加入出来る入院費と手術代だけをサポートした「どうぶつ健保しにあ」50%補償プランで月1010円というものもあります。

アイペット損保

「うちの子」補償割合70%で月2990円の保険料です。こちらも1日の限度額が決まっています。

そして、追加で1事故500万円まで補償される「ペット賠償責任特約」を追加保険料月130円でオプションとして付けられます。

また、飼い主自らが保険会社に請求するものについても同様に見ていきます。いずれも1日の限度額と年間限度額があります。

日本ペット少額短期保険

「いぬとねこの保険」補償割合70%で月2020円

ペット&ファミリー損保

「げんきナンバーワンスリム」補償割合70%で月1480円

アクサダイレクトの「ペット保険」

補償割合70%で月1540円

リトルファミリー少額短期保険

「わんデイズ・にゃんデイズ」補償割合70%で月1580円

au損保

「通院ありタイプ」補償割合70%で月2560円

FPC

「フリーペットほけん」補償割合70%で月1950円

楽天少額短期保険

「ずっといっしょ」補償割合70%で月2470円

ペットメディカルサポート

「PS保険」補償割合70%で月2050円

ぺッツベスト

「ワイド」補償割合80%で月2150円

ただし、保険会社によっては、50%や90%のプランもあり、補償割合によって保険料も異なってきます。

SBIいきいき少額短期保険の「ペット保険」は補償割合70%で月585円と、最安の保険料となっていますが、免責金額が設定されているので、低額な医療費では使いづらいです。

保険の契約は基本的に1年ごとに更新し、そのたびに毎年の保険料は加算されます。

頻繁に保険請求すると継続を打ち切られることがありますし、補償内容の使いづらさからペット保険を変更する飼い主もいます。

また、高齢になると更新・継続出来ないプランもあります。

そうなると高額な保険料でも、大手の保険会社が安心かもしれません。

人間の保険同様に、補償が開始されるのは加入から1~3ヶ月間の待機期間を待ってからになります。

契約すれば直ぐに保険金が受け取れるわけではありません。

ペット保険の役割を分かりやすく言うと、「動物病院での自己負担を減らす」ことです。

目的を達成するには、補償割合の高いものがおすすめですが、一日の補償限度額があるので、よく確認しましょう。

そして愛猫の年齢と品種で保険料を見積ります。

ほとんどの保険会社でインターネット上から簡単に見積りが出来ます。

読んでいてお分かりのように、ペット保険とそのプランは多様化し、加入者は選択に迷うばかりです。

まして窓口となる動物病院は、ペット保険プラン全般を把握しなければなりません。

諸外国と比べても加入者の少ない日本では、飼い主のニーズに応えるためにさらにプランの幅が拡大する可能性があります。

ペット保険の窓口である動物病院に身を置く者としては何よりも、飼っている猫にとって合う補償内容と見積りから選択していただき、納得して加入することが正しい判断と考えます。

猫を取り巻く環境は、時代と共に変化しているため、飼い主もそれについていかなければなりません。

でもペット保険だけで全てが安心出来るわけではなく、最も大切なのは、様々な方法で猫がくつろげる環境を与え続けてあげられることです。

参考資料

アニコム損害保険株式会社「日本初、ペット保険の契約件数が100万件を突破」(https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2021/20220112/)

アニコム損害保険株式会社「LINEによる保険金請求の方法」(https://www.anicom-sompo.co.jp/customers/payment/line_adjust/)

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