年収400万円以下は日本で何パーセントか。「貯蓄―負債=純貯蓄」は年収が多いほど増えるか
LIMO / 2022年3月22日 5時20分
年収400万円以下は日本で何パーセントか。「貯蓄―負債=純貯蓄」は年収が多いほど増えるか
国税庁・総務省のデータから年収と貯蓄の関係を紐解く
年収は多いほうが良い、というのが一般的な考えでしょう。
国税庁の「令和元年(2019年)分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は433万円とのこと。
年収が多くなると、貯蓄も多くなるのではと考えたくなるところですが、実態はどうなのでしょうか。
私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、「年収400万円代世帯」の貯蓄や負債事情を紐解きながら、将来へのお金の備え方についてお話をしていきたいと思います。
年収400万円代世帯の割合は?
まずは、平均給与額の400万円代世帯はどのくらいの割合なのか確認していきましょう。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」を参考にします。
【男女計】給与階級別給与所得者数・構成比
100万円以下:8.4%
100万~200万円以下:13.8%
200万円超 300万円以下:15.5%
300万円超 400万円以下:17.4%
400万円超 500万円以下:14.6%
500万円超 600万円以下:10.2%
600万円超 700万円以下:6.5%
700万円超 800万円以下:4.4%
800万円超 900万円以下:2.8%
900万円超 1000万円以下:1.8%
1000万円超 1500万円以下:3.4%
1500万円超 2000万円以下:0.7%
2000万円超 2500万円以下:0.2%
2500万円超:0.3%
平均:433万円
400万円台世帯は14.6%。前後の世帯も合わせて見ると、ボリュームゾーンになっていることがわかります。
ちなみに400万円以下の世帯の割合は全世帯のうち55.1%と半数以上が平均給与より少ないということもわかりました。所得格差も見逃せないところかもしれませんね。
年収400万円台世帯の貯蓄事情は?
では400万円台世帯の貯蓄事情はどうなっているのでしょうか。
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にします。
※四捨五入の関係で、各項目の合計と「平均貯蓄額」は一致しない場合があります。
年収400万~450万円(平均年収:423万円)
平均貯蓄額:911万円
〈貯蓄の内訳〉
金融機関:893万円
通貨性預貯金:290万円
定期性預貯金:286万円
生命保険など:228万円
有価証券:88万円
金融機関外:18万円
年収450万~500万円(平均年収:474万円)
平均貯蓄額:813万円
〈貯蓄の内訳〉
金融機関:805万円
通貨性預貯金:264万円
定期性預貯金:252万円
生命保険など:212万円
有価証券:77万円
金融機関外:8万円
年収400万円台世帯の貯蓄額は1000万円に近いということがわかりました。
お子様がいる世帯などでは、教育費などの負担もあり、思うように貯蓄ができないという世帯も多いかもしれません。
貯蓄額の内訳をみていくと、やはり半分以上の資産を預貯金が占めていることがわかりました。
年収400万円台世帯「負債」はどのくらい?
本当の貯蓄額を算出するために「負債」も確認をしていきましょう。
年収400万~450万円世帯の負債
平均負債額:555万円
うち「住宅・土地のための負債」:508万円
年収450万~500万円世帯の負債
平均負債額:601万円
うち「住宅・土地のための負債」:560万円
年収400万円世帯のほとんどの負債は、住宅ローンなどの「住宅・土地のための負債」ということがわかりました。
前述の「平均貯蓄額」から「負債額」を差し引いた「純貯蓄額」をみていきましょう。
年収400万~450万円世帯の純貯蓄額
911万円(貯蓄)-555万円(負債)=356万円
年収450万~500万円世帯の純貯蓄額
813万円(貯蓄)-601万円(負債)=212万円
年収400万円の年収ゾーンを比較すると、貯蓄額、純貯蓄額ともに、年収400万円前半世帯のほうが高くなっています。
単純に比較する限りは、「年収が多ければ、多く貯蓄できる」とは言い切れないということがわかりました。
お金にも働いてもらう
ここまで「年収400万円世帯」の貯蓄と負債の実態を紐解いてきました。
マイホームのローンなどの返済に追われ、なかなか貯蓄まで回らないという方が多いのが実情といえるかもしれません。
前述のデータを見ると、ほとんどの方が預貯金を活用されていることがわかりましたが、残念ながら銀行にあずけておくだけでは、お金は増えて行かない時代となりました。
そんなときに検討をおすすめしたいのが「お金にも働いてもらう」、つまり資産運用の活用です。
仕事を退職したあとの生活のイメージを早めにすることで、「今から」将来に向けて備えるのです。そうすることで、漠然とした将来への不安も解消できるかもしれません。
例えば、つみたてNISAやiDeCoなど、運用しながら税金のメリットを享受できる制度の活用を検討されてもよいでしょう。
積立投資は長期で行うからこそ、成果が出ます。少しでも早く運用をスタートすることが成功への近道であることは間違いありません。
銀行などの預貯金とは異なり、資産運用には元本保証はありません。集中的に投資をするのではなく、リスクを分散しながら積立を長期間で行えるかどうかがカギを握ります。まずは情報収集から、始めることをおすすめします。
参考資料
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査の調査概要」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」第8-2表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&stat_infid=000032087774&result_back=1&tclass4val=0)
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