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中学生【ヤングケアラー】は17人に1人。自分の子どもは大丈夫?利用できる制度とは

LIMO / 2022年5月2日 17時50分

中学生【ヤングケアラー】は17人に1人。自分の子どもは大丈夫?利用できる制度とは

中学生【ヤングケアラー】は17人に1人。自分の子どもは大丈夫?利用できる制度とは

公的介護保険や障害年金の制度を確認

ヤングケアラーとは、両親が忙しい、または死別や離婚で人手が足りず、大人が担うような介護や世話の責任を引き受けている18歳未満の子供をいいます。

ヤングケアラーは介護を優先し学校や友人関係で孤立したり、就職や進学を断念したりするケースが頻発している深刻な社会問題です。

本記事では、ヤングケアラーがいるご家庭に活用してほしい支援制度についてご紹介します。

中高生ヤングケアラーの全国割合

厚生労働省が文部科学省と連携した調査によると、世話をしている家族がいると答えた中学2年生は5.7%、全日制高校2年生は4.1%です。(2021年3月の最新結果)

これは日本全国の中学2年生17人に1人、全日制高校2年生24人に1人の割合です。

出所:厚生労働省「ヤングケアラーについて」

世話の頻度については「ほぼ毎日」が3〜6割です。世話に費やす1日の平均時間は「3時間未満」が多いものの、「7時間以上」も1割程度いる結果となりました。

今回の調査対象は中学2年生と全日制高校2年生に限定されています。調査対象が広がれば、ヤングケアラーの全国割合は更に高くなるでしょう。

次の項目では、ヤングケアラーがいるご家庭が利用できる可能性のある制度について解説します。

公的介護保険制度を活用する

介護の必要な家族がいる場合は、公的介護保険の利用を検討してみましょう。

病気やケガで介護が必要な状態となった場合、1〜3割の自己負担で所定の介護サービスを受けられます。

公的介護保険の制度内容

40歳以上の人は障害の有無にかかわらず、公的介護保険の被保険者になります。

申請によって要支援・要介護と認定された人は公的介護保険サービスを受けられます。

ただし40歳以上65歳未満の人は、国が「加齢による心身の変化によって生じる、要介護状態につながる病気」と定める16種類の特定疾病に該当する場合のみ利用できます。

【16種類の特定疾病】

    がん(自宅等で療養中のがん末期)

    筋萎縮性側索硬化症(ALS)

    後縦じんたい骨化症

    骨折を伴う骨粗しょう症

    多系統萎縮症

    初老期における認知症

    脊髄小脳変性症

    脊柱管きょうさく症

    早老症

    糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

    脳血管疾患

    進行性核上性まひ、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病

    閉塞性動脈硬化症

    関節リウマチ

    慢性閉塞性肺疾患

    両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

公的介護保険サービスは、障害者施設(更生施設・授産施設・養護施設など)に入所、または通所をしながら受けることも可能です。(入所施設による)

公的介護保険の申請方法

お住まいの市町村及び特別区の役所で申請します。

申請には以下の4点が必要です。

要介護(要支援)認定申請書(市区町村窓口やホームページから入手可能)

介護保険被保険者証(本人が40歳から64歳の場合は、 健康保険被保険者証)

マイナンバー

顔写真付きの身分証明書

各種書類を提出すると、「介護保険資格者証」が交付されます。その後は訪問調査の日程調整に入るので、希望する日時を担当者に伝えましょう。

後日ケアマネージャーが聞き取り調査を実施し、その結果を元に判定が行われます。

無事認定されると、申請から30日以内に認定証と介護保険被保険者証が郵送されます。

障害年金を活用する

公的年金の加入中に病気やケガで障害状態となった場合は、障害年金を受け取れる可能性があります。

ちなみに、20歳未満で公的年金加入前に障害状態となった場合の障害基礎年金もあります。

障害年金の使い道は自由なので、障害者支援の費用に充てればヤングケアラーの負担が少なくなるでしょう。

障害年金の制度内容

国民年金に加入していた方は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」が受け取れます。

ただし、次の要件に全て該当する方のみ受給可能です。

【障害基礎年金】

    国民年金加入期間、または20歳前、もしくは日本国内在住の60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間に、障害の原因となった病気やケガの初診日がある

    初診日がある月の2ヵ月前までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間※と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上

    障害の状態が、障害認定日または20歳に達したときに、障害等級表に定める1級または2級に該当している

【障害厚生年金】

    厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やケガの初診日がある

    初診日の前日において、国民年金の保険料納付済期間※と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上

    障害の状態が、次の条件すべてに該当していること。

初診日から5年以内に治っていること(症状が固定)

治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと

障害等級表に定める障害の状態であること

※厚生年金の被保険者期間・共済組合の組合員期間を含みます。

出所:日本年金機構「障害年金ガイド」

障害年金の申請方法

申請に必要な書類は、障害基礎年金・障害厚生年金で共通ですが、18歳到達年度末までの子供または20歳未満の障害がある子供がいる場合は多少異なります。

詳細は次の表にまとめてあります。

日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」を参考に筆者作成

注意点として、障害基礎年金は障害等級2級以上の方が対象です。

国民年金に加入している方が3級と認定された場合は、障害年金が受け取れません。厚生年金に加入している方は障害厚生年金のみ受け取れます。

これまでに障害年金の申請が通った症例については、NPO法人障害年金支援ネットワークのHP(https://www.syougainenkin-shien.com/case)をご覧下さい。

ヤングケアラーがいる家庭はすぐに相談を

ヤングケアラーが担っている責任も、公的介護保険や障害年金の利用で軽減できる可能性があります。

家庭内だけで抱え込まず、まずは自治体に相談してみましょう。

参考資料

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「ヤングケアラーの実態に関する調査研究のポイント①」(https://www.mext.go.jp/content/20210521-mxt_jidou02-000015177_00.pdf)

厚生労働省「ヤングケアラーについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/young-carer.html)

公益社団法人生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1108.html)

日本年金機構「障害年金ガイド」(https://www.google.com/url?q=https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf&sa=D&source=docs&ust=1650527019042645&usg=AOvVaw2CxH0tTnwadBAY6-PQbCn1)

日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/index.html)

日本年金機構「障害年金を請求するとき」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/20180305.html)

NPO法人障害年金支援ネットワーク「障害年金事例集」(https://www.syougainenkin-shien.com/case)

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