【介護保険】在宅介護を支える「福祉用具貸与」レンタル料金と注意点をケアマネが解説
LIMO / 2022年12月7日 5時50分
【介護保険】在宅介護を支える「福祉用具貸与」レンタル料金と注意点をケアマネが解説
福祉用具貸与のメリット・デメリットとは
自宅で受けられる介護保険のサービスのひとつに「福祉用具貸与」(福祉用具のレンタル)があります。
「福祉用具のレンタルについて知りたい」「レンタル料金はどのくらいかかるのだろうか?」など疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、レンタルの対象となる福祉用具の種類やレンタル料金、レンタルするまでの流れなどを紹介します。
これから在宅介護を始める人や、福祉用具のレンタルを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
介護保険で利用できる「福祉用具貸与」とは
「福祉用具貸与」とは、介護保険で利用できるサービスのひとつです。
要支援・要介護認定を受けた人が、日常生活を送るうえで必要な車いすや介護用ベッドなどの福祉用具を介護保険でレンタルすることができます。
また「福祉用具貸与」のサービスを提供できるのは、都道府県や市区町村から指定を受けた「福祉用具貸与事業者」に限られます。
指定事業者には、専門知識を持つ「福祉用具専門相談員(※)」が配置され、利用者の身体状態や自宅環境に合った福祉用具の選定や提案をしてくれます。
※福祉用具専門相談員…福祉用具に関するアドバイスを行う専門家のこと。福祉用具貸与事業所では、2名以上の配置が義務付けられている。
レンタル対象となる福祉用具13品
レンタルの対象となる福祉用具は全部で13品です。
ただし、認定されている要介護度によってレンタルできる対象が異なります。
要介護2〜5の人がレンタルできる福祉用具
車いす
車いす付属品
特殊寝台(介護用ベッド)
特殊寝台付属品
床ずれ防止用具
体位変換器
認知症老人徘徊感知機器
移動用リフト
全ての要介護者がレンタルできるもの福祉用具
手すり
スロープ
歩行器
歩行補助つえ
自動排泄処理装置
※対象介護度…尿のみ吸引:要支援1・2、要介護1〜5。尿と便を吸引:要介護4・5
軽度者へのレンタルの特例給付
要支援1・2、要介護1の軽度者の人で、心身状態により利用が想定される場合には、対象外の福祉用具を例外的にレンタルできます。
このことを介護保険では「例外給付」と言います。
「例外給付」を受けるためには、医師の所見やケアマネジメントの判断が必要となりますので、かかりつけの医師と担当のケアマネジャーに相談すると良いでしょう。
【介護保険】福祉用具のレンタル料金はいくらか
福祉用具のレンタルにかかる費用には、介護保険が適用されます。
そのため利用した場合の自己負担分は、レンタル料金の1割(一定以上の所得者の場合は2または3割)となります。
たとえば、1割負担の人では、1ヵ月に1万5000円のレンタル料金がかかる場合、介護保険を適用すると自己負担は1500円になります。
また、要介護度別に1カ月間の支給限度額が決まっているため、他の介護サービスとの組み合わせの中で限度額に応じた福祉用具をレンタルする必要があります。
なお、対象の品目によってレンタル料金は異なっています。
福祉用具をレンタルする流れ
福祉用具をレンタルする流れは以下の通りです。
ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談する
ケアプランを作成し、福祉用具貸与事業者を選ぶ
福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問。用具の選定や提案を受ける
事業者が用具を納品し、利用者の適合状況を確認する
用具を決定して、利用者と福祉用具貸与事業者が契約する
レンタルとサービスが開始される
福祉用具専門相談員による定期的なメンテナンスやアフターサービスを受ける
福祉用具貸与のメリット・デメリット
つづいて、福祉用具をレンタルするメリット・デメリットをご紹介します。
福祉用具レンタルのメリット
・購入するよりも費用が抑えられる
・必要な時だけ使え、いつでも返品可能
・定期的に点検してもらえる
レンタルであれば、安い費用で福祉用具を利用できます。短期で必要な期間だけレンタルすることも可能です。
また、利用者の心身状況に合わせて適切な福祉用具に変えていくことができるほか、不要となったときに返品できることもメリットです。
レンタル開始後は、福祉用具相談員が定期的に訪問して点検してくれるため、安心して福祉用具を使い続けられます。
福祉用具レンタルのデメリット
新品ではない
取り扱いに気を付ける必要がある
細かい利用条件がある
レンタルできる福祉用具のほとんどは新品ではなく中古品となります。返品後は消毒して、次の利用者に貸し出されますが、他人が使ったものに抵抗がある人や新品を使いたい人には向いていません。
また、福祉用具でレンタルする介護用品は自分だけの所有物ではありません。そのため、傷つけたり破損させたりしないように注意を払う必要があります。
さらに、レンタルの対象となる13品目は無条件に借りられるわけではなく、利用者の要介護度や心身状況など利用条件が細かく設定されていることもデメリットと言えるでしょう。
介護保険で「福祉用具貸与」のサービス利用検討を
在宅介護をするには、さまざまな介護用品が必要です。全ての介護用品を買い揃えると金銭的に大きな負担となります。
しかし、介護保険で「福祉用具貸与」のサービスを利用すると、安い費用でレンタルすることが可能となります。
ただし、福祉用具をレンタルするには細かい利用条件がありますので、まずは地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談すると良いでしょう。
参考資料
厚生労働省「福祉用具貸与」(参考資料)(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168702.pdf)
厚生労働省「福祉用具 住宅改修」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html)
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group21.html)
厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000875875.pdf)
外部リンク
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