流行語はホントに流行語!? 一括りにはできないZ世代たち
LIMO / 2023年12月7日 20時35分
流行語はホントに流行語!? 一括りにはできないZ世代たち
消費者行動の分析で利用されちなZ世代 より細分化してみるべき?
Z世代とは、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代で、2023年現在12歳~28歳前後の年齢層を指します。デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれ、SNSとZ世代と結びつけられることも多い印象です。
「若い人の消費行動」ということで、「Z世代に流行りの……」など、なにかと流行の最先端として扱われています。
どんどん新しいものに挑戦しトレンドを作り出すため、Z世代の消費行動が理解できれば、企業として大きな利益を生む可能性も秘めています。
一方で、筆者は「本当にZ世代に流行っているの?」と思う場面もしばしば。筆者は大学4年でZ世代に含まれますが、SNS上やテレビなどで流行と取り上げられているものはピンとくるものもあれば、ピンとこないものもあります。
そこで今回は、「流行語があなたの周りで流行していたか」というイー・ガーディアン株式会社の調査結果やLIMO・U23編集部のランキング・流行語に対する意見を紹介。消費庁が報告する「若者の消費行動」の傾向について分析していきます。
「SNS流行語大賞2023」について
イー・ガーディアン株式会社は、X(旧Twitter)上で広くつぶやかれたワードを独自調査。その中でバズった(拡散されたワード)を「SNS流行語大賞2023」として発表しました。
ノミネートした流行語の結果
「SNS流行語大賞2023」の結果を見ると、「かわちい」「なぁぜなぁぜ」などTikTokでバズったワードが見られます。「Z世代といえばTikTok」という声をよく耳にしますが、その一端を感じるような結果に。
「ひき肉です」はYouTuberが発しているワードです。他のSNSでバズってから使われる言葉として浸透し、引き続きX(旧Twitter)などでも使われています。
この年はZ世代にとって思い入れ深いキャラクターが表舞台から消えるような年でした。「うーたん卒業」の「うーたん」は2003年から活躍した「いないないばあっ!」(NHK)のキャラクターです。Z世代は幼少期から見ていた世代と考えられます。
同じようなものに「サトシ引退」がありました。サトシはアニメポケットモンスターの主人公。1997年にアニメが放送されて以来主人公として愛されていきましたが、26年目の今年、引退となりました。
Z世代が子供の頃から身近な存在だったため、SNSでは衝撃を受ける声が相次ぎました。
他にもアニメなど二次元のコンテンツの用語があり、SNSと二次元の結びつきが伺えます。
Z世代はどれくらい認知している?
TikTokをはじめとしてエンタメで流行ったものは比較的認知されていたものの、LIMO・U23編集部内で知っている人がいる言葉は限られました。2人以上知っているものをまとめると、以下の結果となりました。
カタイアイス
なぁぜなぁぜ
うーたん卒業
Twitterの鳥
サイゼリヤ警察
かわちい
ひき肉です
シナモンと安田顕のゆるドキ☆クッキング
AIに描いてもらった
スイカゲーム
蛙化現象
サトシ引退
LIMO編集部内にはギリギリZ世代に入る社会人の編集者もいますが、U23編集部で流行している言葉の7割程度を認知していました。
また、「薩摩ホグワーツ」(「ハリーポッター」作品のパロディ)や「てぇてぇ」(尊い)など、U23編集部で認知されていない言葉を一部把握していました。
今回アニメに関する用語を知っている人が少なかった印象ですが、Z世代といっても、年齢やクラスターにより使っている流行語や認知している流行語が異なるだろうことが推察されます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
流行語が本当にはやっているのか調査
「SNS流行語大賞2023」をもとに株式会社RECCOOは、ノミネートされた流行語の中で「実際に流行っていた」と思うワードに投票する形式で、「流行語が本当に流行っているのか」現役大学生へ200人へアンケート調査を行いました。
大学生間での流行語ベスト5結果
「大学生の間での流行語ベスト5」の結果は、大学生らで構成するLIMO・U23編集部の知っているものばかりでした。流行語の話題に参加した7名の結果も、おおむねU23編集部で知っている人の割合と一致していました。
第1位:なぁぜなぁぜ (5票)
皮肉を込めて、自分に対して疑問や不満を言う際に使う言葉。「おかしに手を出しちゃいけないとわかっているのに、きづくとなくなっているの。なぁぜなぁぜ」といった感じで使います。
第2位:蛙化現象 (7票)
好きだった相手に好意を持たれた瞬間、嫌悪感を抱いてしまうというもの。Z世代の恋愛観としてテレビなどのメディアでも取り上げられることが多く、有名な言葉になりました。
第3位:ひき肉です (5票)
「ひき肉です」は、チャンネル登録者数150万人越えの中学生6人組YouTuberの「ちょんまげ小僧」のメンバー「ひき肉」による挨拶。
ポーズが真似しやすく、流行りさらにスポーツ選手が真似したことで幅広い世代の人に親しまれるきっかけにもなりました。
第4位:かわちい(2票)
服装のコーディネートをテーマにした動画などを配信するクリエイターのSleepy boyさんが使用し、認知度が高まりました。
幅を紹介する動画やツイート(ポスト)などで使用されている印象のワードです。
第5位:スイカゲーム (4票)
Nintendo Switchで200万ダウンロードを達成したスイカゲーム。フルーツ同士をくっつけて少しずつ大きなフルーツにしていくというシンプルでゆる可愛いゲームです。
芸能人やYouTuberがゲーム実況を配信し話題を呼びました。なかなか最大サイズのスイカにするのが難しく、「スイカにできたの何日目!?」といった話で盛り上がることもあります。
LIMO・U23編集部的にはどう?
LIMO・U23編集部の現役大学生7名にノミネートランキングから知っている用語を答えてもらったところ、TOP5以外に入った言葉でランキングをつけてみると以下のようになりました。
第1位:Twitterの鳥 (5票)
2023年7月24日TwitterからXに名前が変更されたことから、ロゴマークとして親しまれた「青い鳥」も黒背景に白文字で書かれた「X」というアルファベットの文字に変わりました。
Twitterという名前が変わることじたい衝撃でしたが、アプリのアイコンとして毎日見てきた「青い鳥」までいなくなるとは……と驚きと寂しさで話題になったワードで印象を覚える人も多かったようです。
第2位:サイゼリヤ警察 (4票)
サイゼリアではなく「サイゼリヤ」と誤った呼び方を3年5ヶ月指摘し続けた「サイゼリヤ警察」。サイゼリアの創業者がテレビで「サイゼリヤでもサイゼリアでもどっちでもいい」と発言したことを知り、活動辞退を表明。
注目されているアカウントであったことからTwitter界隈に衝撃が走りました。
第3位:カタイアイス (3票)
新幹線の車内ワゴン販売が中止され、「あの硬さとはもうお別れか」と話題になったカタイアイス。LIMO・U23編集部からも夏の思い出のカタさだったので残念だったとの声が上がっていました。
現在は駅の売店や自販機で売っているそうですが、同じ硬さにはならないそうです。
U23に熱いファンがいるもワーストに輝く言葉も
株式会社RECCOO調査で「流行していた」という回答が少なかったワースト5位です。
筆者自身も全て知らず……。LIMO・U23編集部では、「シナモンと安田顕のゆるドキ☆数分クッキング」は学生7人中5人も知らないとのことでした。それ以外については、知っている人がいない結果となりました。
しかし、「シナモンと安田顕のゆるドキ☆数分クッキング」について2人から熱い意見が届きました。「シナモンと安田顕のゆるドキ☆数分クッキング」とは、YouTubeで配信されている2分くらいの料理番組。
「私が大好きな番組です!ロールキャベツをつくろうとしているのに、シナモンの気になるところを安田さんが説明したり、突然塩昆布キャベツをつくったりして全然完成しないんです。シナモンが頑張ってお手伝いしようとする(けどうまくいかない)姿が本当にかわいくて......」
「めちゃくちゃゆるくて大好きです!!!!!」と大絶賛の声が。
周りに知らない人が多く、布教(自分の推しコンテンツを人におすすめすること)を行っているとのことですので、それだけ熱烈なファンがいれば、筆者の世代で本当に流行する日も来そうです。
熱いコメントのあまり気になってしまい私自身もチェックしましたが、とてもゆるくて癒される番組で、「次が早く公開されないかな」と待ち遠しくなりました。
流行語と消費庁発表の結果に関連性がみられる
このように、Z世代間でもZ世代的には消費行動に差がある印象を受けますが、消費庁では「若者の消費行動」の傾向を押さえています。
「令和4年版消費者白書」によると、若者の消費行動には以下の傾向がみられるようです。
「若者は『食べること』等にお金をかけつつ、『参加型のイベント』、『有名人やキャラクター等を応援する活動』にお金をかけている(消費者庁「令和4年版消費者白書」)
確かに、今回の流行語では「カタイアイス」や「サイゼリヤ警察」といった食べ物にかかわるトピック、TikTokやYouTubeで著名人が発信した言葉、キャラクターの引退に関する話題などが多くノミネートする結果でした。
流行語からはなかなか判断がつきませんが、商品やサービスを購入する際には、「品質・性能の良さ」「価格の安さ」「見た目・デザイン」する傾向がみられるようです。
Z世代で流行に差があるのは疲れから?
LIMO・U23編集部の意見では、「流行しているものを追うことは結構好きだと思っていたけど、ノミネートされているワードは知らなかった! 結局自分好みのものしか見ていなかった」や「SNSで流行の!やZ世代に注目の! が多すぎて、流行を追うのに疲れてしまい自分の好きなものを追いかけることにした」という意見がありました。
流行を追うのに疲れた場合はしっかり休んで、自分の好きだと思えるものを探してみるのもひとつ。自分の本当に好きなものを見失わないようにしていくことが大切です。
今回の結果を見る限りでは、SNSによって、自分の興味をどこまでも追求することができるようになり、流行も分散しているのではないかと考えられます。今後、「わかりやすい流行」はあまり出てこない可能性を感じる結果でした。消費者行動分析もより複雑になっていきそうです。
参考資料
イーガーデン株式会社「『SNS流行語大賞2023』、ノミネートワード発表!~阪神タイガースの“アレ”や、ゼルダ・ポケモンの名言もノミネート!SNSで見ない日はなかった『ひき肉です』『蛙化現象』『なぁぜなぁぜ』も候補に~」(2023年11月17日) PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000294.000018759.html)
株式会社RECCOO「【Z世代のホンネ調査】SNS流行語大賞2023は本当に流行しているのかを調査。「なぁぜなぁぜ」は大学生の88.5%が「流行していた」と回答。」(2023年11月23日)PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000033607.html)
消費者庁「令和4年版消費者白書」第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_131.html)
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