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米朝首脳会談が市場に与える影響〜北朝鮮の経済開放が進むとしたら?

LIMO / 2018年6月16日 10時20分

米朝首脳会談が市場に与える影響〜北朝鮮の経済開放が進むとしたら?

米朝首脳会談が市場に与える影響〜北朝鮮の経済開放が進むとしたら?

「柏原延行」のMarket View 2018年6月13日

皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。

先日、群馬県に出張したのですが、途中で豪雨がありました。これから夏に向かうにつれ、豪雨・雷などに遭うことが多くなりそうですね。

なお、私ごとで恐縮ですが、6月18日(月)の日経CNBC「朝エクスプレス」のマーケット・レーダーのコーナーに出演させていただく予定です(8時20分~8時30分頃、生放送)。

さて、今回の記事のポイントは以下の通りです。

米朝首脳会談の結果は、米国による軍事力の行使が(少なくとも)当面はなくなったという観点からは、地政学リスクの緩和には繋がるもの。

しかし、最も重要であると思われる「経済制裁の解除と非核化へのスケジュール」については言及がなく、具体的な成果があったとは言いがたい状況。

市場への影響という観点から見ると、現段階での地政学リスク後退は既に市場に織り込まれており、特段の影響はなかったと評価できると思われる。

トランプ米大統領としては外交的な勝利と評価でき、支持率上昇が期待できる。「支持率上昇」と「首脳会談へ中国の貢献があったと思われること」から、トランプ政権の対中政策が変化するかに注目。

仮に、半島の安定化が順調に進展した場合、安価な労働力の供給と(供給力不足状態にある)新たな市場の出現が、どのような影響を株式や債券市場に与えるかがポイントとなろう。

 

各種メディアで報道されている通り、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は6月12日に首脳会談を行い、合意文書に署名しました。合意文書のポイントは、 「President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula(仮訳:トランプ⼤統領は北朝鮮に体制保証を提供する、そして、⾦正恩委員⻑は朝鮮半島の完全な⾮核化へ向けた堅く揺るぎないコミットメントを再確認した)」の部分にあると思われます。

北朝鮮にとって、最も重要と思われる「経済制裁の解除」には触れられていませんし、米国にとって重要と思われる「北朝鮮の非核化のスケジュール」も明確になっておらず、現時点では具体性に乏しい内容です。

今回の合意からは、①朝鮮戦争の終結は謳われておらず依然として戦争状態にあるものの、 ②米国による軍事力の行使は(当面は)なくなり、③朝鮮半島での永続的かつ安定した平和体制の構築に向けて、フォローアップ交渉ができるだけ早期に行われることになりそうです。

今回の首脳会談では、地政学リスクは後退したと評価されるべきですが、市場は既にこのことを織り込んでおり、特段の影響はなかったと思われます。

しかしながら、これではあまりにもコラムとしてはつまらないので、想像の羽を広げて、もう少し長いスパンでの市場への影響を考えてみたいと思います。

まず、トランプ米大統領にとっては、この「歴史的会談」の開催自体が外交的な勝利であり、支持率上昇が期待できると思われます。そして、この支持率上昇と相俟って、今回の会談に中国が一定の役割を果たしたと思われることから、中国に対するトランプ政権の政策が軟化する可能性があるのかもしれません。

次に、今回の会談をきっかけとして南北融和が進み、(北朝鮮の体制が維持されながらも)経済的な開放が進むと仮定してみましょう。

この場合、考えるべきこととしては、①安価な労働力の供給と、②(現在は供給力不足の状態にあると思われる)北朝鮮という(製品を販売することができる)新たな市場の出現です。

安価な労働力の供給は、これを上手に活用できる企業の成長から、株式市場の上昇要因として働くと思われます。一方で、「既存労働者の賃金上昇を抑制する」という観点からは、物価安定・下落要因となりますし、「供給能力不足の状態にある新たな市場の出現」という観点からは、需要の拡大による物価の上昇要因として働く可能性もあり、債券市場の方向性に関しては、容易に推測することはできません。

なお、1990年台初頭の東西ドイツ統一においては、「西ドイツマルクと東ドイツマルクが、原則、等価値とされ、東ドイツの人々の購買力(モノなどを買う力)が急上昇したこと」や「復興需要」などによりインフレ懸念が発生し、債券の金利は上昇(価格は下落)しました(図表1ご参照。1989年11月ベルリンの壁崩壊、1990年10月統一)。

図表1:ドイツ10年国債利回り
1989年1月3日~1990年12月28日:日次

出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成

(2018年6月13日 9:30頃執筆)

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