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【お盆の実家で話したい】親の介護費用と年金のこと。老人ホームに入所したら「ひと月平均いくら必要?」

LIMO / 2024年8月11日 19時55分

【お盆の実家で話したい】親の介護費用と年金のこと。老人ホームに入所したら「ひと月平均いくら必要?」

【お盆の実家で話したい】親の介護費用と年金のこと。老人ホームに入所したら「ひと月平均いくら必要?」

9割のシニアが「介護費用は自分で払う」と回答

例年にない猛暑となったこの夏、熱中症などで体調を崩しやすい時期はしばらく続きそうです。

離れて暮らすシニアの親御さんを持つ人であれば、健康面や認知面で変わりがないか、ささいな変化でも気づいてあげたいものですね。

またお盆休みにゆっくりと会う時間ができたら、普段はちょっと聞きにくい「介護」や「年金」についても聞いておきたいところ。歳を重ねることで、転倒によるけがや、急な体調変化は増えていく可能性がありますから。

2024年8月2日、株式会社LIFULL seniorが公表した調査結果(※)によるとシニアの家族の入院は「急な入院だった」と回答した人が60.0%。入院をきっかけに要介護認定を申請した人が39.5%、入院をきっかけに要介護度が重くなったと答えた人が43.1%でした。

【グラフ1枚目/全7枚】43.1%が「入院をきっかけに要介護度が重くなった」と回答。2枚目以降、介護費用や年金のデータをご紹介!

グラフ。入院と要介護認定について

出所:2024年8月2日入院も退院も時間の余裕なし!夏場に増える「高齢者の入院・退院」に関する実態調査をLIFULL 介護が実施(PR TIMES)2024年8月2日(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000049958.html)

また、退院後の行き先として35.0%が「介護施設・ホスピス」「リハビリ病院」と回答。半分以上にあたる51.3%の人が、退院が告げられてから1週間以下の短い期間に、その後の暮らしの段取りをしたと回答しています。

シニアの介護や医療にかかるお金は、何歳からどの程度必要となるかは見えにくく、個人差が大きいものです。急に必要となる入院費や、まとまった金額になるケースが多い介護費用は、極力親の資産から捻出していくことが望ましいです。

とはいえ、親子といえども年金額や貯蓄額について聞くのは憚られるという人も多いはず。「うちの親は大丈夫か……」と、何となく不安を感じていませんか?

今回は、各種資料をもとに、平均的な介護費用や、今のシニア世代の年金受給額データを整理してご紹介していきます。

※LIFULL介護「夏場に増える高齢者の入院・退院に関する調査」2024年8月2日公表

調査主体:株式会社LIFULL senior

調査対象:65歳以上の家族・親族の退院サポートを行ったことがある 874人

調査期間:2024年7月5日〜7月10日

調査方法:インターネット調査

【親の介護費用】介護にかかるお金や期間。平均はどのくらい?

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用、介護期間の平均データを見ることができます。

介護にかかるお金(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)

【グラフなど1枚目/全6枚】介護にかかるお金の平均はどのくらい?2枚目以降でさらに詳しく「介護費用・年金」データを紹介します!

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

一時的な費用の合計平均:74万円

掛かった費用はない:15.8%

15万円未満:18.6%

15~25万円未満:7.7%

25~50万円未満:10.0%

50~100万円未満:9.5%

100~150万円未満:7.2%

150~200万円未満:1.5%

200万円以上:5.6%

不明:24.1%

介護にかかる費用(月額)

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

【在宅介護の場合】月額平均:4万8000円

支払った費用はない:0.0%

1万円未満:7.2%

1万~2万5000円未満:22.3%

2万5000~5万円未満:17.6%

5万~7万5000円未満:13.3%

7万5000円~10万円未満:2.3%

10万~12万5000円未満:4.3%

12万5000~15万円未満:1.2%

15万円以上:5.8%

不明:26.0%

【施設介護の場合】月額平均:12万2000円

支払った費用はない

1万円未満:0.0%

1万~2万5000円未満:6.3%

2万5000~5万円未満:4.7%

5万~7万5000円未満:9.1%

7万5000円~10万円未満:8.7%

10万~12万5000円未満:20.9%

12万5000~15万円未満:7.9%

15万円以上:30.7%

不明:11.4%

介護期間は平均61.1カ月

介護期間の平均は約5年

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)」

介護期間の内訳

6カ月未満:3.9%

6カ月~1年未満:6.1%

1~2年未満:10.5%

2~3年未満:12.3%

3~4年未満:15.1%

4~10年未満:31.5%

10年以上:17.6%

不明:3.0%

同調査によると、介護期間は平均5年ほど。

介護用ベッド購入や住宅改修などにかかった「一時的な費用の合計」と、公的介護保険サービスの自己負担費用を含む「月々の費用」をトータルすると、施設介護の場合で約820万円、在宅介護の場合で約370万円。当然、実際にかかる介護費用は人それぞれです。

在宅介護の場合は、家族と同居・近居であればちょっとした買い物や家事は頼めるかもしれません。階段のない住居であれば、移動や外出の支援も少なくて済む可能性があるでしょう。

施設介護の場合

特別養護老人ホームなどの公的施設は比較的費用が低めですが、希望者が多く、必要な時に入所できないケースが多いです。また資産状況によっては民間施設とさほど変わらない費用となることも。「特養だから一番安い」とは限らない点は意外な盲点かもしれません。

民間の介護付き有料老人ホームなどの費用は、施設によって千差万別。一時金の時点で数十万円~数百万円がかかることも珍しくありません。

介護施設を選ぶ基準は、本人の心身状態や意向だけではなく、介護のキーパーソンとなる家族の意見にも大きく左右されます。親が元気なうちに、フランクに話し合っておけると良いですね。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

最新版・シニア世代の年金額【一覧表で見る】

介護費用のデータを見た後は、今のシニア世代の年金事情について見ていきましょう。

厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金のみを受け取る場合の平均年金額は男女ともに5万円台。厚生年金に加入した時期がなかった、自営業や専業主婦(主夫)だった人が受け取る年金額です。サラリーマンで厚生年金を上乗せ受給できる場合の平均額は、男性16万円台、女性10万円台。

とはいえ、上記はあくまでも平均額。老後の年金額は、現役時代の働き方や収入・過ごし方により人それぞれです。同資料より、受給額ゾーンごとの受給権者数を見ていきます。個人差・男女差に着目してみてください。

【年金一覧表】国民年金のみを受け取る場合

国民年金の受給額事情をグラフで見る

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

〈男性〉平均年金月額:5万8798円

〈女性〉平均年金月額:5万4426円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万5660人

1万円以上~2万円未満:27万4330人

2万円以上~3万円未満:88万1065人

3万円以上~4万円未満:266万1520人

4万円以上~5万円未満:465万5774人

5万円以上~6万円未満:824万6178人

6万円以上~7万円未満:1484万7491人

7万円以上~:178万3609人

【年金一覧表】厚生年金を受け取る場合

厚生年金の受給額事情をグラフで見る

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)をもとにLIMO編集部作成

厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

〈男性〉平均年金月額:16万3875円

〈女性〉平均年金月額:10万4878円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万1358人

1万円以上~2万円未満:1万5728人

2万円以上~3万円未満:5万4921人

3万円以上~4万円未満:9万5172人

4万円以上~5万円未満:10万2402人

5万円以上~6万円未満:15万2773人

6万円以上~7万円未満:41万1749人

7万円以上~8万円未満:68万7473人

8万円以上~9万円未満:92万8511人

9万円以上~10万円未満:112万3972人

10万円以上~11万円未満:112万7493人

11万円以上~12万円未満:103万4254人

12万円以上~13万円未満:94万5662人

13万円以上~14万円未満:92万5503人

14万円以上~15万円未満:95万3156人

15万円以上~16万円未満:99万4044人

16万円以上~17万円未満:104万730人

17万円以上~18万円未満:105万8410人

18万円以上~19万円未満:101万554人

19万円以上~20万円未満:90万9998人

20万円以上~21万円未満:75万9086人

21万円以上~22万円未満:56万9206人

22万円以上~23万円未満:38万3582人

23万円以上~24万円未満:25万3529人

24万円以上~25万円未満:16万6281人

25万円以上~26万円未満:10万2291人

26万円以上~27万円未満:5万9766人

27万円以上~28万円未満:3万3463人

28万円以上~29万円未満:1万5793人

29万円以上~30万円未満:7351人

30万円以上~:1万2490人

単純に平均月額だけを比べると、国民年金だけを受け取る場合よりも手厚い年金額にはなりました。

ただし、上記の年金データからも分かるように、厚生年金の受給権者間の個人差は大きいです。現役時代の収入や年金加入期間などにより、老後の年金額は人それぞれ。さらに、毎月の年金からは、介護保険料や住民税などが天引きされる点も意外な盲点です。

9割のシニアが「介護費用は自分で払う」と回答

介護費用のまかない方に関するシニアの意識とは?

さて、ここからはシニアの「自分の介護費用」に関する意識をのぞいてみましょう。

内閣府が公表する「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では、65歳以上の男女の約9割が、将来排せつなどで介護が必要になったら、介護費用を自分の年金や貯蓄などの資産から出すつもりだと回答しています。

そこで、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」から70歳代世帯の金融資産保有額を見てみると……。

二人以上世帯:平均1906万円・中央値800万円

単身世帯:平均1433万円・中央値485万円

平均は二人以上世帯で1906万円、単身世帯で1433万円。一方、より実態に近い中央値は、二人以上世帯で800万円、単身世帯で485万円にまで下がります。

このお盆休みは「介護とお金のこと」親と話してみませんか?

冒頭でも「シニアの介護や医療にかかるお金は、何歳からどの程度必要となるかは見えにくい」とお話ししました。夫婦世帯であれば「二人で施設入所した場合」「一人が施設入所、一人が自宅介護」となるケースも想定しておく必要があるでしょう。

介護費用は、まずは「親自身の資産から」が基本。子ども世帯の資産を切り崩す、介護離職を選んで子ども自身の暮らしに影響が及ぶことは極力避けたいものです。

また、親が老後資金をしっかり蓄えているというケースでも、認知症で判断力が低下するとその資産を活用できなくなる可能性もあります。銀行などの代理人指名手続き(※)や、家族信託の活用を検討するのも、転ばぬ先の杖として有効と言えるでしょう。

来たる2025年には、団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となります。65歳以上の約5人に1人が認知症になるとも推計されている今。多くの子ども世代たちが、親の介護に向き合うことを余儀なくされるでしょう。

老いは避けることができません。また入院や要介護は突然やってくることもしばしば。

まずは、親が元気なうちに、定年退職や還暦などのタイミングで、介護やお金のことについて自然に話し合う機会を持てると良いですね。お盆の帰省などはよい機会になるかもしれません。

いつか来るかもしれない介護生活。少しでも健やかで穏やかなものとするために、「枯渇しない」介護資金計画が大切となるでしょう。

※金融機関によって呼び方はさまざまです。

参考資料

入院も退院も時間の余裕なし!夏場に増える「高齢者の入院・退院」に関する実態調査をLIFULL 介護が実施(PR TIMES)2024年8月2日(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000049958.html)

生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/)

内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf/2_3_3.pdf)

厚生労働省「我が国の人口について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html)

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