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SUMCOの18年営業利益は前年比2倍超、価格改定効果大きく

LIMO / 2018年11月13日 20時40分

SUMCOの18年営業利益は前年比2倍超、価格改定効果大きく

SUMCOの18年営業利益は前年比2倍超、価格改定効果大きく

競合各社の積極増産で19年は需給悪化リスク

 シリコンウエハー大手のSUMCOは、2018年(暦年)通年の営業利益が前年比2倍超の852億円(前年実績420億円)となる見通しだ。300mm口径を中心とするシリコンウエハーの価格改定(値戻し)が進み、大幅な増益を見込んでいる。

7~9月期売上高は地震影響で若干未達

 同社が先ごろ発表した18年度第3四半期(7~9月)業績は、売上高が834億円(前四半期比2%増/前年同期比25%増)、営業利益が231億円(同7%増/同103%増)となり、前四半期比、前年同期比ともに増収増益を達成した。

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 7~9月期の従来ガイダンス(売上高860億円、営業利益220億円)に対して、売上高は若干の未達となった。主に北海道胆振東部地震による千歳工場の被災が影響した。同工場は9月6日の地震によって操業停止を余儀なくされたが、同月27日から順次生産を再開している。

 18年1~9月の9カ月累計実績での営業利益は前年同期比2.2倍の642億円を達成。利益増減の要因において、「販売・生産関係他」で484億円の増益要因となっているが、このうち約9割が販売価格差によるもの。うち約3分の2が300mmウエハー、残りが200mm以下の小口径ウエハーの価格改定によるものだとしている。

生産量の約8割が長期契約

 需要動向について、300mmは堅調に推移しているという。価格も長期契約に基づき値戻しが達成できているとしており、18年末には16年末比で45%の価格改善となる見通し。ただ、足元では「一時のような過熱感はなくなった」(橋下眞幸会長兼CEO)状況で、急激な増量要求などは沈静化している。

 300mmは今後も堅実な需要が見込めるとして、19年以降も値戻しが進行する見通し。19年以降も長期契約を顧客と結んでおり、同社によれば18~20年の生産量のうち、約8割は長期契約顧客で占められているという。21年以降もおよそ3割がすでに長期契約を締結しており、中長期で顧客側での調達不安があることを強調した。

 ただ、一方で競合他社を中心に積極的な増産投資が行われており、業界全体で供給過剰に陥る懸念も指摘され始めている。18年も業界全体で300mmの生産能力が月70万枚程度増加しており、同社の予想を上回るペースで供給が増えている。

 これに対し、同社では22年まで年率6.5%のペースで300mm需要は増加すると予測。19~20年は需給がバランスするものの、21年以降は再び足りなくなるとしており、過度な供給過剰には陥らないとの見方を示した。

競合各社が積極増産

 業界内では依然としてシリコンウエハーの需給悪化を懸念する声も多い。18年でさえ、600万枚/月の需要に対して、供給能力全体では620万~630万枚に達しており、供給過剰といえないまでも、少なくとも供給不足という状況ではなくなった。

 SUMCOは17年に月11万枚分の増強投資(19年上期に生産寄与)をすでに発表しているが、競合他社も積極増産の姿勢を打ち出しており、国内競合の信越化学工業のほか、台湾グローバルウェーハズ(GWC)や韓国SKシルトロン、独シルトロニックなどが旺盛な投資意欲を持っている。

 SKシルトロンは従来の75万枚/月の生産能力を18年末までに100万枚にまで高めるほか、シルトロニックも7万枚の増強投資を実施中で、19年中ごろに生産が寄与してくる見通し。GWCは韓国で新工場の建設を決定。15万枚の生産能力を有し、19年7~9月期からサンプル出荷を開始、20年に量産を開始するなど、供給能力は今後も増加の一途を辿りそうだ。

「ウエハー需要はそれほど増えない」

 これに対し、需要面では東芝メモリのジョイントベンチャー(JV)パートナーであるウエスタンデジタル(WD)が四日市工場でのウエハー投入量のカットを発表するなど、メモリー需要の低迷を背景に、陰りが見える。

 また、需要動向を抜きに、現在の技術トレンドを考えればウエハー需要が伸びにくい側面もある。例えば、NANDを生産する東芝メモリ四日市工場を例に取ると、ここ数年で第5製造棟(Y5)、新第2製造棟(N-Y2)、第6製造棟(Y6)と立て続けにクリーンルームの新設を行っているにもかかわらず、四日市工場全体のウエハーキャパシティーは月産50万枚をピークに、ほとんど増えていない。むしろ若干減っているという状況だ。

 つまり、NANDの年間平均ビット成長40%を考えれば、ウエハー需要はそれほど増えないということが見えてくる。DRAMの場合は微細化投資サイクルの長期化などに伴い、ウエハー需要の拡大はある程度必要な可能性もあるが、年間平均ビット成長20%という低い水準を考えれば、大きな需要拡大にはつながらないと見るべきだろう。

 国内大手のSUMCOや信越化学は、最先端領域を事業の主軸としていることから、「最先端領域でシェアが低いアジア系企業の積極増産による需給悪化には巻き込まれない」といった見方も存在する。しかし、製品レベルである程度差別化できたとしても、需給悪化によって少なからず影響が出る可能性は高く、SUMCOらにとっても「無傷では済まない」といえるのではないか。

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