憧れの大企業に入社しても3年で辞める若者たち
LIMO / 2019年1月2日 13時0分
憧れの大企業に入社しても3年で辞める若者たち
「売り手市場」とはよく耳にしますが、大企業で内定を勝ち取るのはそれほど簡単なことではありません。そのような難関の憧れの大企業や有名企業に入社しても、すぐに離職してしまう現実があります。今回は、若者の離職率について厚生労働省の公開データをもとにみていきましょう。
新卒は3年で3割が辞めるは本当か
「新卒の3割が3年で辞めてしまう」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そうした話を聞くと、「本当かな?」と疑って聞いてしまう人もいるのではないでしょうか。それくらい短期間に、そして高い割合が離職しているという印象すら与えます。
厚生労働省は「新規学卒者の離職状況」の中で、離職率について把握するのに重要なデータを開示しています。
その中では、卒業年ごとに、「中学」、「高校」、「短大等」、「大学」別に、3年目までの離職者数と離職率を公開しています。
それでは、ここから3年目までのデータがある平成27年3月卒業をした就職者の3年目まで離職率を見ていきましょう。
中学卒:64.1%
高校卒:39.3%
短大等卒:41.5%
大学卒:31.8%
こうしてみると、学歴がより進むにしたがって3年目までの離職率は低くなるものの、大学まで進学しても3割を超えるものが3年以内に離職していることになります。
3年で3割が離職する傾向を振り返る
3年で3割が離職するというと、「いまどきの若者は我慢強くないから」というような声も聞こえてきそうですが、過去の傾向はどうであったのでしょうか。
実は、大卒者の離職率の傾向でいうと、大きく言えば低下傾向となっています。
過去を振り返ってみると、平成8年3月卒の大卒の離職率は33.6%と現在よりも高くなっています。それ以降のピークで見ると平成16年3月卒の36.6%を境に多少の凸凹はありますが、低下傾向にあります。
平成8年3月卒業以降でもっとも離職率が低かったのは、平成21年3月卒の28.8%となっています。こうしてみると、むしろ今どきの若者ほど離職はしにくくなはっています。
大卒の3年目までの離職の傾向
では、3年目まではどのようなペースで離職していくのでしょうか。
ざっくりといえば、年間10%ずつが3年続き、3年で30%という割合です。
大企業に入社しても、同期が少しずつ離職していくシーンを目の当たりにした方もいるのではないでしょうか。
それぞれ理由はありますが、厳しい就職活動を勝ち残り、憧れの企業に入社しても3年以内に退職してしまう現実があります。
雇用環境の変化とどう向かい合うか
若者の離職率がこうした数字になるのも「雇用のミスマッチ」という言葉で済ませてしまうのは簡単です。しかし、そのミスマッチにはそれぞれのドラマや葛藤があるというのもまた事実です。
今後は少子化により、若い働き手が減少していく中で、その労働力は貴重な存在です。その中で採用活動の変化は当然あるでしょうし、大学生のみならず新卒者の仕事の探し方も変わってくるのではないでしょうか。
これまで若い働き手を前提にビジネスモデルを組み立ててきた産業は労働者をいかに確保するかに頭を悩ませています。また、大学生でもスキルを持ち合わせているエンジニアなどは就業機会も多く引く手あまたです。働き方の改革は政府に主導されるまでもなく、すでに起きていることかもしれません。
参考にした資料
厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html)
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