ナスダック急騰・ドル急落。逆CPIショック!日本株「押し目買い」判断変わらず
トウシル / 2022年11月14日 7時45分
ナスダック急騰・ドル急落。逆CPIショック!日本株「押し目買い」判断変わらず
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「逆CPIショック!ナスダック急騰、ドル急落 日本株「押し目買い」判断変わらず」
逆CPIショックでナスダック急騰
先週(11月7~11日)の日経平均株価は1週間で1,063円上昇して2万8,263円となりました。
先週発表された10月の米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)が7.7%と、9月の8.2%から0.5ポイント低下したことが好感されて、米国株が急騰した流れを受けて日経平均も急騰しました。日本株にも外国人と見られる買いが増えました。
最近の日経平均は、米国株の乱高下に追随して上昇下落を繰り返しています。米国株は以下の表でわかるとおり、過去3週間、週ごとに急騰→急落→急騰を繰り返しています。
過去3週間の日米主要株価指数の騰落率
【1】10月24~28日の週、米国株が急騰した理由
10月21日の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「FRB(米連邦準備制度理事会)が12月以降利上げのペースを緩めることを検討し始めている」という報道が出てから、早期に利上げが停止になる期待が出て、米国株が急反発しました。
この週は、業績堅調なNYダウ(ダウ工業株30種平均)の上昇率が+5.7%と大きくなりました。一方、グーグル(アルファベット)、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、マイクロソフトなど大手ハイテク株の業績が不振だったため、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数(ナスダック)の上昇率は+2.2%とNYダウよりも上昇率が低くなりました。
【2】10月31日~11月4日の週、米国株が急落した理由
11月2日にFRBは0.75%の大幅利上げを実施すると、米国株は急落しました。利上げ自体はFRBが事前に示唆していたとおりでサプライズ(驚き)はありませんでしたが、記者会見でのパウエルFRB議長の発言が嫌気されました。
インフレは予想以上に高止まりしていて、「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」と話したことが、来年には利上げ停止が視野に入ると期待していた株式市場にとってネガティブ・サプライズとなりました。
【3】先週(11月7~11日の週)、米国株が急騰した理由
11月10日に米労働省が公表した10月のCPI(消費者物価指数)がポジティブ・サプライズとなり、米国株が10~11日に急騰しました。
CPI総合指数の前年比上昇率が7.7%と、9月の8.2%から低下したことが、好感されました。今後インフレ低下が加速し、来年にかけて米利上げ停止が視野に入るとの期待が出て、米国株が急騰しました。
昨年来、米CPIが発表される都度、株式市場に「ショック安」が起こっていました。予想以上に米インフレが高止まっていることが嫌気されました。
今回、昨年来で初めて、「逆CPIショック」となりました。CPIが予想以上に低下していることが好感されて、米国株が急騰しました。
ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年11月11日
米10月インフレは7.7%に低下
以下の通り、10月の米インフレ率は7.7%に低下しました。
米インフレ率(CPI前年比上昇率)推移:2020年1月~2022年10月
7.7%はまだ、とんでもなく高いインフレ率ですが、低下トレンドがはっきりしてきたことが株式市場で好感されました。
CPIはインフレの遅行指標(遅れて上がり、遅れて下がる指標)だからです。インフレの先行指標である、原油市況や海運市況が大きく下がっていることから、今後は、CPIの低下も加速すると考えられます。
WTI原油先物(期末)推移:2021年1月4日~2022年11月11日
米景気は、急速に減速しているものの、まだしぶとく堅調です。雇用は強い状態が継続しています。10月の完全失業率は3.7%と実質完全雇用、労働者不足が続いています。
「米景気が堅調なうちに、インフレの低下トレンドがはっきりしてきて、米利上げ停止が視野に入る」という、株式市場にとって都合の良い「ソフトランディング」への期待が、先週は高まりました。
逆CPIショックでドル急落
逆CPIショックで、FRBの利上げが早めに終了する期待が出たことから米国株が急上昇する一方、為替市場では、ドルが急落しました。
ドル/円では、CPI発表後の11日に1日で7円の円高が進み、一時1ドル138円台をつけました。日米金利差は依然大きく開いているものの、さらに拡大していく見通しが低下したことが影響しました。
ドル/円為替レートの動き:2022年7月1日~11月11日
日本株「押し目買い」方針継続
日本株への投資方針は、毎週述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
ただし、短期には急落急騰を繰り返す可能性があるので、リスク管理が大切です。押し目で割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
昨年10月以降、米国株が急落する中で、日本株は相対的に下落率が少なく済んでいます。
私は、日本株が米国株よりも相対的に堅調な状況が、年内続くと考えています。円安とリオープン(経済再開)が日本株に追い風です。
新型コロナウイルスからの回復が遅かった日本経済が、欧米よりも遅れて「コロナからの回復」を迎えることが、日本株に追い風です。全国旅行支援、外国人観光客の受け入れ拡大が、内需回復に寄与すると考えられます。
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