気がつくと「円高」。11月最終日、今夜ドル/円が動く材料とは?
トウシル / 2022年11月30日 9時59分
気がつくと「円高」。11月最終日、今夜ドル/円が動く材料とは?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは140.70円
↓下値メドは136.58円
外貨準備:ユーロの地位急落。世界の外貨準備に占める割合が20%以下に縮小
外貨準備:ドルとユーロ割合、10年前の90%から79%に縮小。差を埋めるのは人民元
中国:中国の不動産市場、中国GDPの1/4占める。
中国:不動産部門の負債7.8兆ドル相当。中国のGDP1/2、ドイツGDPの2倍に相当
ブラックフライデー:オンライン売上高は過去最高の91億2,000万ドル(約1兆2700億円)
ブラックフライデー:売上の半分がスマホ経由。後払い決済(BNPL)激増はインフレも理由
雇用統計:求人数がこれまでの約2倍から1.5倍近くまで低下。数年後の成長鈍化の兆候
日銀:政策変更、早くて1年後か
金価格:暗号資産の崩落で、金、銀が買われる
米中間選挙:民主党健闘はやや「リスクオフ」
FRB:カンザスシティ連銀ジョージ総裁、来年1月に引退
米中対立:米、中国製太陽光発電部品1000件超を輸入差し止め。ウイグル人権問題巡り
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は今夜(日本時間明日未明)、「米経済見通しと雇用市場」というタイトルでスピーチを行う。12月FOMC前の最後の発言であり、また雇用統計直前でもあるので、マーケットを動かす材料になりそうだ。
12月の利上げは0.50%に「減速する」というのがマーケットのコンセンサスになっている。パウエル議長がそれを認めるのか、それとも0.75%のリスクが再浮上するのか。インフレ見通しに楽観的なマーケットと慎重なFRBに挟まれて方向感を出せずにいるドル円も注目している。
その他にも今夜は、米GDP(国内総生産:改定値)や欧州の消費者物価指数など、多くの経済データが発表される。発表予定にちぃては今週の注目経済指標をご覧ください。
11月29日(火曜)のドル/円は「円高」。
1日のレンジは137.86円から139.35円。値幅は1.49円。
2022年237営業日目は138.92円からスタート。先週発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の11月会合の議事録では「引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断した」と記されていた。CPI(消費者物価指数)も下落する予想が増えるなかで、FRB利上げに対する警戒感が薄れ、9ヵ月間続いてきたドル高もそろそろ終了とのムードが漂いはじめている。
高値は東京時間昼前につけた139.35円まで。前日28日の高値(139.60円)に届かないまま売りが優勢になり、夜の初め頃には138円を下に抜けると、137.86円まで下落した。
その後はやや戻して終値は138.68円(前日比▲ 0.22円)。
レジスタンスは、
139.35円(11/29)
139.80円(200時間移動平均)
139.42円(11/28)
サポートは、
137.86円(11/29)
137.49円(11/28)
136.19円(08/26)
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
「怯えたお金」とは、トレードでつかうべきではない金である
Heart of the Moment
今週金曜日は米国の雇用統計の発表がある。
雇用統計は、金融引き締めを行うFRBと密接な関係がある。
特に今回は12月FOMC直前ということもあってマーケットの注目度は高い。
ところで、パウエルFRB議長は雇用を増やしたいのか、それとも減らしたいのだろうか?
株式市場は、なぜ雇用市場が弱くなってほしいと思っているのか。
雇用統計は、インフレの問題と複雑に絡み合って、これまでように「強い雇用統計は、良いことだ」という単純な公式に当てはまらなくなっている。
世界の中央銀行にとって、高インフレ率が最大の問題だ。中央銀行はインフレ率を引き下げるために何をしているのか。インフレ率の抑制には賃金コストを引き下げる政策が適切だと、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)は考える。しかし、実質所得(名目所得を物価の変動を考慮して調整された所得)が著しくマイナスになっている状況では、このような政策は理解を得られない。
そのため、需要を抑制することによって、企業の価格決定力と利益率を弱めることを中央銀行は考える。中央銀行は、原油価格や食料品価格の上昇を直接コントロールすることはできない。日銀は油田を持っていないし、日銀職員が小麦の栽培をしているわけでもない。中央銀行にできることは、需要を後退させることだけだ。
一方、日銀は、日本のインフレ率を下げるのではなく、さらに高くしたいと考えている。インフレ率を安定的に上昇させるためには、賃金上昇が不可欠だが、日本の実質所得は他国以上にマイナスが続いている。給料が上がらない、上がっても物価上昇に全く追いついていないのが現実だ。この状況が近い将来改善される見込みは全くない。
日本の家庭が、生活防衛として無駄な出費を抑え、質素な生活を心がけるなかで、企業の価格決定権は弱いままで、いつまでたっても値上げできなかった。
そこで日銀は、大量緩和政策で円安を持続させることで物価高をつくり、国民の意識にインフレ期待を形成してやろうと考えた。物価上昇が続くことが当たり前だという考え(期待)を消費者のマインドに浸透させることで、企業に値上げをしやすくさせるのだ。
日銀は需要インフレを起こすことができなかったが、円安を利用して輸入インフレを発生させることに成功した。日銀が目的を達成するためには「サステナブルな円安」がどうしても必要なのである。海外の中央銀行はインフレ期待を繋ぎ止めて物価上昇に歯止めをかけようとしている。日銀はその逆で、日本人のインフレ期待を解き放ち物価を上昇させようとしている。
今週の 注目経済指標
今日の注目通貨:豪ドル/円
予想レンジ ↑96.96円 ↓91.06円
今週の豪ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は、94.01円。
94.01円より上ならば豪ドル買いが優勢、94.01円より下ならば豪ドル売りが優勢。
2022年の高値は98.67円、安値は80.37円。平均値は89.52円。
1日の最大値幅は3.01円、平均値幅は1.20円。
2022年の値幅は18.30円。
2021年の終値(83.70円)に比べて9.93円の豪ドル高。
98.67円 : 2022年 高値
98.09円 : 第4レジスタンス(HBO)
96.96円 : 第3レジスタンス
95.83円 : 第2レジスタンス
95.74円 : 10月 高値
95.56円 : 11月 高値
95.49円 : 第1レジスタンス
94.01円 : ピボット
92.54円 : 第1サポート
92.19円 : 第2サポート
92.14円 : 11月 安値
91.06円 : 第3サポート
89.93円 : 第4サポート(LBO)
90.84円 : 10月 安値
2022年 豪ドル/円データ
(荒地 潤)
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