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日経平均、今週は青天井の上昇か急落かの分岐点?米CPI、FOMC、日銀会合に注目!

トウシル / 2023年6月12日 13時25分

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日経平均、今週は青天井の上昇か急落かの分岐点?米CPI、FOMC、日銀会合に注目!

「このまま、日経平均株価(225種)が1989年12月29日につけた史上最高値3万8,915円を越えるのではないか?」と思うほどの強さが続く日本株ですが、先週は乱高下に見舞われました。

 その原因は、6月9日(金)に期限を迎えた先物・オプション取引の清算、「メジャーSQ(特別清算指数)」に向けたポジション調整の影響でした。

「メジャーSQ」は株価指数先物とオプションそれぞれの清算日が3カ月に1度重なる日で、その前後には売買が膨らみ、株価が乱高下しやすくなる傾向にあります。

 先週はまさにその通りの展開になりました。

 日経平均株価は6日(火)の終値が3万2,506円と再び33年ぶりのバブル経済崩壊後最高値を更新しましたが、SQが迫った7日(水)、8日(木)に急落。

 1週間の高値と安値の値幅が1,288円に達するほど乱高下しました。

 しかし、9日(金)の日経平均の始値で計算される6月限(ぎり)のSQ算出値が3万2,018円で確定したあと、9日の終値は前日比623円高の3万2,265円まで一気に上昇。

 投資家の間に日本株に対する根強い先高観があることを証明しました。

 今週12日(月)~16日(金)も基本的には上昇含みの展開が予想され、日経平均の3万3,000円台乗せが意外に早く達成されるかもしれません。

 週明け12日の東京株式市場の日経平均株価は続伸して始まり、一時3万2,500円を上回りました。終値は前週末比168円高の3万2,434円でした。メジャーSQを無事通過後の買い安心感が続き、前週末の米国株の堅調も株価上昇を支えました。

 ただ、今週は、相場急変動につながりかねない経済イベントが満載。

 13日(火)に米国の5月CPI(消費者物価指数)、14日(水)には米国のFOMC(連邦公開市場委員会)の政策金利の発表が控え、15日(木)にはユーロ圏の政策金利を決めるECB(欧州中央銀行)の理事会、そして日本でも15日(木)、16日(金)に日本銀行の金融政策決定会合が開かれます。

 その動向次第では、33年ぶりの高値圏にある日本株が急落する事態も考えられます。

先週:五大商社株をけん引役に循環物色続く日本株。米国株には危ない兆候も?

 先週の日本株は、三井物産(8031)の株価が9日、前週末比10.1%も上昇するなど、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が保有する五大商社株が全て上場来高値を更新。商社株の属する卸売業がセクター別の値上がり率トップになって、強気相場をけん引しました。

 6日(火)、政府が次世代燃料として注目される水素の普及に向けて、今後15年間で官民合わせて総額15兆円の投資を行う基本戦略を打ち出すと、水素関連株が人気化。

 水素ステーションを運営する燃料商社の岩谷産業(8088)は9日、前週末比12.7%も上昇するなど、テーマ性の高い銘柄への物色にも火がつき、上昇相場特有の循環物色が続いています。

 8日(木)発表の2023年1-3月期実質GDP(国内総生産)の改定値が、好調な個人消費と企業の設備投資の上振れで、速報値の前期比年率換算1.6%増から2.7%の伸びに大幅上方修正されたのも追い風でした。

 一方、海外の経済指標・イベントは今後の世界経済の先行きに不安を感じさせるものが多数ありました。

 5日(月)発表の米国ISM(全米供給管理協会)の5月非製造業景況指数は予想を大幅に下回る50.3まで急低下。

 好不況の境目となる50ぎりぎりの水準まで鈍化し、米国経済をけん引してきたサービス業の景況感が急速に冷え込んでいることが明らかになりました。

 8日(木)発表の米国の新規失業保険申請件数は、前週比2万8,000件増の26万1,000件と、前週からの増加幅が2021年7月以来の大きさとなり、堅調だった米国の雇用に暗雲が漂い始めました。

 7日(水)にはカナダの中央銀行にあたるBOC(カナダ中央銀行)がインフレの高止まりを阻止するため、3会合ぶりに0.25%の利上げを再開。

 前日6日には、利上げ休止の予想が大勢を占めていたオーストラリアの中央銀行にあたるRBA(オーストラリア準備銀行)も0.25%のサプライズ利上げを決めています。

 特にカナダの利上げによって、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)も、たとえ6月はいったん利上げを休止しても、7月以降、利上げ再開を強いられるという思惑が台頭し、7日の米国株は急落しました。

 このように景気鈍化やしつこいインフレとそれにともなう他国の利上げといった悪材料もある中、機関投資家が運用指針にしているS&P500種指数は前週比0.39%高と4週連続の上昇。

 2022年10月の安値から20%超上昇し、強気相場入りのシグナルが点灯しました。

 ハイテク株が集まるナスダック総合指数も前週比0.14%高と7週連続で上昇。

 悪材料には目をつぶり、景気のソフトランディング(軟着陸)やFRBの利上げ休止に対する期待感だけで値上がりする傾向が顕著でした。

 3月以降の米国地銀の相次ぐ破たんなど、高金利が継続することによる金融不安を抱える中、ある意味、能天気に上昇し続ける米国株の状況には危うさも漂っています。

今週:イベントてんこ盛り!米5月CPIとFOMCに注意!日銀会合で急騰?

 今週は株価の方向性を左右するビッグイベント目白押しの1週間になります。

 13日(火)には米国の5月CPIが発表。

 前回、4月CPIは前年同月比4.9%の伸びまで鈍化しましたが、変動の激しい食品、エネルギーを除くコアCPIは5.5%上昇と高止まりしたままでした。

 5月CPIは前年同月比4.1%増、コアCPIも5.2%増まで鈍化する予想ですが、予想を上回って物価が高止まりするようなら、株価にとってネガティブです。

 13日からは米国の政策金利を決めるFOMCも始まり、翌14日(水)のFOMC終了後、利上げ見送りが発表される予想です。

 もし、大方の予想を裏切る0.25%の利上げが発表された場合、ネガティブサプライズで株価の急落が見込まれます。

 今回のFOMCでは、参加した理事らが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」も公表されます。

 ドットチャートに記載された2023年末の予想金利水準の中央値が、前回3月の5.125%から引き上げられた場合、株価急落につながるかもしれません。

 一方、5月CPIが予想以上に鈍化し、FOMCで利上げもなく、利上げ再開についての言及もない場合、強気相場入りした米国株がさらに上値を試す展開も十分に考えられます。

 米国FOMCに続いて、日本では15日(木)~16日(金)に植田和男新総裁のもとで2度目となる日銀の金融政策決定会合も開催されます。

 こちらはすでに海外メディアなどが、量的緩和の継続を決定するだろうと報じるなど、従来の政策に大きな変更はないようです。

 先週7日(水)の衆議院財務金融委員会で、植田総裁は日銀が株価買い支え政策の結果、保有している約37兆円(購入価格ベース)のETF(上場投資信託)について、含み益が約16兆円に膨らんでいるものの「処分の具体的方法に言及するのはまだ早い」と発言。

 日本株の下落要因になりかねない保有ETFの売却については考えておらず、金融緩和を粘り強く続けていく姿勢を鮮明にしています。

 そう考えると、米国CPIやFOMCで大きなネガティブなサプライズがない限り、16日の日銀の金融政策決定会合後、日本株はさらに大きく上昇する可能性が高いといえるかもしれません。

 また、2023年の通常国会の会期終了が6月21日(水)に迫り、岸田政権がそのタイミングで解散総選挙に打って出るのではないかという観測も流れています。

 現実的には、岸田文雄首相の秘書官を務めていた長男が不祥事によって更迭され、東京の選挙区において公明党との選挙協力が決裂するなど、不安要素も多いため、解散総選挙が近々行われる可能性は低そうです。

 しかし、解散総選挙によって岸田政権の基盤が盤石になることは株価にとって非常にポジティブ。

 そのため、解散選挙の思惑が台頭するだけでも、株価にとって追い風でしょう。

 これまで株価上昇をけん引してきた外国人投資家は5月第5週(5月29日~6月2日)に日本の現物株(東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計)を5,352億円買い越し。外国人投資家が10週連続で買い越したのは2013年以来約9年ぶりで、そろそろ利益確定の売りが出てもおかしくはありません。

 特に先物、オプション取引のメジャーSQ終了後は相場が急転換することも多いので、ここまで急ピッチに上昇してきた日本株がいったん大きく下げる恐れもあります。

 絶好調・日本株が曲がり角を迎えるか、7月、8月のサマーラリー(夏場の株価上昇)に向けて、まだまだ青天井で上がり続けるか。

 今週1週間は日本株の方向性を決める、非常に重要な分岐点になりそうです。

(トウシル編集チーム)

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