日経平均は10週連続の上昇。2024年世界景気回復を織り込む動き?
トウシル / 2023年6月19日 7時45分
日経平均は10週連続の上昇。2024年世界景気回復を織り込む動き?
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均は10週連続の上昇。2024年世界景気回復を織り込む動き?」
日経平均は10週連続の上昇、33年ぶりの高値更新
先週(6月12~16日)の日経平均株価は、6月9日(金)の終値3万2,265円と比較して、1週間で1,441円上昇、16日(金)の終値は3万3,706円と10週連続の上昇となり、33年ぶりの高値更新が続いています。先週の二つの重大イベントを無事通過したことで、上昇に弾みがつきました。
二つのイベントと言っているのは、13~14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)と、15~16日の日銀金融政策決定会合です。
【1】FOMC:利上げなし。年内2回の追加利上げ示唆あったが「利上げ停止近い」というコンセンサス変わらず
6月14日にFOMC結果が発表されました。事前予想通り、利上げは行われませんでした。ただし、7月以降、年内に2回追加利上げの示唆がありました。
FOMCメンバーのFF金利予測(中央値)では、年末まであと0.25%の利上げが2回実施されることとなっています。これを嫌気して、一時米国株は大きく下がりました。
ただし、その後も、米利上げ停止が近いという市場の見方は変わらず、米国株は買い戻されました。不透明要因は残りますが、FOMCは波乱なく通過しました。
【2】日銀金融政策決定会合:大規模金融緩和を継続
6月16日昼、日銀金融政策決定会合の結果が発表されました。事前予想通り、政策変更なし、大規模金融緩和を継続する内容でした。
日本のインフレ率が高くなってきているので、いずれ長期(10年)金利の上限を0.5%としている「イールド・カーブ・コントロール」政策は撤廃せざるを得なくなるという懸念が市場にあります。今回、長期金利引き上げがなかったことに安堵(あんど)が広がり、16日午後に日経平均が上昇しました。
日経平均の急激な上昇をけん引しているのは、外国人投資家の大量買いです。4月以降、6月9日までで外国人は日本株を約8兆3,000億円も買い越しています(株式現物と日経平均先物・TOPIX先物の合計)。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2023年6月16日(外国人売買動向は2023年6月9日まで)
2024年世界景気回復を織り込む動きか
6月に入り、世界的に景気敏感株が買われ始めています。例えば、半導体関連株がそうで、半導体不況にもかかわらず急騰しています。来年に半導体ブームが復活することを織り込む動きと判断しています。データセンターやAI(人工知能)開発向けに半導体需要の拡大が続く見込みであり、来年にはブーム復活が予想されます。
楽天証券経済研究所では、2023年に米景気を中心に世界景気は減速しますが、2024年には回復に向かうと予想しています。株は、景気循環を半年から1年先取りして動く傾向があります。今の日経平均の上昇は、2024年の世界景気回復を先に織り込む動きと考えています。
ここで、1999年以降の、日本の景気循環と日経平均の動きを振り返ります。
日経平均と景気循環:1999年1月~2023年6月(16日まで)
内閣府による景気後退期の判断:2000~2020年
【1】2000年11月~2002年1月:ITバブル崩壊不況
日経平均は、不況入りする2000年11月よりも7カ月前の2000年4月にピークアウトして、下落していました。2002年1月に景気後退は終了しましたが、日本は金融危機が継続していました。そのため、景気回復期に入っても日経平均下落が続きました。
【2】2004年6~12月:景気停滞
景気後退ぎりぎりまで景気が減速しましたが、ぎりぎり後退期入りを回避して、2005年以降、回復が続きました。政府は2004年を、「景気の踊り場」と呼び、2005年に「踊り場脱出宣言」を出しました。私は、2004年は短期景気後退期だったと認定すべきと考えています。
【3】2008年2月~2009年3月:リーマンショック
日本の景気は、2008年2月にピークアウトしていますが、日経平均は、それより8カ月も早い2007年6月にピークアウトしています。
【4】2012年3月~2012年11月:円高不況
民主党政権下で、円高などを原因として、景気後退期となりました。自由民主党の安倍晋三政権がスタートしてから、景気回復期に入り、株価も上昇に転じました。
【5】2014年4~9月:消費税引き上げ後の景気停滞
日経平均は3カ月前から下落を始めました。景気後退期入りすることなく、持ち直しました。
【6】2015年10月~2016年3月:チャイナショック、世界的な景気停滞
世界的な景気停滞で、日本の景気も後退ぎりぎりまで悪化しましたが、2016年後半に持ち直しました。
【7】2018年10月~2020年5月:貿易戦争・コロナショック不況
2018年10月から、米中貿易戦争などを原因として、世界的に製造業の景況が悪化し、日本は景気後退期に入りました。景気後退期入りとほぼ同時に、日経平均は下落を始めました。2020年にはコロナショックが追い打ちをかけ、景気がさらに落ち込みましたが、2020年5月から急回復に向かいました。日経平均は3月に底打ちして急上昇を始めていました。
2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ
今の株価上昇の背景に、2024年にかけての世界景気回復期待があると私は見ています。ただし、それを経済指標で確認できるようになるのは、かなり先です。経験則では、株価は景気循環を半年から1年先取りして動くからです。
株価が転換点を迎える時、ファンダメンタルズ分析だけでなくテクニカル分析も駆使して、マーケットの流れについていく必要があります。
そこで、今日は最後に、テクニカル分析を書籍で勉強したい方に、私が2021年12月にダイヤモンド社から出版した「株トレ」をご紹介します。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」
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(窪田 真之)
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