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米利上げ・日銀も実質利上げ。米景気ソフトランディング期待高まり、米・日株とも上昇

トウシル / 2023年7月31日 7時45分

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米利上げ・日銀も実質利上げ。米景気ソフトランディング期待高まり、米・日株とも上昇

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
米利上げ、日銀も実質利上げ。米ソフトランディング期待高まり、株高

日経平均・NYダウ、日米利上げこなして上昇

 先週(7月24~28日)の日経平均株価は1週間で454円上昇して3万2,759円となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)が26日に0.25%の追加利上げを発表したものの、米景気ソフトランディング期待が高まり、米国株・日本株とも上昇しました。NYダウ(ダウ工業株30種平均)は、7月26日まで13連騰と、36年ぶりの連騰記録を達成しました。

 28日に日本銀行金融政策決定会合の結果が発表されました。これまで長期(10年)金利の上限を0.5%としてきましたが、事実上1%まで上限を引き上げました。

 先週は、米・日とも金融を引き締めたことは、米国株・日本株にネガティブですが、それ以上に、米景気ソフトランディング期待が高まり、景気に強気の見方が広がったことが、株にプラスに働きました。

日経平均・NYダウ推移比較:2021年末~2023年7月28日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

26日米利上げ、ソフトランディング期待高めたパウエル発言

 FRBは26日(日本時間27日午前3時)、0.25%の利上げを発表しました。事前に示唆していた通りだったので、サプライズはありませんでしたが、今回の利上げで米国の長短金利の逆ザヤ(10年金利とFF金利誘導水準の中央値)は、1.5%まで拡大しました。

米10年・2年金利とFF金利の日次推移:2021年1月4日~2023年7月28日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米国景気には、長短金利が逆転してから半年~1年くらい後にリセッション(景気後退期)入りするという経験則があります。ただし、それはあくまでも経験則で、そうならないこともあります。

米FF金利、長期金利、NYダウ月次推移:2021年1月~2023年7月(28日)

出所:QUICK、ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 

 今回、米景気は減速してきているものの雇用は強いままです。来年にかけてAI(人工知能)や半導体への投資が盛り上がり、米景気が持ち直すとの期待もあります。長短金利は逆転しているものの、これまでの経験則は当てはまらず、米景気はソフトランディングするという楽観が広がっています。

 パウエル議長は利上げ後の記者会見で、「FRBスタッフはもはや景気後退を予想していない」と発言しました。この発言が、株式市場に安堵(あんど)を与えました。

 また、27日に米商務省が発表した4-6月の米GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率で2.4%増でした。市場予想を上回る成長で、米景気に対する強気の見方を裏付けた形となりました。

日銀はステルス利上げ?

 日銀が28日に発表した金融政策の変更は、極めてわかりにくい内容でした。以下の内容です。

【1】長期金利の上限は0.5%程度をメドに一定の上昇を容認
【2】10年物国債の指し値オペの利回りを1.0%に引き上げ
【3】2023年度の物価見通しを+2.5%に引き上げ(前回予想は1.6%)

 日銀は、これまで、ステルス・テーパリング(金融引き締めの意図を隠しながら引き締めていくこと)が得意でした。年80兆円、国債保有残高を増やす目標は、80兆円をメドと、「メド」をつけたあと、なし崩し的に減らしていきました。

 今回、長期金利上限を0.5%程度をメドとしましたが、1%までの金利上昇余地をつくったことから、事実上の利上げととることができます。日銀の発表を受けて28日、長期金利は0.5452%まで上昇し、0.5%を超えました。

日本の長期(10年)金利推移:2022年8月1日~2023年7月28日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 日本の総合インフレ率が3.3%、コアコア・インフレ率が4.2%まで上昇している現状をみると、いつまでも長期金利を0.5%以下に抑え込むのは不可能と考えられます。日銀は、マーケットに明確な意図を知らせずに、事実上の利上げに踏み切ったとみています。

日本のインフレ率(CPI総合・コアコア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2023年6月

出所:総務省より作成

 総合インフレ率で比較すると、以下の通り、6月は日本が米国を上回っています。

日米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)の推移:2020年1月~2023年6月

出所:総務省および米労働省より作成

 長期の日本株の見方は変わりません。米景気がハードランディングにならない限り、日本株の上昇トレンドが続くと予想しています。日本株を時間分散しながら、少しずつ買い増ししていくことが、中長期の資産形成に貢献するという考えは変わりません。

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(窪田 真之)

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