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JT、NTT、JR東海、東電HDで、配当利回りも営業利益率も高い株はどれ?

トウシル / 2023年12月30日 8時0分

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JT、NTT、JR東海、東電HDで、配当利回りも営業利益率も高い株はどれ?

 「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第10回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ:JT、NTT、JR東海、東電HDで、配当利回りも営業利益率も高い株はどれ?

<クイズ>JT(日本たばこ産業)(2914)NTT(9432)JR東海(9022)東京電力ホールディングス(HD)(9501)の4社の売上高と営業利益率(今期予想の売上高を100とした際に、売上高に対する営業利益の比率)と、予想配当利回りを以下の表に会社名を隠してA~D社として示しました。

 A社、B社、C社、D社はそれぞれ、JT(2023年12月期)、NTT(2024年3月期)、JR東海(2024年3月期)、東京電力HD(2024年3月期)のうちのどれでしょうか?

出所:営業利益はQUICKコンセンサス予想、売上高を100とした比率で表示。配当利回りは、今期1株当たり配当金(会社予想)を12月26日株価で割って算出

新NISA「成長投資枠」で、高配当利回り株投資

 2024年1月から新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が始まります。新NISAの「成長投資枠」(年間120万円)では、個別株にも投資ができます。日経平均株価(225種)やS&P500種指数(米国株を代表する株価指数)に連動するように運用されているインデックスファンドに投資するのも良いですが、個別株投資にチャレンジしてみても良いと思います。

「成長投資枠」というと、成長株に投資しなければならないと勘違いするかもしれません。そんなことはありません。高配当利回り株に長期投資するのも良い戦略です。

 ところで、高配当利回り株を選ぶ時に、注意すべきことは何でしょう?

 それは予想配当利回りの高さだけで選ばないことです。

 なぜなら、株の予想配当利回りはあくまで予想であって、確定利回りではないからです。企業が業績悪化から配当金を減らす減配をして、株価が下落することもあり得ます。そうならないように、なるべく減配リスクが低い銘柄を選ぶことが大切です。

 予想配当利回りが高すぎる(6%以上)銘柄には、減配リスクが高いものが多いので注意しましょう。減配リスクが低く、配当利回りがそこそこ魅力的な銘柄は、予想配当利回り2.5~5%くらいに多いと言えます。

 それでは、減配リスクの低い銘柄を選ぶには、何に気を付けたら良いか、二つポイントを挙げます。

【1】時価総額1兆円以上:時価総額が大きい銘柄ほど、減配リスクは低い。
【2】営業利益率10%以上:営業利益率が安定的に高い銘柄は、減配リスクが低い。 

 ここでクイズに出したA社、B社、C社、D社をもう一度見てください。営業利益率が10%以上で予想配当利回りが高めの銘柄には、B社とC社が該当します。この2社は、高配当利回り株として長期投資する候補に入れて良いと思います。

クイズの正解:高配当狙いで長期投資するなら、JTとNTTが候補

 正解は以下の通りです。

出所:予想配当利回りは、今期1株当たり配当金(DPS)(会社予想)を12月26日株価で割って算出。JR東海はDPS28円(株式分割を勘案した修正値)、株価3,549円。JTはDPS188円、株価3,727円。NTTはDPS5円、株価170.8円。東京電力HDはDPS0円(無配)、株価733.1円。今期とは、JTは2023年12月期、他は2024年3月期

 JTとNTTは、営業利益率も配当利回りも高い銘柄として、新NISA「成長投資枠」で投資する価値があると判断しています。

 ところで、JTの予想配当利回りは5%、NTTは2.9%と聞くと、「JTだけ買っておけばNTTは要らない」と思う人がいるかもしれません。そのように考えるべきではありません。JTは配当利回りが高い分、将来の減配リスクはNTTより高いからです。

 一方、NTTの配当利回りは2.9%と、JTよりは低いものの、逆にそれだけ将来の減配リスクは低いと言えます。結論として、両方に分散投資するのが良いと考えます。楽天証券の「かぶミニ」(単元未満株取引)を使えば、どちらも1株から買うことができます。

 以下、4社について簡単にコメントします。

【1】A社:JR東海

 JR東海は、新幹線事業の構成比が高いため、営業利益率が32%と極めて高いです。新幹線は、利益率が高いことに加え、成長性も見込める有望事業です。ただし、JR東海は配当利回りが低いので、高配当利回り株としての投資対象にはなりません。

 JR東海への投資を考える場合、注意が必要なのは、リニア中央新幹線の工事が静岡県でストップしていることです。

 リニア中央新幹線の開業時期について、JR東海は当初、品川ー名古屋が2027年、大阪までつながるのが2045年と計画していました。その後、大阪までの開業は財政投融資活用によって「早ければ2037年」と前倒ししました。

 ところが、JR東海は今月、名古屋までの開業は2027年では間に合わないと判断し、「2027年以降」に変更し、国土交通省の認可を受けました。

 大阪までつながれば、東海道新幹線の補完だけでなく航空の代替需要が盛り上がる期待もあります。さらに実績を積めば将来、リニア新幹線事業の海外展開も考えられます。その実現がどんどん遅れていくことは、事業全体にとって大きなダメージとなります。

【参考レポート】3分でわかる!今日の投資戦略2023年8月16日「株主優待で人気のJR4社、JR東日本の投資価値がもっとも高いと判断する理由」

【2】B社:JT

 JTは、配当利回りが5%と高く、かつ利益率が高いので、高配当利回りの長期投資候補として有望です。ただし、二つ不安材料があります。それは、ロシア事業の先行きと、加熱式タバコのシェア争いです。

 ロシア経済と日米欧経済の分断が深まる中で、ロシア事業から撤退を余儀なくされる場合には、JTに大きな減損損失が発生して、減配になるリスクもあります。また、加熱式タバコで、米フィリップモリスの「アイコス」に競り負けていることも不安材料です。

 日本国内で喫煙者数が減り続けていることもリスク要因ですが、値上げによって利益を確保していけると考えられるので、喫煙者の減少自体は重大なリスクとは考えていません。

【3】C社:NTT

 NTTは、日本の通信インフラ(短距離通信網)を支配しているので、ビジネスの安全性は高いです。世界中のどんな企業も日本でインターネット事業を展開するためにはNTTの通信網を借りる必要があります。ただし、NTTは安価に通信網を開放する義務があるので、そこで大もうけはできません。

 NTTには、NTTドコモやNTTデータなどの高収益子会社があり、それが営業利益率を高めています。景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな事業中心で、安定的に営業利益率が高く、配当利回りが2.9%と魅力的な水準にあるNTTには、新NISAで長期投資していく価値があると判断しています。

【4】D社:東京電力HD

 世界を見渡すと、電力株には、高配当利回り株として長期投資に適した銘柄が多数あります。ところが、日本の電力株は、異なります。原発関連で重いコスト負担が続くため財務も収益力も不安定で、高配当利回り株として長期投資するのにふさわしくありません。東京電力HDは無配で、そもそも配当利回りを狙って投資する対象となりません。

 日本の電力株では唯一、中部電力(9502)のみ配当利回り株として投資して良いと判断しています。同社の予想配当利回りは12月26日時点で2.8%です(2024年3月期1株当たり配当金50円を12月26日株価1,774円で割って算出)。その理由については、著者推奨バックナンバーをお読みください。

 新年は1月6日(土)は休載し、13日(土)から連載スタートとなります。

【参考レポート】3分でわかる!今日の投資戦略2023年7月26日「中部電力の投資判断を「保有継続」から「買い」へ引き上げ」

(窪田 真之)

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