急落局面で投資する銘柄の選び方、しっかりした収益基盤で割安なのはどっち?
トウシル / 2024年8月17日 8時0分
急落局面で投資する銘柄の選び方、しっかりした収益基盤で割安なのはどっち?
「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第42回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:収益基盤がしっかりしていて割安なのはどっち?
今日は、収益基盤がしっかりしていて、PER(ピーイーアール:株価収益率)から見て割安と判断できる銘柄を選ぶクイズを出します。
夏の嵐で日経平均株価(225種)が急落、ここは優良株を割安に買う好機と判断して、買う銘柄を選別します。
今回は、収益基盤がしっかりしていて、かつ、PERを見ながら収益価値から割安と判断される銘柄に投資することにしました。そこで、いつか買いたいと思っていたA社、B社のデータをチェックしました。両社の今期(2025年3月期)の業績予想と、予想PERを見ると、以下の通りとなっていました。
データを参考に、A社とB社、どちらを買ったら良いでしょう?
<A社、B社のPER>
A社の今期予想PER=10倍
B社の今期予想PER=20倍
(注)PER=(株価)÷(今期1株当たり利益)
企業の収益基盤の判断には利益率を見ること
クイズの答えを考えるために、ヒントを差し上げます。収益基盤がしっかりしているかどうか判断するためのヒントです。「収益基盤」とは、一定の利益を継続的に上げていける事業基盤のことです。
他社にまねできない、違いが明確なビジネスを有することが必要です。収益基盤がしっかりしているかどうか判断するためには、利益率を見ると良いです。利益率が高い企業の方が、収益基盤がしっかりしていると考えられます。
一言で利益率と言っても、いろいろあります。収益基盤を見る上で重要なのは、まず営業利益率。これが低いと、収益は不安定になります。次に経常利益率・当期純利益率を見ます。A社、B社の利益率は以下の通りとなっています。
<A社B社の利益率:2025年3月期予想から計算>
クイズの正解:特別損益を除くと株価が割安なB社
買うのは、B社とすべきです。
B社の方が収益基盤がしっかりしています。特別損益を除いたベースで見ると、PERもB社の方が低いと考えられます。
その理由を、以下、解説します。
【1】A社の方がB社より当期純利益率が高いのは、特別損益の影響による
営業利益率・経常利益率が高いB社の当期純利益率が5%と低いのは、特別損失(一時的損失)が出ているためです。営業利益率・経常利益率が低いA社の当期純利益率20%と高いのは、特別利益(一時的利益)が出ているためです。
【当期純利益】=【経常利益】+【特別利益】-【特別損失】-【税金等】
特別利益は、不動産売却益や持ち合い株式の売却益など一時的な利益です。繰り返し発生する利益ではないので、特別利益の金額が大きくても、収益基盤が高いとは言えません。
特別損失は、固定資産の減損損失や、リストラ損失、災害による損失などで、これも原則一時的な損失です。特別損失が大きくても、収益基盤が弱いとは必ずしも言えません。
以上より、収益基盤の堅さを見るには、一時的な損益(特別損益)を除いた損益(営業損益・経常損益)、そこから計算される売上高に対する利益率を見る必要があります。
営業利益率40%、経常利益率35%のB社の方が、収益基盤が堅いのは明らかです。
【2】特別損益を除くベースではB社の方がPERでも割安
特別損益を含めて計算したPERは、A社が10倍、B社が20倍で、一見するとA社の方が割安に見えます。ところが、特別損益を除くベースで計算すると、B社の方がPERでも割安と、考えられます。
A社の経常利益は5、B社の経常利益は35です。特別損益がなく、実効税率が40%くらいと仮定すると、A社純利益は3、B社純利益は21となります。特別損益を含む純利益(A社20、B社5)とは大きくかい離します。特別損益を除くPERは、A社約67倍、B社約5倍となり、B社の方が収益価値から割安と判断されます。
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(窪田 真之)
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